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七話:選ぶ理由とギルドの登録。

PV3800突破!

ユニーク760突破!


活力がみなぎるぜぇぇえ!

指が動く動く。



これも一重に皆様のおかげ。

ありがとうございます!




「静紅! ギルドだって言ってるぞ」

「あ、うん」


 だとしたら、僕の知識から学ぶに、ここはノックして入るような場ではないんだよなぁ……。笑顔で対応する赤と黒のチェック柄スーツを着込む女性を見てそう覚える。

 目を輝かしているフェリには悪いけど、ファンタジーから逸脱したいと思っている僕には楽しむ要素が一つもない。確か一時間と経たずにホームシックになった気がするし。


「えー、ギルド登録はされていますか?」


 僕達の姿を見て、明らかに街人であることが分かったのか、少し考えた後にスーツの女性はお揃いのボーツを被り直す。視界の端に写る鎧やローブ装着の強面さんたちから視線がとっても痛い。「ここはガキの来るところじゃねぇ」と訴えられているようだ。

 どうする。どうするよ僕!

 手元のカード(幻想)は三枚。


 帰る。

 立ち去る。

 逃げる。


 後ろ盾がないから逃げるのに邪魔なものはありません。そりゃあ盾なんぞあったら足をつまづかせて……四枚目の迷子のふりをしよう。

 決断はそこそこ早い。


 だが。

 神は好奇心の塊だった。


「私達でも登録できるのか?」

「はい、平和維持統制機関は来るもの拒まず去るもの逃がさずがモットーですから」


 なにそれ怖い。

 登録する気満々のフェリ。


 ここはフェリの口を抑えてから作戦開始するのがいいと思われーーってフェリがいねぇよ!


「ご登録ありがとうございます。では左手をだして下さい。」


 屋敷内の入り口から見て左側。酒や煙草の臭いが充満するテーブル席を乗り越えて、段差の上にあるカウンターで、フェリの細腕に無骨な腕輪が填められていた。なんたる早業。


「静紅ー! 見ろ、コレ!」


 十メートル先から腕を振る厄介神。

 事前処理って大切だよね、膝が喜びのあまりに痙攣しているぜハッハッハ!


 とりあえず入店した時から顔面を覆っていた髪を除けて、ここからの切り替えしを考えながら僕は歩きだした。


 周囲から息を飲む音がしたけど僕だって飲みたい。あわよくば酸素過多で死にたい。




 ◇◆◇◆◇◆




 フェリと共に聞かされたギルドのルールたるものは極めて単純だった。


 一。死んでも責任はとらない。


 以上である。


 また、登録後には、そうホイホイ死なれたらギルドの治安がデフレーションを起こしまくるのでテストするとのこと。先日入った森に住む猪をボコれとのことだ。つまり無力化。

 で、ある種の詐欺をくらったフェリはこれから森に行く。安全と結果報告のためギルド職員が着いてくる。後、もちろん僕は登録していない。なんか細々としたルールに、一ヶ月間働かなきゃ罰金だぜよグヘヘみたいなことが書いてあったからだ。グヘヘはなかったかもしれない。


 ルールや注意事項の紙を丸めて捨てる僕。店内でポイ捨てとかドキドキした。ごみ箱にだけど。


「あのぉ」

「はい?」


 細かいことは後で考えるを実行していた僕に、カウンターから声がかかる。先ほどの女性であった。いや、カウンターの奥からもチラチラ見られている。止めて! もっと見つめて! なんか懐かしい。


 ギルドの前に僕の精神がデフレをおこしているからあまりテンションが上がらない。高熱にならない。いいことだ。


「登録はーー」

「しません」


 一人ウンウン頷きながら、瞬時に左右にかぶり振る。首がクキャって鳴いていた。


「しかしその身のこなし」


 身のこなし? 身の小梨……だと? なんて破廉恥っすなネタを出しやがる。どうせそんなに大きくないよ。と冗談は緩和して、僕は小さく嘆息すると意識をすり替えーーる必要もないな。


「いえ、両親から厳しく躾られただけですので」


 おそらく演劇部で培った立ち回りや歩き方を言っているのだろうと考えてから、黙りこくってるフェリに視線を投げた。


「フェリ、戦える?」

「……」

「なんで登録したの?」


 先ほどまでのふざけた雰囲気を一掃。詰めることせずにフェリに問う。その回答は、カウンターの脇の掲示板、依頼書を指す動作。数瞬遅れて意識を流す。


 討伐、討伐、捕獲、採取…………営業?

 飲食店『モルツォーネ』の客引き。及び用心棒パウンサー


「前にこの服、似合ってるって言ってただろう」


 目を見張った僕を見て、ゆっくりとした口調でフェリは続ける。


「それで、その……他の店の服を着たらどうなのかなぁ、って」


 最後の方は、本当に小さくて聞き取りにくかったけど、聞き取りにくかったけども、思わず頭撫で撫でしたい衝動にかられまくった。


 なんだこの生物。


 フェリの服はティアナの選んだものだから、他の店ではそうとは限らないのだけれど。そんなことはどうでもいい。

 初めは好奇心に圧されたらしかったが、この営業関連の紙を見つけて登録したのだろう。なんで戦わせなならんのだ。僕が代わりに猪ぬっころしてよるわ。いや、無力化だ。


「すいません、登録用紙もらえますか?」

「へ?」


 名前と年齢、同意書に名前を書いて登録は終了する。確かパーティーを組むのは自由だったんだよな。

 ティアナを泣かした際に神力を使い果たしたらしい神様を助けようじゃないか。


 恐怖心を相手に根付かせるなんてこと無意識にした神様を。




 ◇◆◇◆◇◆




「またお前かー!」

「はい、イノシシです!」

「やれ! 静紅! いつかのように切り刻め!」

「無理するなって言ったの誰だよ!」


 熊だった。




 ◇◆◇◆◇◆




「はぁ、給料日になんてことだよ」

「はぁ、お給金を貰う日にこんな」

「おぉ! これが洞窟か! これが雨か!」


 例の熊ーーイノシシという名前らしいーーから逃亡して、一般の熊と違って鼻が利かないアイツを振り払い、僕らは洞窟で大雨が止むのを待っていた。辺りはすでに暗く、先程までの太陽光は光合成の催促に無頓着すぎたため、あっさりと雲の部屋と足を運んでいる。


 そして濡れた(エロい意味ではない)僕と例の如くあの職員さんのテンションはただ下がり。

 働いたことがある人は分かるかと思うが、給料日はなにかとテンションが上がるものなのである。日々の労力の集大成、僕は現世でファーストフード店のバイトをした後のあの瞬間を今でも覚えているよ。給料明細を渡された時のあの喜びを……。


「ザーザーいってるぞ! 雨の音がするぞ!」


 あぁなんて騒がしい。

 ゼウスの叔父さん、ばかやろ。


 気分が高揚しまくってるフェリに、僕らの活力まで奪われているようだ。誰か蜂蜜と苦虫を調合してこい。僕らには栄養が足りない。


「「はぁ」」


 重なるため息。

 なんかこの人とは仲良くできそうだ。

 そんな思いで首だけ隣に向けると、膝を抱えて座り込んでいる彼女と目が合う。なにやら以心伝心もできそうだ。


 大変ですね。と苦笑の応酬をする。

 やっぱり仲良くなれそうだ。苦労人として。


「静紅! 静紅! 静紅!」


 執拗に僕を呼ぶ活力源。なにかとフェリは僕の名前を呼ぶ。おそらく「友達の名前を呼ぶ」がえらく気に入ったのだろう。


「ふふ、元気ですね」

「少し元気すぎですけどね」


 なんか落ち着く。


「雨、止みませんね」

「ほんとうですね」


 あぁ落ち着く。


「おおぅ! おおーっ! ゴロゴロだ! 雲がピカピカしているー!」


 雷も鳴り始めたようだ。

 いやぁ、フェリ。うん。

 再度言うが、ゼウスのばかやろ。


 そんな気疲れを顕著に表沙汰にする老夫婦のような僕と職員さんは、洞窟内では音が反響するという根本的なことを忘れていた。

 洞窟の奥から響きわたる足音。多世帯も甚だしい。まるで巨大な何かが近づいてくる威圧感に満ちてくる。失念、いや念すら入れていなかった。


〈イビャビャビャビャビャビャ!〉

〈イヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!〉


 野太く気色の悪い鳴き声が三半規管に突き刺さる。

 同時に、僕はフェリと職員さんの手を引いて駆けだした。

 あの熊どもの鳴き声はホラーすぎて話にならん。どうやら彼らの巣に迷い込んだらしかったと気付くのに、時間はいらなかった。

伏線ってむづかしい。


回収する前に指摘されたらどうしようとか不安な作者は、夜中にホームランバーをかじっていたりもした。



さぁて。

文才光臨(前言撤回とも言う)!




そして一話一話の文字数が増えてきた。

それでも短い。

なぜか。


それは作者が区切りと落ちが下手だから!

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