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乙女ですもの清らかに恋したい  作者: summer_afternoon
央の国

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人生の最適解を求めて

旅が予定外に続くことを知った、護衛、御者、ジジは喜びました。


「央の国ならOK。緊張度が違う」

「飯も女の子も旨い」

「サード様に会えるかも」


護衛は東の島国では緊張していたようです。


「そっか。東の島国の人らって強いらしいもんね」


お疲れ様、とエレーヌが添えると、護衛はぬけぬけと言いました。


賭場(とば)のルールがちげーんだよ。サイコロ一択だし。すっげー強面(こわもて)が短剣持って傍にいるし」


主人を守るという仕事に関してではありませんでした。


ところで、央の国での旅について、フォーを含め皆、気楽に考えていました。なんと言っても、大きな馬が引く馬車を使える国。


「行くのは大河の源流ね。お世話になった遊牧民のお二人は大河の源流に向かわれたから。あの人達だったら星宿る海のこと知ってそう」

「「「「ええーっ」」」」


川の源流など山の上。馬車は途中までです。


「エレーヌ、大河の源流って禁足地があるとこじゃん。そこへ入った調査団がまるっと処刑されたんだろ?」

「「「っ」」」


フォーの言葉に護衛、御者、ジジは顔面蒼白。


「私、禁足地なんて、聞いたことないよ?」


とエレーヌ。


「そりゃ調査団だって知らなかったんだろ?」

「お母様が私達を殺すわけないじゃん」


エレーヌは女王の親友の娘です。自分が殺されることなどないと思いました。


「ヌーちゃんはさ、女王になる人だから殺されなくても、オレらは」

「ヤバいんじゃね?」

「……」


あり得ます。


「じゃさ、城に帰るときはフォーと私だけにすればいーじゃん」

「エレーヌ……帰らないんじゃ……」


何気なく言うエレーヌを、フォーが不安気に見つめます。


「どうするにしても、ちゃんとお母様と話す」


護衛、御者、ジジには、なんのことか分からなかったでしょう。

ここで、ジジが物申しました。


「城へ行って報酬を貰わなければなりません。次の仕事へ繋げなければ、私は食いっぱぐれます」

「もちろん報酬はなんとかするよ。ジジ、若いし美人なんだから、お嫁に行けば「エレーヌ様! 現実は甘くありません。結婚して待っているのは悠々自適な生活でなく、仕事家事育児介護。自分に見合った相手となるとそんなもんです。家政婦のいる家で、(さげず)まれて肩身の狭い思いをするのは嫌。結婚したばかりは多少大事にされるでしょうが、最初の熱い愛が持続している夫婦など知りません。そして、子育てにかかるコストを考えると、産んだら人生の負けが確定。まともな結婚相手ですらこの状態。ハズレを引いて、ギャンカスや浮気男だったら最悪です。今の社会、庶民が生き延びるには、独身で働くのが1番なんです。警護の仕事は体力勝負。インフレも加味すると、私は今のうちにお金を貯めるのが最適解です!」

「「「「……」」」」


とても勉強になりました。愛や恋が全ての源などと考えるのは、いつの時代においても、とても贅沢なことなのです。


「えと。星宿る海は探すよ?」


エレーヌは、ジジの横で控えめに宣言しました。


あ、れ?

エレーヌは奇妙なことに気づきました。眼球が白い老婆は、貴い人に貴婦人と赤ん坊の話をしました。貴い人は、星宿る海について尋ねに行ったのでしょう。

それはとても不思議なことです。

エレーヌの友達がご老人に話を聞きに行ってくれたのは分かります。そのご老人は、いつも星宿る海について話していたようなので。

では、老婆は?

確かに年老いています。昔のことを知っていそうです。しかし、そこそこの年齢。もっと長寿の人は他にもたくさんいます。都の中心から近いというわけでもありません。


貴い人は、なぜ、老婆を選んで、わざわざ家まで足を運んだのでしょう。


エレーヌは、もう一度、ラインハルトに会わなければなりません。


「フォー、ラインハルトって、もう都へ帰った?」

「いや。今ごろ軍事演習のはず。あいつは海軍を選択してるから、港に着けば、会えると思う」


その前に、カフスボタンについて、フォーに確認です。


「目が真っ白になっちゃってるお婆さんのこと、知ってる?」

「へ?」

「都の城のね、裏門のとこからの道あるじゃん。あの道を東へ行った方の道沿いの家の」

「ぜんぜん分からん」

「その人がね、カフスボタン、届けてくださったの。ほら、旅の最初の日、別荘に集まったでしょ?」

「ああ、カフスボタン」

「あれって、ラインハルトの?」

「……」


フォーは黙秘権を使おうとしています。


「実はね、、、」


仕方なく、エレーヌはカフスボタンを入れた果物皿の(ふち)に、ココアパウダーと松ヤニを塗ったこと、それがフォーとラインハルトとサードの袖口についていたことを話しました。サードは面白がっていただけだったことも。


「ラインハルトの。エレーヌがさ、カフスボタンを皆に見せたとき、あいつ『マズっ』っつったから。どっか女んとこにでも忘れたのかなって思って、取りに行ったんだよ。こっそり。そしたら、もう、あいつが取ってた」

「ホントにホント?」

「もう今更、ラインハルトのイメージは壊れてるだろ? まさか、ラインハルトを好きとか?」

「そんなの、あるわけないじゃん」

「ホントに?」

「分かってるくせに」

『フォーの意地悪』


そんな、ちょっとだけ甘いやりとりの後、エレーヌはフォーに、老婆が何を語ったのかを打ち明けました。


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