ドワーフっ娘の… ひ・み・つ・?
「で、【血統覚醒】って、何?」
対戦で自滅した全身筋肉痛のドワーフ娘を問い詰める。
「ゆ、言うもん!? つぁ…… や、やめ!?」
「お願い、教えて」
強情なドワーフ娘の脇腹を…… 突っつく!
「あぅん…… うぁん…… そこはダ、ダメ…… うあぁぁん!」
私の丁寧で入念な、〝お願い〟を続けると……
「ハァ…… ハァ…… ゆ、言う…… ハァ…… 言うから…… ハァ…… もう…… つ、つつかないで……」
私の誠意が通じた様だ……
「私は…… クォーターなの」
「クォーター?……って、何?」
「私は、【ドワーフハーフ】同士の子供なの。だから、2/4は多種族の血統なのよ」
彼女の話によると…… 彼女はドワーフでありながら、鬼人族と竜人族の血統を持った存在……
「ドワーフの変異種?」
「【血統覚醒】に副作用があるなんて……」
「デメリットありのスキルは、けっこうあるからね」
「そうなんだ…… 覚えたばかりじゃあ、やっぱりダメか……」
「最近、覚えたの?」
「Lv20になったら覚えた…… 必殺スキルだと思ったのに……」
Lv20が解放条件のスキルなのかな?
「どうする? もう一度…… やる?」
「やめる…… 今の私じゃあ、勝ってないもの。やっぱり…… あの人は遠いなぁ……」
「あの人?」
「このゲームのCM見た? 凄い強い女性が出てるの! 私は、あの人の様になりたいの…… あの人みたいに強くなってみせる!」
CM…… CMの女性…… それって……
「どこにいるのかしら? あのシルエットの女性! 噂だと、王国の王都付近に居る獣人なんだよねぇ」
「そ、そうなんだ……」
どうしよう…… やっぱり…… 私の事だ。
「凄い攻撃するのよ! 格好も凄いけど…… 強さには憧れるけど、あの格好はちょっと…… 裸にエプロンはねぇ…… ないわ」
グッハァ! おのれ…… 変態黒スーツめ! 正体がバレるから、ゴスロリドレスが切り裂かれたシーンカットされて、流れたんだよね…… くう~! 裸じゃないのに! スク水着てるのに!
「もっと、Lvアップしないと……」
決意を新たにするドワーフ娘……
「そ言えば…… 何で、あんな事したの?」
「貴女が強いと思ったからよ。本当は、PKクラン相手に何処まで殺れるか…… 試すつもりだったんだけど」
「私達が邪魔しちゃったと?」
「まぁ…… 明らかに、小学生ぐらいの子がいたからしょうがないんだけどね」
「この後は、どうするの?」
「鍛え直しかな…… もっと強くなって、貴女に挑むよ」
「そう…… 一つ、良い事を教えるね。ここの洞窟には、秘密があるの……」
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「それじゃ、私は行くよ。情報ありがとう。私…… 強くなるよ!」
去って行く彼女を見送る。
隠しボスも、彼女なら大丈夫だろう。
石像ゴーレムは、打撃に弱いからな…… 素材が石だから割れるんだよね。
モーニングスターで、石像ゴーレム達を叩き割る彼女の姿が目に浮かぶ…… 楽しそうだな。
「で、何か用かな?」
「フッ…… 気付いていたか」
「貴方…… PKね。私…… それとも、彼女が狙いかな?」
「冷たいね。人の拠点潰して置いて」
「PKクランのクランリーダー? 復讐?」
「いや…… アレは彼奴が悪い」
「主犯はアカバンだったけ?」
「馬鹿がガキを巻き込みやがったからな。しかも、俺より先にヒーローと戦いやがって! 許せねぇ!」
このリーダーさん…… 戦闘狂だ。
「となると…… 狙いは、私かな?」
「ああ、苦労したぜ…… 柄にもなく掲示板に張り付いたりしてな。ヒーローと行動をともにした忍者の女の子…… それは、お前だな?」
「忍者ねぇ…… で、私に何の用?」
「関係者を狙えば、ヒーローが来るだろう?」
「発想が小悪党だけど、良いの?」
「俺は、強い奴と殺れれば、それで良い…… 悪いが餌になっれ!」
「ごめんだね!」
私は【闇移動】で、影に飛び込む!
「逃がすか!」ドン!
「チッ!? 閃光弾か!」
PKリーダーが投げた玉が閃光を放ち、影が消された!
「そこだ!」
「くっ!」
私の隙を突いて、PKが斬り込む!
「へぇ~…… お前、強いな」
危な! PKは変則的な二刀流…… 大剣と…… アレはメイスか? 斬撃武器と打撃武器だね。
大剣を避けたらメイスが来たので、障壁で受けながら後ろに飛んだ。
「いったいどんな腕力してんのよ…… 両方とも、両手武器でしょ?」
PKの武器は、両方ともに片手で振るには…… 明らかにデカイ! このPK…… ドワーフ娘の腕力を軽く超えてる!?
「それは種族特性とスキルってヤツさ…… こんな事も出来る!」
PKが距離を詰める!
来る! 障壁を!?
「グゥ! ぎゃあ~!」
私は、障壁を抜けた衝撃に吹き飛ばされた!
「どうだ? 【貫通攻撃】の威力は?」
【貫通攻撃】…… ヤバイな…… 名前からして、防御無効系か? HPが2/3持ってかれた! 連続で当たると死ぬな……
「もう一度、食らえ!」
「嫌です!」
私は【土魔法】で壁を作り、その影に【闇移動】を発動!
私は、遠くの影から様子を伺う……
「くっそがぁ! 楽しくなって来たのに! 逃げるな! 俺と戦え!」
よし、逃げよう!
【貫通攻撃】対策しないとダメだね。
「主さま! そのお姿は!?」
「えっ、あっ! 回復するの忘れてた」
PKの攻撃で受けたダメージを、そのままにした私の姿にロッテ達が…… PKに報復を始め様とするのを止めるのが大変でした。
その時のロッテ達とせっちゃんの様子に……
(次は、ちゃんと回復しよう……)と、心に誓うカナエでした。
次は、キャンペーン終了かな?
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後…
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