事件は… 会議室で起きました!?
あの新規プレイヤー押し掛け騒動から直ぐに、クラン会議の呼び掛けが始まり……
事態を重く見た運営さんがクランの代表者、又は代理人の3名での話し合いの場が用意されました。
「早かったですね?」
「運営は、新規プレイヤーの協力者が欲しいからな」
「その為にも、クランの協力が欲しいんだろうね」
運営の用意した転移陣で移動するのは…… クラン代表の代理人として、デンライ君とジノさん…… それに、私です。
「それじゃあ…… 行って来ます」
「「「「「行ってらっしゃい!」」」」」
ジノさんとデンライ君が転移した後…… ある【擬装】をして、私も転移した。
転移先は…… かなり広い会議室でした。
(多種族に配慮したのかな? 転移陣の前に場所を指定する為か? 低めの仕切りで仕切られた場所に、三つの席がある…… 私達の席かな?)
「あんた達が……【トイボックス】か?」
私の席は左側が通路になっていて、右側から声を掛けられた。
「そうだ。あんた達は?」
「わりぃ、俺達は【トラベラーズ】。最近王国にクランを作った旅人集団だ。俺は、副長の【半熟】。よろしくな?」
「あぁ、よろしくな。俺は……」
「知ってるよ。そっちの【着ぐるみ】さん以外は。デンライさんと仮面のヒーローさんは有名人だからな。クランリーダーはデンライさんか?」
【着ぐるみ】さん…… そう、今の私は擬装の為に…… カーバンモモンガの【コモモ】を【装着】した【着ぐるみ状態】です。
「俺達は代理だ」
「そうかい? まぁ、俺も代理みたいなものだけどな…… そろそろみたいだな」
クランごとに60くらい用意された場所に、人々が座り始めている。一人の人もいれば、護衛役なのか? 代表者3人の後ろに立つ人達もいる……
「時間なので…… 始めようと思う。先ずは、我々の呼び掛けに応じていただき…… 感謝する。それでは、第二陣の合流とそれに関する騒動の会議を始める。議長は運営の方だ」
会議室の議長席にフードローブ姿で、顔を隠した人物が現れる。
「議長の運営側…… ぶっちゃけて、【新世界】の開発者です。よろしくね♪」
「「「「「!?」」」」」
会議室の全員が、フードローブの人物に注目した!
「お、おい! 今…… 開発者って!」
「謎の開発者が、今此処に!?」
「質問いいですか?」
出席者達が色めき出す! カンカン! フードローブの開発者がハンマーを叩き…… 出席者達が静かになる。
「私に対する質問は…… 却下です! 私と仲間達が作り、蒼人達が育てる【新世界】のこれからを…… さあ、話し合いましょうか?」
開発者に詰め寄りそうだった、出席者達が席に着く。
「…… それでは、始めます。先ずは…… 第二陣のプレイヤーについて話し合いましょう。意見のある方?」
「はい!」
「はい【救世主】代表」
「初心者の指導をプロプレイヤーにお任せできませんか? PK騒動から、我々名の売れたクランやプレイヤーに第二陣のプレイヤーが押し掛けて、対応しきれません!」
「【成長の秘薬】ドロップ事件か…… 正直、アレ狙いのPKから初心者を守るのは、弱小クランのうちには無理です」
「秘薬が欲しいPKは高Lvだからな…… 有名クランでも無理ですか?」
「【名も無き傭兵】も新兵育成中に襲撃を受けたらしいな?」
「あぁ…… 教導中にPKクランの襲撃を受けた。なんとか撃退したが、被害を考えると割りに合わんな」
「【玩具箱】は、どうだ? デンライさんと仮面のヒーローさんはプロプレイヤーだろう?」
「うちのクランは、半数が15歳未満で、俺とデンライも契約は果たしている」
「運営側が契約してるプロプレイヤーは、それぞれに業務がありますので、初心者の護衛は出店社契約のプロを含めても…… ぜんぜん足りませんね」
「そもそもは! アイテムなどを配らずに、アシストボーナスみたいに初心者ボーナスにするば良かったのでは?」
「問題になっているアイテムは…… コレかしら?」
フードローブの開発者が懐から、薬瓶を取り出す……【成長の秘薬】だ!
(う~ん? なんだろう? 試されてる感じがするな…… !? 神眼が【成長の秘薬】に反応した?)
私は…… 開発者が出した【成長の秘薬】を神眼で鑑定すると……
(!?)
【成長の秘薬(初級)】…… Lv20までの全ての取得経験値を2倍にする。Lv20以上が飲むと…… 種族の取得経験値を1.5倍にするが、他の取得経験値をマイナスにする。効果は、新世界内で3時間。
初心者専用アイテムでした!
(運営さん…… いじわるです!)
ニヤリ……
(!?)
【成長の秘薬(初級)】の効果に気付き、開発者を見ると…… フードで見えない顔が笑った!? 気がした。
「どうやら…… 気付いたプレイヤーがいる様だね♪ このアイテムは、初心者専用…… 今頃、使用したPKは困惑しているはずだよ♪」
「な!?」
「騙したな!? きたねぇぞ!」
「お前! PKか!?」
「PKが紛れているぞ!」
「くっ!」
「死に戻ったか……」
騒ぎ出したクランが死に戻った…… どうやら、PKクランだった様だ。飲んだのかな? スキルとか…… どうなるんだろう?
カンカン! PKクランが死に戻り、騒然としている会議室に…… 渇いた音が鳴り響いた。
「さあ…… 会議を続けましょう?」
フードローブ姿の開発者が…… そう言った。
次は… 会議の続きですね。
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後…
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