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殿下って私のことなの?

初めて書いてみました

この王女は優秀なのに無自覚で人を無意識に導き、喜ばれ尊敬される女性と少女の間にいる女性?です

愛もすべきかしないべきか悩みつつも呑気に健気に能力と体力、精神力で全てを突っ切るお転婆です(笑)


今まで色んな作品を読んで楽しんでいましたが、今回から少しずつでもいいから書いてみようかなとか思いつつ書いてます。心広めにお読みくださいね(笑)

王宮の廊下に、軽やかな足音が響く。

「ミレーリア様、お待ちください!」

後ろから侍女の声が飛ぶが、少女――いや、少女と呼ぶにはどこか完成されすぎたその人物は、振り返りながら笑った。


「大丈夫よ、ちゃんと間に合うってば」

ミレーリア・レイン・ルー・ジアン。

この国の王女殿下であり、文武両道、人格円満、誰からも称賛される存在。

……なのだが。


「――え、殿下って誰のこと?」

その一言で、すべてが台無しになることがある。

その日、王宮では重要な会議が開かれていた。

政務に関わる者たちが集まり、今後の外交方針について話し合う場だ。王も王妃も、そして第一王子ジョージも出席している。


ミレーリアもまた、正式に“参加者”として席を与えられていた。

「では、次にミレーリア殿下のご意見を――」

重臣の一人がそう言った瞬間。


「はい?」


きょとん、とした顔で首を傾げるミレーリア。

「殿下って……誰のことですか?」


静まり返る会議室。


数秒の沈黙の後――

「「「あなたです!!!」」」

全員の声が見事に揃った。


「え、ええ!?私!?」


ミレーリアは慌てて自分の胸を指さす。


「だって殿下って、もっとこう……威厳があって、近寄りがたい感じの人のことじゃないんですか!?」

「……一応、あなたは王女です」


兄のジョージが額を押さえながら呟く。

「自覚がなさすぎるだろう」


「だって普通に生活してるだけだし……」


「普通の基準が高すぎるんだよ、お前は」


ミレーリアは確かに優秀だった。


学問は常に首席。 剣術も騎士団と互角。 馬術、弓術、礼儀作法、すべて一級。

それでいて、決してひけらかさない。


むしろ――

「皆がすごいだけだよ」

と本気で思っている。


「とにかく、殿下。ご意見を」

重臣が改めて促す。

「え、あ、はい……殿下って私か……」

まだ少し混乱している様子で、ミレーリアは咳払いをひとつ。


そして一瞬で表情が変わる。

「今回の外交についてですが――」

その声は、落ち着いていて、よく通る。


「強硬策ではなく、相手国の内情をもう少し精査すべきかと。特に経済面での不安定さが見受けられますので、そこに支援を入れる形で関係を築く方が――」


理路整然。

的確。

そして無駄がない。

会議にいた誰もが、自然と頷いていた。


発言を終えた後。

「……こんな感じでいいですか?」

少し不安そうに聞くミレーリア。


「完璧だ」

ジョージが即答する。 


「え、ほんとに?」

「ほんとにだ」


会議が終わった後、廊下を歩きながらミレーリアはぽつりと呟いた。


「殿下かあ……」

「今さらだな」


隣を歩く兄が苦笑する。


「でも、なんか実感なくて」

「そのままでいいんじゃないか?」

「え?」

「お前は“殿下らしくあろう”としなくても、十分すぎるほど殿下だ」

ミレーリアは少し考えて――

「……じゃあ、このままでいっか」

にこっと笑った。


その笑顔に、廊下ですれ違った騎士も侍女も、思わず目を奪われる。


誰からも愛される王女。


けれど本人は、まだ気づいていない。


「ねえ、お兄様」

「ウン?なんだ一体?」

「私、これから政務も頑張るけど……そのうち、恋愛とかもしてみたいなって思ってるんだ」


「……は?」


「だって人生経験として大事じゃない?」

ジョージは深くため息をついた。


「……相手が大変そうだな」

「失礼ね!」


ミレーリアは頬を膨らませる。

その姿は、まだどこか少女で。


けれど――

確実に未来の国を背負う存在だった。



「初めての視察と、妙な視線」

「本日は、王都南地区の視察となります」


朝の空気の中、落ち着いた声が響く。


ミレーリアは軽く背伸びをしながら頷いた。


「視察かあ……楽しみ」


「楽しみ、ですか?」


近衛騎士が少し意外そうに目を瞬かせる。


「うん。実際に見ないと分からないことって多いでしょ?」


その一言に、周囲の者たちは小さく息を呑んだ。


やはりこの王女は、どこか違う。


王都南地区は、活気に満ちていた。


商人の声、行き交う人々、焼きたてのパンの香り。


「殿下、足元にお気をつけください」


「大丈夫大丈夫――わっ」


言ったそばから石畳に軽くつまずく。


「……危なっかしいですね」


「今のはノーカウント!」


頬を膨らませるミレーリアに、護衛たちは苦笑をこらえた。


視察は順調に進んでいく。


「最近はどうですか?」


「少しずつですが、良くなっております」


「それはよかった。困ったことがあれば遠慮なく言ってくださいね」


自然体の言葉に、人々は安心したように笑う。


――その時だった。


「……あれ?」


ふと、視線を感じる。


振り向くと、人混みの中に一人の青年がいた。


黒髪に、静かな瞳。


どこか場の空気から浮いているような、不思議な存在感。


「知り合い……ではないよね」


目が合う。


その瞬間――


青年は、すっと視線を逸らした。


「……?」

ほんの一瞬。


けれど、なぜか妙に引っかかる。

胸の奥に、わずかな違和感が残る。


――どこかで、似た感覚を。


何かを“引き寄せた”ような、あの時の――



―回想ー


柔らかな陽射し。


王宮の庭園。


幼いミレーリアは、小さなボールを転がして遊んでいた。


「えい」


ころころ、と転がるそれを追いかける。


「まてー」

よちよちとした足取り。


だが――


ころん。


ボールはそのまま池へ落ちた。


「ミレーリア様、お待ちください!」


メイドの声。


兵士が慌てて人を呼びに走る。


池に浮かぶボール。


届かない距離。


ミレーリアは少し考えて―


「……おいで」


小さく手を動かした。


その瞬間。



水面が揺れた。


すい、と。


ボールが動く。


誰も触れていないはずなのに。


ゆっくりと、まっすぐにミレーリアのもとへ。


「とれた!」


嬉しそうに笑う。


何も疑わずに。


一方で、周囲は凍りついていた。


「……今のは……」


「まさか……」


ざわめき。


「陛下に報告を!」

兵士が駆け出す。


それでもミレーリアは気にしない。


「えい!」


またボールを転がす。


きょとん、と首をかしげながら。


ただ、楽しく遊び続けていた。


―回想終わりー


「……どうしてだろう」

ミレーリアは小さく呟いた。


今の視線と、あの時の出来事。


まったく違うはずなのに――


どこか、同じ“何か”を感じた。


「殿下?」


「え?あ、ううん。なんでもない」


気のせいかもしれない。


そう思いながらも、もう一度だけ人混みを見る。


――青年の姿は、もうなかった。


視察を終え、帰りの馬車の中。


「どうだった?」

ジョージが尋ねる。


「うん、すごく良かった。やっぱり直接見るのって大事だね」


「そうだな」

「……あとね」


「?」


「変な人がいたの」

「変な人?」


「うーん……なんか気になる感じ?」


ジョージは少し考えて、にやりと笑った。


「それは――恋じゃないか?」


「はあ!?」


即否定。


「違う違う違う!」


けれど。


ふと、あの視線がよぎる。


「……」


「ほらな」


「違うってば!」


馬車の外、流れていく王都の景色。


そのどこかに、あの青年はいるのだろうか。


ミレーリアはまだ知らない。


あの“違和感”が――


ただの偶然ではないことを。


そして。

その出会いが、国の未来に関わっていくことも。


世界観は壊すかもしれませんけど、支柱を折るようなことにはならないと思いますので暢気に読んでみてください。

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