物産展2日目… 謎の機神評論家?と2体の機神
『マスター、もうすぐ大気圏に突入します』
フェアリエからの報告に…… 私は、大気圏突入離脱可能フライトユニット【スワロー】の大気圏突入機能を可動する。
小惑星に寄生していた暗黒騎士を倒した後……
私とフェアリエだけで、物産展会場に向かって宇宙からの帰還中。
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~ 少し前のフェアリーガーデン ~
「主さま、解析の結果…… この小惑星は無重力空間下のみで精製可能な金属の塊の様です」
「なるほど…… 硬いはずだね」
「なので…… フェアリーガーデンをしばらく駐留して、スパイダー部隊による拠点建設を行いたいと思うのですが…」
「ちょっと待って、一応…… 運営に確認するから」
確認の結果…… 今回の騒動の報酬として、小惑星を貰いました。良いの?
「じゃあ、私は戻るね?」
「主! 戻るなら、フェアリエと【スワロー(こいつ)】を試してくれ」
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『成層圏に到達を確認…… 大気圏内航行モードに移行します』
「このまま会場入りは…… 騒ぎになりそうだから、姿を消すよ。会場の近くで降りよう」
『了解です。マスター』
ちなみに…… 物産展は2日目に入ってます。私は宇宙航行中に睡眠を取りました。
会場の手前に降りて…… スワローをストレージに収納してから、人化したフェアリエと私達の出店スペースに戻ると……
「いらっしゃい。お客さん?」
売り子をしているターニャが、私を見て首を傾げた。
「おかえり、カナエおねいちゃん♪」
「ユキちゃん、ただいま♪」
「えっ!? カナエ…… おかえり。その姿は、どうしたの?」
今の私とフェアリエの姿は…… 機神に試乗する為に! 同じぐらいの身長で動きやすい、黒と白の色違いの【つなぎ】の作業着スタイルです。
「元のサイズに戻ったからね…… 試乗しまくるよ♪ それじゃ…… さっそく並んで来るよ♪」
「マスター、お供します」
「わたしも♪」
「ちょっと!」
ターニャが何か言った気がしたけど…… 気にしない♪気にしない♪
「先ずは…… 基本型のポーンかな?」
私の番が来たので、ポーンに試乗♪
「ふむふむ…… 思ったより、可動域が狭い? 後…… 揺れがちょっとキツイかな…… 加速は…… 量産機ならこのくらいかな?」
私はゆっくりと慣らしながら…… ポーンの動作を確認。
「それじゃあ…… そろそろ、限界を調べて見ようか?」
私は…… ポーンを試乗会場の端に移動させて…… 走り出す!
「行くよ! 側転、連続バク転からの…… 後方三回転ひねり! あっ!?」
ガン!? ガラガラ…… ガッシャ~ン!!!
可動域を誤り、着地に失敗しちゃった…… てへぺろ♪
『こらぁ~!』
ターニャと試乗の担当者に…… めっちゃくちゃに怒られました。
「ごめんなさ~い! もうしないから…… 試乗拒否は許して下さ~い! お願いします!」
私は試乗運転を…… 禁止になりました。
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「ほおほお…… となると、移動中の変形は無理だね?」
(はい、基本的に停止中の変形を想定した設計の様です)
試乗会場の外の片隅で……
フェアリエとリンクした状態の私は、自動車メーカーの可変機神の動作をフェアリエに確認して貰う。
「元になった車が一般的な物だからねぇ…… 機神モードは、おまけなのかな?」
(能力面は…… ポーンより低いですね)
「戦闘を想定して無いのかもね…… 現実で販売予定の新車を急遽、この物産展に合わせて機神化したのかな?」
「カナエさん…… 言葉が出てます」
「今の私は…… 謎の少女【カタリー】ですよ。フレン」
試乗禁止の私は…… フェアリエを変わりに乗せて感覚をリンクする為に、姿を偽装中……
今の私は機神見物客のツインテールを巻き髪にしたツインドリルヘアーのアマロリ少女カタリーです。
「では…… カタリーさん、独り言が出てます」
監視の為に付いて来て、私の頭に座るフレンが…… ため息まじりに言う。
「だって、気になるじゃない?」
「回りの目も、気にして下さい」
動く機神を見ては、その機神の機能を事細かく解析し…… 比較と問題点を言い当てる。
頭に妖精を乗せた謎の黒猫アマロリ少女に、試乗会場の回りにいた機神関係者達の注目を集めていた。
「次は…… あっ、ナイトだ。ポーンより性能が高いのに乗り心地が変わらない? ふむ…… ポーンの乗り心地に慣れないなら、シートを変えると良いかもね…… うちでマルチシート作ろうかな?」
15メートル級機神のポーン型後継機ナイトは、乗り心地をそのままに約2倍の性能を実現した機体だ。
「やはり…… 手足が付いたポーン系は、ガールより大きいねぇ…… ガーター装備より大きいかな?」
通常のガール型は、8メートル…… 追加装甲武装ユニットで1番大きいガーター装備でも、10メートル級だ。
「市販の機神で…… 1番大きいので30メートル級ですからね」
ベア王より、少し大きいぐらいかな? 性能は…… どうだろう?
「あの機神は…… 新しい警備用でしょうか?」
フレンの言葉に警備機神を見ると……
「あれ?【ブルダン】と【紅夜叉】じゃない?」
現れたのは、私が二人と作った…… ガルジ師匠専用機のトラバイン型2号機【ブルダン】と千鶴ちゃん専用機の鬼子母神型【紅夜叉】でした。
次は、ブルダンと紅夜叉の話… かな?
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後…
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