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誰でもわかるシリーズ 第1回『孫子兵法』  作者: momotarou


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タイトル未定2026/04/22 14:54

中国は世界四大文明の一つとして知られ、昔から多くの思想家と書物を生み出してきた。


その中でも、特に有名な兵法書が『孫子』、いわゆる『孫子兵法』である。


有名な言葉に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」がある。日本では「敵を知り己を知れば」と言われることも多いが、原文の「彼」は敵だけを指すわけではない。向き合う相手や、その時の状況まで含んだ、もっと広い意味を持っている。


この書は、昔は孫武という人物が書いたものだと考えられていた。だが今では、一人の天才が一気に書き上げたというより、始皇帝が生まれる前の戦国時代、中国の国々が激しく争っていた時代の中で、長く積み重ねられた兵法の知恵が整理され、今の形になったと考えられている。


まだ中国が一つに統一される前、国々は生き残りをかけて争っていた。軍をどう動かすか、外交をどう使うか、情報をどう集めるか。そうした現実の中から、『孫子兵法』のような書物が生まれたのである。


孫武という人物そのものも、二千数百年前の人であり、実在を含めてはっきり分かっていることは多くない。それでも『孫子兵法』は高く評価され、長い時代を超えて読み継がれてきた。今では軍事だけでなく、ビジネスの世界でも教本のように読まれている。


では、『孫子兵法』は何を説いた書なのか。


それは、力任せに戦うための本ではない。戦う前に敵と味方の力を見極め、地形や情勢を読み、兵を整え、補給を保ち、情報を集め、できるだけ損害を少なくして勝つための本である。


大切なのは、ただ勇敢であることではない。準備し、考え、相手を見て、無駄な戦を避けることだ。できるなら大きく戦わずに勝つ。それが『孫子兵法』の目指した理想だった。


この考えをよく表しているのが、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉である。


『孫子兵法』は、必ず勝てる魔法の本ではない。どうすれば無駄に負けずにすむのか、どうすれば少しでも有利な形で勝てるのかを考え抜いた兵法書なのである。


ではここから、『孫子兵法』を誰でもわかるように、全十三篇に分けて簡単に見ていこう。


全13篇


1.計篇

戦う前に条件を見比べて、勝てるかどうかを考える篇。


2.作戦篇

長い戦は国を弱らせる。だから戦うなら短く終わらせるべきだと説く篇。


3.謀攻篇

一番よいのは、戦わずして勝つこと。まずは敵の計画やつながりを崩せと説く篇。


4.形篇

まず自分が負けない形を作り、そのうえで勝てる機会を待つ篇。


5.勢篇

兵の強さは一人ひとりの勇だけではない。流れや配置で大きな力になると説く篇。


6.虚実篇

敵の弱いところを突き、自分の弱いところは見せない。主導権を取るための考え方を説く篇。


7.軍争篇

戦では先に有利な位置を取れるかが大事になる。軍を動かす難しさを説く篇。


8.九変篇

状況はいつも同じではない。だから形にこだわらず、変化に応じて動けと説く篇。


9.行軍篇

行軍の中でどう敵を見抜き、どう地形を読むか。現場での観察を重んじる篇。


10.地形篇

地形ごとに戦い方は変わる。土地を知る者が戦いを有利に進めると説く篇。


11.九地篇

戦場の状況によって兵の心も動きも変わる。追い込まれた状況さえ利用せよと説く篇。


12.火攻篇

火を使った攻撃を語りつつ、時と条件を見て動くことの大切さを説く篇。


13.用間篇

最後にものを言うのは情報である。敵の内側を知るための間者の重要さを説く篇。


ここまで見れば、『孫子兵法』がただの戦いの本ではなく、とてもよく考えられた書であることが分かるだろう。


さらに、その考え方をよく表している句を挙げるなら、次のようなものがある。


先爲不可勝、以待敵之可勝。

まずは自分が負けない形を作り、敵に勝てる機会を待つ。


勝兵先勝而後求戰、敗兵先戰而後求勝。

勝つ軍は勝てる形を整えてから戦い、敗れる軍は戦ってから勝とうとする。


上兵伐謀。其次伐交。其次伐兵。其下攻城。

最上なのは敵の策を崩すこと。その次は敵のつながりを断つこと。正面からぶつかるのはその後で、城攻めは下策である。


故兵貴勝、不貴久。

戦は勝つことが大事であり、長引かせるべきではない。


少則能逃之、不若則能避之。

勝てないなら無理に戦わず、退くべき時は退き、避けるべき時は避ける。


『孫子兵法』は、武勇を誇るための本ではない。


戦う前に勝ち筋を整え、無駄な損害を避け、情報と判断で勝つための本である。


だからこそ、この古い兵法書は今でも読まれ続けている。

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