魔王ベリアナ ~ 女帝と言われる魔王 ~
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「くそがぁ……」
めておんの先走りで…… 勢い付く流星群を防いだ魔王側プレイヤー達の姿に、勇者側プレイヤー達が苦い顔で呟く。
「僕のメテオレインが……」
「そりゃあ……」
「アレだけ連発すれば……」
「ねぇ……」
「前のイベントで、防がれた動画が流れたのは痛いね……」
「馬鹿の一つ覚えみたいに、連発しまくるからだ。反省しろ」
項垂れるめておんを、パーティーメンバー達が引き摺って撤退した。
「魔法で一掃は…… 無理そうだな。銃砲部隊、弓部隊、前へ…… 撃てぃ!!!」
めておんの撤退後、勇者側の指揮官の指示で銃や大砲、弓で矢を放った!
「第二波が来るぞ!」
銃弾と砲弾、矢が雨の様に、魔王側プレイヤー達に降り注ぐ!
「足止めに成功! 突入部隊…… 突入せよ!」
勇者側は、砲撃や銃弾、矢で魔王側を牽制しつつ、少数精鋭の突入部隊をボスフィールドに送り出す……
そこにいる〝魔王達〟を倒す為に……
「此処が…… ボスフィールドの中か……」
「警戒しろ! 俺達は〝魔王〟の目前にいるんだぞ!」
「そう♪」
荒野の様な場所に頑丈そうな砦が立つボスフィールドに、女性の声が響く!
「いらっしゃい~…… 思ったよりも少ないわねぇ…… 少数精鋭なのかしら?」
砦の屋上に、ファンタジーの悪役女性騎士風な姿の女性が現れる…… その女性こそが〝女帝の魔王【ベリアナ】〟だった。
「アレが魔王……」
「相手は一人…… 一斉に仕掛ければ!」
「待て!? 早まるな!」
勇者側プレイヤー4~5人が、ベリアナのいる砦の屋上に飛ぶ!
「あら? 砦に一人…… な訳ないでしょ。お馬鹿さん♪」
ベリアナに飛び掛かった勇者側プレイヤー達が地面に叩き付けられる!
「な!?」
「オーガキング!?」
「それだけじゃないぞ……」
「な、各モンスターのキングだと!?」
「しかも…… ご丁寧に配下連れだ……」
「まさか……【キングテイマー】か!?」
ベリアナを囲む様に、オーガキングやオークキング、ゴブリンキングにウルフマンキングなどが…… 配下モンスターを連れて、次々に現れる!
〝女帝の魔王ベリアナ〟…… 彼女はテイマー職だった。
新世界で彼女は……〝ある事〟を思い付く。
「配下持ちのキング系モンスターをテイムしたら…… 私だけの軍勢が出来るんじゃない?」
その思い付きを実行した時に、彼女の魔王への道が開かれた……
重装型騎士タイプのサポートユニットを連れて…… ゴブリンキングを襲撃し、オークキングを襲撃し、ウルフマンキングを襲撃し、オーガキングを襲撃した。
キングをテイムしたら、次のキングをテイムするを繰り返し……
気付いた時には…… 巨大なテイムモンスターの軍勢が彼女の配下になっていた。
「ちょっと…… やり過ぎたかな?」
キングをテイムする為に、キング系と戦い続けた彼女は……〝キングテイマー〟と呼ばれて、戦闘職のトッププレイヤーにも負けない程の実力が付いていた。
そうして…… 10体目のキングのリザードマンキングをテイムした時に、彼女はキングモンスターを束ねる帝王魔王職……〝女帝の魔王〟となった。
「今では、万を超える私の軍勢に…… その少数精鋭で勝てるかしらね?」
勇者側プレイヤー達を囲むモンスター達が…… ベリアナの合図で一斉に襲い掛かる!
一人、もう一人と、断末魔を上げて消える勇者側プレイヤー達を倒した自分の配下モンスターを見て……
ベリアナは想う…… 愛玩系が欲しいと……
「彼女なら…… 知ってるかしら?」
勝鬨を上げる配下の強面モンスター達の中で…… あの〝獣人魔王〟に想いを馳せるベリアナ……
彼女が獣人魔王を捜す理由は…… 獣人魔王の所有だと噂される〝欲望のダンジョン〟……
その中にあると言う…… ベビー系モンスターだけのダンジョンが目当てだった。
「絶対に見付けて、キングをテイムするわ! そして…… 夢の赤ちゃん系モンスター軍団を作るのよ~♪」
・
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「「へっ、くちゅん!」」
「カナ姉さん、マコちゃん、かぜ?」
「たぶん…… 違う」
「わ、わたしも…… です」
ベリアナは知らない…… 彼女が目指す場所には…… 噂の獣人魔王だけの所有では…… ない事を……
自分と同じ様な〝テイマー系魔王〟が、城を持っている事と……
その魔王が…… ぬいぐるみの様な魔王種をテイムしている事も……
ベビー系モンスターに、キングがいない言う事と…… 戦闘ではテイム出来ないモンスターだと言う事を……
「この前の様にならないように、手加減の練習しないとねぇ……」
このイベント前に、戦力増強の為…… ベリアナは数多くのキングモンスターをテイムに向かったが……
「最近、キング系モンスターでも…… 〝一撃〟なのよねぇ」
ベリアナのその言葉に…… 勝鬨を上げていたモンスター達が黙る。
キング系を相手にし続けたベリアナの戦闘力と戦闘スキルは……
並のキング系モンスターを…… 一撃で〝粉砕〟する威力を誇るまでになっていた。
「丁度良いから…… 勇者側のプレイヤー達で練習しようかしら?」
配下のモンスター達と重装騎士風サポートユニットが…… ホッとした後、勇者側プレイヤー達が現れる転移陣を…… 何処か、同情的な感じで見つめていた。
「さあ、速く来なさい! 勇者達♪」
張り切るベリアナの様子に…… 恐怖を感じる配下達であった。
次は、小悪魔の魔王…… かな?
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後……
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