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雨の日のお出かけ

作者: ほんじじ
掲載日:2026/09/30

 雨の日のお出かけはきらいだ。

 傘をささなきゃいけないし、水たまりをよけながら歩くのも面倒だし、ズボンの裾が濡れるのも嫌だ。


 ぼくはもう四年生だ。

 買い物くらいひとりで行ける。


 行けるけど……外は雨だ。

 行きたくない。


 でも、今日はママが熱を出して寝込んでいる。

 ママが言った。


「ゆうくん、ごめんね……ママ、まだ起きれそうにないからお弁当買ってきて」


 ほかほか弁当は商店街の中にある。ママと何度か行ったことがあるので場所はわかるし、ほかほか弁当のおばちゃんの顔もわかる。

 わかるけど、雨だから外に出たくない。


「宅配とろうよ。持ってきてもらおうよ」


「宅配は高いからだめ。ゆうくんお願い」


 お腹はすいた。

 何か食べたい。

 でもママは作れない。

 そして宅配もだめ。


 仕方ない。

 行くか。

 雨だけど。


「わかった……行ってくる」


「ごめんね、ありがとう」


 ママのお財布から千円だけとる。



 長靴をはいて外に出て傘をさす。


 バラバラバラ。


 けっこう降ってる。

 めんどくさいけど仕方ない。


 しばらく歩いていくと、一匹の虫が飛んできた。


「!?」


 小さなシジミチョウだった。

 僕の傘の中に入って、そのままふわふわ飛んでいる。


「え? なになに?」


 ただ、すぐにその姿は見えなくなった。


「あれ? どこ行った?」


 辺りを見回すも、雨はけっこう降ってるし、この雨の中をチョウチョが飛べるとは思えない。

 実際に飛んでないし。


(何だったんだろう・・・?)



 商店街まできた。

 商店街はアーケードになっているから傘はなくても大丈夫。


 傘を閉じると、またシジミチョウが目に入った。


「あ、いた!」


 シジミチョウは、目の前をふわふわ何度か上下しながら、そのまま商店街の向こうへ飛んで行った。

 さっきは居なくなったんじゃなくて、たぶん僕のどこかに止まってたんだ。そして、雨が降らないところまで来たから僕から離れたんだ。

 そう思った。


 そう思ったら、なんだかうれしくなった。

 とてもいいことをした気分になった。



 ぼくは、

 雨の日のお出かけがちょっと好きになった。



 終


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