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三話:愚痴る人と名前の選択。

小説ってむづかしい。

文才が欲しいです。


右脳が全面的に痛む今日このごろ。




 帰りたい。

 気持ちの切り替えには定評がある。が、前向きな思考に片足をつからせられるという事ではない。なんだかんだでアイデンティティーの確率に不安が残るこの年だ。精神的に未熟。移り変わりだってやはり早いもので……。

 この世界に来て一時間(意識がある間)で、既に僕は影の薄いマンションの一室を恋い焦がれていた。帰りたい。しつけでハウス。カッコよく言えば「俺には帰る場所があるんだ」。そんなにカッコ良くなかった。


 なんかもう気を紛らわしに一人称を変えよう。そうしよう。


「いやぁ旅はいいな、うん。私はの場合は出張とかそんなものだったしな、うん」


 溌剌はつらつとした笑顔を輝かせる神様。青色一号は当然のごとく使っていない。ネタの重複に危存をもったための言葉遊びである。記憶と記録の貯蔵庫のスカスカには頼りなさがいなめないとか考える俺は至って平凡なピーポーだ。


「異世界なんて少年少女の夢だしな、うん」


 それはあくまで夢であるから楽しめるのであって、叶えてしまったらそれは既に夢ではなく。非日常を程々に愛している現代高校生には、不平不満が濁流を思わせる荒々しさで思考を蹂躙じゅうりんしているんだがこれ如何に? とか愚痴ってやりたいが俺は我慢した。なんだかんだで彼女の嬉しそうな顔を見ていると、俺の観念はどうでもいいように思えてしまう。 学園祭ではみんなの喜ぶ顔を見るために働いていたものだしな……俺は頭一つぶん小さい神様の顔を一瞥する。


「楽しいか?」

「む? うむ。楽しいに決まっているだろ」


 出会ってから一日も経っていないのに、何故か昔からの馴染みのようだ。これは彼女が言っていた人外れた魂とやらに関係しているのだろうか。それとなく尋ねてみた。


「そうだな、纏めるとすれば……」


 淡々と話が進む。


 曰く、神力とは神の力。気配、認識である。

 曰く、人間の観点では至っていない事柄まで、ありとあらゆるコトを顕現する。

 曰く、神は人の生死を始めとする決定的シチュエーションには不干渉である。

 曰く、神の存在を脳や瞳で認識するためには、神のそれと近い魂を保有していることが望まれる。

 曰く、神には位があり、創造神を頂点する縦社会が築かれている。


 曰くーーーー……。


 要約すると。

 俺は文字どおり人外な魂をもっていて、友達がいなかった彼女は俺を見つけて飛びついたそうだ。神の中でも下から数えた方が早いという彼女は、ゼウスを始めとする固有名詞をもっていないため、名前がない。俺を先にこの世界に送ったのも、異次元と俺をつなぐバイブルを作るのに神力とやらが足りなかったからだ。後から来るにもギリギリ足りなかったそうで、回復を待っていたらしかった。


 それならそうと先に言えば良かったのに……。全力で断ったからさ。


 自分の不遇に呆れるぜ。なんばしよっとかこの神様。つうか神様っていうのもおかしいから呼び名決めねぇとな。口調まで変わっている自分に気付くのとほぼ同時。

 頭の中に何かが浮かんだ。


「あのよ」

「お前口調が……。で、どうした」

「神力って神様の認識なんだよな、んで普通の人の魂は神を認識できない」

「そうだ」


 それがどうした、と僕(面倒だから戻した)を見つめて立ち止まる。まさか、気付いていなかったのか、否か。流暢りゅうちょうに説明していたから見た目に似合わず頭は回るとか賞賛した僕の感心を返してもらいたい。

 なるべく刺激しないよう、僕は口を開いた。


「神力をある程度使いきれば、普通の人にも接することができたんじゃないか?」

「……」


 止まる神様。行動ではなく時間的に。

 神様に指摘とか無鉄砲、失礼極まりないかもしれないけれど、これだけは言っておきたかった。呆然とする少女を見てちょっとガッツポーズした。うしし、さーせん。


「……先に言えバカやりょーっ!」

「ぐふっ」


 頬を真っ赤にして僕の腹を殴る神様。捻るな拳を! 貫通属性のある打撃とか洒落にならんぞ!

 慌てて僕に八つ当たりしたせいか、ヤローをやりょーと言っていた彼女を愛でよう撫でようと伸ばした手を掴まれて、一本背負いをくらいマウントポジションで殴られまくったのは記憶に新しすぎるので、真空パックに詰めて冷蔵庫に保管しておきたい。

 らめぇぇぇ! もっとぉぉぉ! って口走ったらどんな血を浴びれるだろうかと好奇心に誘われたが、そいつは丁重に道草に食わせた。


 命を大事に。むしろガンガン逝こうぜ!

 むしろ間をとって遠距離攻撃の連発にとどめてやりたい。セイファートの名の元に無限極光剣頂いてくだされ神様。


「ちょっ、顔は酷い!」

「うるさいうるさいうるさぁーい!」


 八つ当たりは八回しか殴っちゃいけないんだよ。じゃあ蹴りだな。なんてこった。軽い未来予知に目覚めそうだ。


「ところでパジャマ」

「着替えろ今すぐ!」

「草原で!? しかも着替える服ないよ!?」

「脱げあほたれー!」


 脱がされた。

 野外、下着。危ない妄想が始まります。

 とゆうか暴走し過ぎたな僕。

 肉体的に余裕がなくなると精神面がコンフェするらしい。今更気付いてなんなんだ、っていう。


 その日、草原で走り回る下着のあほたれが、いたとかいなかったとか。




 ◇◆◇◆◇◆




「落ちは?」

「なんだ気を失いたかったかのか」

「ちげぇよ!」


 いつの間にか夕方。

 街を目指した筈の僕らだけど、何故か布団で丸くなってる。当然パジャマは着込んでいる。


「そういえばさ、名前」

「自己紹介はもうしただろう、私には名前がないんーー」

「僕が付けていい? ニックネームだけど」


 僕を見おろすように座っていた神様が、息を飲むのが伝わってきた。

 驚愕の色に捕らわれた表情は、否定の言葉をはねつけて寄せ付けない。

 磁器のように白い肌に小さくも整った鼻口。意志の強さを感じさせる吊った大きなオッドアイが点になっていた。

 ふんわりとした艶やかな黒髪が逆立つ。なんだそれ、神使用とやらか、猫のようだぞ。


「名前?」

「うん」


 短く答える。

 彼女に友達になってと言われたくらい。唐突なものではあったが。脈絡はあった。もしかしたら殴られまくったことにより脳細胞が死滅しているのかもしれない。なるほど、だから僕はこんなことを、やっぱり客観的である。


「ホントのホントに名前か?」

「嫌ならいいけど、名前がないと不便じゃないかな?」


 ずいっと顔を寄せてくる神様にたじろぎながらも、今できる限りの優しい笑顔を向けてみる。ついさっき殴られた相手に笑いかけるとか、案外僕はマゾなのかもしれん。いやいや、スライムは還付無きまでにノメしたからそれは違う筈だ! 僕はマゾじゃないもん! 六割エムっ子の常套句でありやんす。


「頼む! 是非頼む!」


 吐息がかかる距離なんぞ裕に飛び越えて、目と鼻の先に彼女の、幼さを感じさせる顔をよる。ようじょ、ようじょ、ようじょ。ボブとマイクが騒がしい。


「笑わないでよ?」

「笑うものか! 静紅がつけてくれると言うなら、どんな名前でも受け入れるぞ!」

「じゃあ、ヨウジョ」

「氏ね」


 即否定であった。

 そんな、誕生日プレゼントが自分の靴下だったよ、とか言いたがっている視線は止めて欲しい。でも感じちゃ……わない。

 死ねと言われるよりある意味酷いのは確かだが。


「ロリータ」

「朽ちろ」

「ネ申」

「果てろ」


 な、なんてこった。

 言葉の暴力に泣き目になる僕。

 ここまで否定されたら、もう、もうーー


「詰んだ、か」

「お前はバカか!」


 もうヤダ。

 名前付けるとか言い出した奴は死海の塩分濃度に犯されて滅っされてしまえばいいんだ。だから誰か三リットルほど塩水用意しろ、喉を鳴らして飲み干してやるよ。


「後はマトモなの残ってないよ?」

「さっきまでのは!?」


 本気に決まってるだろうが。

 叫ぶ神様。

 もうヤダ。本当にヤダ。

 泥になりたい。私は貝になりたい。


「フェリシアとかユリアとかふざけた名前しか……」

「それ!」


 なんか指刺された。指されたのではない。刺されたのだ。そこにどんな違いがあろうことか……。痛覚だろう、迷うことなく。

 額に生まれた第三の目を押さえながら、僕は話を聞く。


「……こんな没ネームでいいの?」

「結局ヨウジョは没じゃないのかよ」


 嘆息。

 疲れたから寝ていいスか? 言いだしっぺがほざいたら猫バス乗車は避けられない。まてよ、スライムと戦った僕の雄姿はどこにいった。


「フェリシア?」


 そんなに頷かなくても。


「ユリア?」


 かすかに頷く。


「ヨウジョ、じょ」


 殴られた。




 こうして神様はフェリシアになった。

 なんかもう色々ありすぎて疲れた。意味わからんタイミングでキレたりしたからかな、殆ど無意識だったから寝起きって怖い。『有為現象の“発現”』とかなんなのさ。鎌鼬かまいたち現象起こせたけどさ……グロかった。


 まぁ、その他諸々気になることは山積みだけど。なんくるないさ。諦めへと切り替えた。


 落ちを落として僕は寝る。なんか寝てばかりだな、僕。


 当然のように神ーーフェリシアも毛布を被った。腹減った。

なんかもう、死にたい。

無理矢理感がいなめない。

前後の文が安定しない。


がんばろう。文才やらクオリティーやらを上げていこう。


当然ながら完結目指して頑張ります!

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