表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ですもの清らかに恋したい  作者: summer_afternoon
央の国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/77

息子に幽閉された女王

話を聞きました。


「何があったのですか?」

「ファウスト様が強硬手段に出た」


ファウストはまず、「女王に女系継承撤廃」を求めました。

女王は「法で決まっているからできない」と言いました。

ファウストは「議会に女系継承撤廃を提案」しました。

議会は「法は形だけで権限は女王」と返しました。

ファウストは再度、「女王に女系継承撤廃」を求めました。

女王は「自分の一存では決められない」と。

ファウストが女王を幽閉。


エレーヌはファウストの言葉を思い出しました。


『エレーヌ自身が女王になることを望まないなら、私は母上を脅してでも、女系継承という制度を変える。央の国を取ることも辞さない。それが私のエレーヌへの愛だ』


おっさん達は様々なことを言います。


「いやぁ、王家の長女は可哀想や」

「そーやな、自分の娘がって思ったら、ぞっとする」

「そしたらファウスト様が次期王か?」

「いや、ファウスト様は次期女王はエレーヌ様で、その次のこと言っとるんやと」

「妹思いのええ兄ちゃんや」

「だからって、かーちゃんを幽閉って」

「幽閉ってどこに。塔か?」

「地下牢って話や」

「はー。気の毒な」

「議会も議会や」

「関わりたくないんやな」

「そーや。今の女王は、政治に細かく口出さん」

「飢饉や戦争のときに和平交渉に出てくる」

「1番大事なときに仕事してるがな」


自分達の母親がよく思われていることに、嬉しくなります。


「なあ、兄ちゃん姉ちゃん、王が男んなったら、西の国みたいになると思うか?」


一人の男が尋ねてきました。


「西の国みたいとは?」


骨肉の争いのことだろうと見当をつけながらも、エレーヌは確認します。


「ハレム作ったり、国のいろんなとっから女集めてさ」

「オレらが納めた税がそんなことに使われるんか」

「たまらん」

「領土広げようとあっちこっちと戦争してさ」

「オレらだけが前線に行かされるんやろ」

「ふざけるなっ」

「兄弟で殺し合っとる間、政治は手付かずだろーな」

「オレらの生活をないがしろかよ」

「それはちょっと」

「男の王やったら権限が大きい。勢力争いのために賄賂がはびこる」

「オレらが納めた税をそんなことに使うな!」

「ゆるせん!」


エレーヌは可笑しくなってしまいました。笑ってしまいそうです。庶民にとって、王家は生活安定のものであり、可哀想と女王を憐れみながらも、今の状態を望んでいるのです。王家の者にとって生死をかける骨肉の争いも、彼らにとっては「それはちょっと」程度のことなのです。この乖離(かいり)


「エレーヌ、急ごう」

「うん」


5人でカレーの早食いです。


ですが、フォーは店を出て固まりました。


「フォー?」

「どうすべきなんだ?」

「お母様を助けなきゃ」

「だったら、正面から行って応じてくれると思うか?」

「そーだね。」

「ファウスト兄上だぞ」


ファウストは自分の意志を曲げません。実にメンドクサイ頑固者です。

一旦、馬車の中で相談です。


「プロのお前達だったらできるんじゃないか?」


フォーは、護衛、御者、ジジにフりました。


「できますけど、やりたくないっす」

「そーっすよ。もしファウスト様が実権を握ったら、、、」


たんっ


護衛は自分の首のところで手を水平にし、舌を鳴らしました。

ジジは冷静でした。


「直接手を出すことは控えたいのですが、助けるのであれば、我々が都にまだ帰ってきていないと思われている今がチャンスかと」


ジジの意見にフォーも納得です。


「そうだな。幽閉はダメだ。でも、ファウスト兄上がそんなことをするってのが、信じられん。んー」

「さっきのおじさん達、地下牢って言ってたよね」

「だな」

「地下牢って上の方に明かり取り用の窓があるんだよね」

「ああ。エレーヌは閉じ込められたことあったんだっけ」


客人のズボンのベルトを切ったり、自分の部屋を鶏だらけにしたり、レディあるまじきイタズラで、とうとう地下牢に放り込まれたことがあります。すぐ出してもらえましたが。


「窓から逃げようと、壁に足場作ってたら、出されたの」

「壁に足場?」

「石でごんごんがりがり、壁を削ってたの」

「……」


女王にそれをやって逃げ出せとは言えません。何年もかかりそうですし。


城壁の周りには、番をする兵士が常駐しています。

城の中から外へ出るより、外から中へ入ることは困難です。


「大河側は?」


城は大河沿いにあります。大河側は見張りの兵士がいません。

大河側は特別なのです。


「エレーヌ、河だぞ」

「船で行けば、地下牢に繋がってる」


護衛、御者、ジジはきょとんとしています。


「「「つながってる?」」」

「地下牢はね、もともと、特別な囚人やひっそり(あや)めたい人用なの」


エレーヌは人差し指をぴんと立てました。


「ヌーちゃん、何気に怖いこと、笑顔で言わないでくれる?」

「ヌーちゃん、闇の国家権力側だった」

「……」

「ね、水門を開けよう」

「「「すいもん?」」」

「囚人の水責めや処刑後の掃除のために水って必要でしょ?」

「「「……」」」

「水門を開ければ、小さな船で地下牢のすぐ横まで行けるの」


普通に話すエレーヌに、護衛、御者、ジジはガクブルです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ