十神学園の日常
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「それでは…… 準備体操後、マコさん以外の方は組み手を始めて下さい」
せつなの合図に、エン達とマコが準備体操を始める。
「いちに……」「さんし……」「ごろく……「うわぁ~!」!?」ドッゴーン!
準備体操中のエン達とマコの後ろを…… 人がふっ飛んでいった。
「またか……」「懲りないな……」
その様子を、魔法訓練中の2班の優等生達とチームプレイ訓練中の一芸特化の3班の生徒達がチラ見して…… すぐに訓練に戻った。
ふっ飛んでいったのは…… 4班の問題児の一人。
その一人を追う様に…… 4班の残り3人も飛んだ。
「だいじょぶ…… なの?」
「またですか…… ゴルとジルに任せましょう」
準備体操が終わり、せつなに補助されながら歩行訓練中のマコが心配そうに気にしていたが…… せつなが呆れ顔で答えて、すぐにマコの補助に戻った。
既に開園してからの数日間、ゴルとジルに挑んではぶっ飛ばされる4班の問題児達の姿は…… 十神学園の日常風景になっていた。
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「くそ~」
「また敗けたのか?」
「うるせぇ!」
ぶっ飛ばされて倒れた4班の問題児達に、おもにデンライが受け持つエリートクラスの連中が話しかける。
「そんなに強いのか?」
「アイツらは、ゴーレムの癖に魔法とか使うんだよ」
「魔法を使う…… テイムモンスターだよな? 何処で捕まえたんだ?」
「俺達が知るかよ」
「で、お前らの所は、何してんだ?」
「俺達か? 俺達は、デンライさん達と実戦訓練とかだな」
「な、チッキショ~! 俺も、デンライさんに鍛えて欲しいぜ!」
「お前らは、頭よりも身体が先に動くからな」
「ところで、あの戦闘がダメダメな奴らは…… いないのか?」
「実戦試験がダメだった人達? まともに動けないみたいだったし…… 辞めたんじゃない?」
「あん? アイツらは別行動で、学園の何処かにいるぞ」
「別行動? 何をしてるんだ?」
「さぁな…… こないだは、見慣れない鎧を着て走っていたな」
「見慣れない鎧? 何処で見たの?」
「この先の建物の前だ」
「えっ!?」
「おい…… この先って」
「ああ、〝あの場所〟だよな?」
「うん? どうした?」
「知らないのか?」
「な、何をだよ」
「学園七不思議のひとつ、ゴーレムが守る謎の建物がこの先にあるんだよ」
「学園七不思議だあ?」
「ゴーレムが守る謎の建物? 何だそれ?」
「この学園が勇者候補を育成する学園だろ?」
「ああ、だから来てるんだろう? それがどうした?」
「だからだよ。勇者に関する〝何か〟があるんじゃないかって、噂になってな」
「学園の敷地を調べ回った奴らがいたんだが……」
「ソイツらが、死に戻りした7ヶ所のひとつが……」
「この先の建物か?」
「ああ…… 進入しようとして、ゴーレムに襲われたらしい」
「噂では、勇者の武具を守る番人だとか言われてるけどな」
「マジかよ…… 他のは?」
「死に戻りの原因が解ってるのは、この先の建物だけだ。後のは…… 解らない内に死に戻ったらしい」
「気付いたら死んでるって…… 怖い学園だな」
「念の為に、他の死に戻りスポットも教えてくれ」
「ああ、先ずは……」
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~ その日の夜…… ~
「やっぱり…… 来たのか」
「お前らもな…… で、アレがそうか?」
「ああ」
「何の建物か…… 解るか?」
「用務員の話だと…… 研究施設らしい」
「研究施設だぁ? 何の研究だよ?」
「このゲームは、種族とか職業とか多いから…… いろいろと研究してるらしいよ」
「でも、あの人達が出入りしてるんでしょ?」
「ああ、お前らが見た〝見慣れない鎧〟が気になる」
「あの鎧がどうした?」
「実は…… 最近、大活躍してる勇者達は成長する装備を着けてるらしい」
「成長するって、鎧がか?」
「噂だがな…… だけど、勇者の武具ならありえる話だろう」
「勇者の武具ねぇ……って、まさか!?」
「勇者候補の育成施設に…… 見慣れない鎧…… あやしいだろう?」
「なるほどな…… もし、本物ならば?」
「アイツらが着るよりも、着るのが相応しい人物がいると…… 思わないか?」
「確かにな…… 優れた装備は優れた者が持つべきだ」
「よし、行くぞ!」
「「「「「「「おお!」」」」」」
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「此処が研究施設?」
「美術館みたい……」
ラボに忍び込んだ彼等の前には、美しい武装した美少女達の石像が立ち並ぶ……
「それよりも、鎧は? 何処だ?」
「こんな夜分に…… 何方ですか?」
「「「「「「「!?」」」」」」」
「メイド?」
「何で、研究施設にメイドが?」
「ちょうどいいや、なぁ~メイド、此処に勇者の武具があるだろう? それは何処だ?」
「ばっ!?」
「なるほど…… お客様では無く愚かな賊でしたか…… 皆さん、出番です」
「な、誰かいるのか!?」
「み、見て! 石像が動いてる!?」
「くっ! ゴーレムか」
メイド少女の声に反応した石像達が武器を構えて、彼等を囲む。
「では…… お願いします」
「チッ! チッキショ~がぁ~……」
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翌朝…… 学園の正面門に簀巻きにされて、ミノ虫状態で吊るされた彼等がいた。
その首には……〝私達は、学園施設に無断で進入しました〟と書かれた札が付いていた。
次は、学園行事…… かな?
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後……
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