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乙女ですもの清らかに恋したい  作者: summer_afternoon
東の島国

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家系図から候補者2人

王家の場合、家系図は恐らく巻物。場所は女王と側近のみが知っています。書物にするのは、最近の貴族社会の流行です。


「ほら、オレ」


ラインハルトの名前があります。イラストは当主のみです。


「おおーっ」「え」


エレーヌはラインハルトの誕生日に驚きました。


「フォーと誕生日、近い」

「そうなんだ。オレの3日後がフォー」

「いつも一緒にお祝いするんだよな」

『これに載ってるかも』


ラインハルトの一族の家系図ならば、船の紋章入りのハンカチを使う貴婦人は、この中に名前があるはずです。その子供も。


「素晴らしい絵師ですね」


エレーヌはイラストを見ながら、自分も含め、兄弟と同じ年齢の人を密かに探しました。


候補者は4人。

まず、ラインハルトは当てはまります。ラインハルトの誕生日はフォーの3日前です。25歳の女性は偶然にもファウストと同じ誕生日でした。20歳の女性はサードとは5ヶ月違い。候補から外れます。もう1人、17歳でエレーヌの7日前に生まれた男性がいました。


「取り替えられた」という仮説のもとに同じ歳で誕生日が近い人を探しました。なのでもう1人、候補から外れます。ラインハルトです。

先ほど挨拶した城主は美しい翠の瞳でした。夫人の瞳はヘーゼル。瞳の色の遺伝は明らかになってはいませんが、翠色は希少。どちらか片方の親が茶色や黒色など、濃い色の場合、子供が緑色というのは聞いたことがありません。エレーヌの母親の瞳は茶色です。そして、男の子と男の子を取り替える理由がありません。


兄妹に混じっている取り替えられた子供は、ファウストかエレーヌ。エレーヌは、自分である確率が高いと思っています。


ファウストの真似をして、さりげない会話から情報を引き出そうとします。


「ラインハルト様の一族は、男系継承なのですね」


ファウストと同じ誕生日の女性について知りたいのですが、上手くいきません。顔にも行動にも出てしまうエレーヌは、その女性の名前のところに指を置いてぐるぐるしてしまいます。ラインハルトはそれに気づきました。


「ああ、いとこは、王立学園で出会った人に嫁いだんだ」


驚きです。高位の貴族になればなるほど、結婚相手は限定されてしまうからです。


「まさか、恋愛結婚ですか?」

「そうなんだ」

「ステキ」

「へー」


貴族はほぼ諦めている恋愛結婚がここにあったなんて、とエレーヌは心の中にバラの花が咲き乱れるような感動に包まれました。

実際には微妙なのですが。なぜなら爵位を継ぐのは長子のみ。他の兄弟姉妹は貴族ではなく一般人です。王立学園には次男三男次女三女も通いますので。未婚の間は彼らも貴族。


意外にもラインハルトは現実的でした。


「王立学園はいいシステムだと思うよ。年頃の人間の周りから貴族以外を排除する。例えばオレがさ、この城で家庭教師から学問を教えてもらうだけだとしたら、人間関係は広がらない。金目当てのゲスい女に色仕掛けで迫られるのがオチ」

『あ、れ?』


美しいラインハルトのイメージが、エレーヌの中でガタッと崩れます。現実的で猜疑心に溢れているではありませんか。


『なんとなく、サードお兄様っぽい』


フォーがエレーヌの肩をぽんと叩きました。


「あのさ。これがラインハルト。ま、この家に生まれてこの外見。小さなころから、近づく人は泥棒、、、下心があると徹底して教え込まれてるんだ」

「必要なことです」


侯爵家の家名と財産を守るために、素直さを犠牲にするのはいたしかたないこと。


「ラインハルトはさ、サード兄上からスキャンダルを抜いた感じ」


非常に分かりやすい表現です。が、サードからスキャンダルを抜いたらサードにならないとも思います。彼は年上マダム達に育てられて今があるのですから。

話が遠のいてしまいました。

エレーヌは、ファウストの真似はできないと分かりました。


「この17歳の子は、王立学園にいませんね。この近くの学校ですか?」


ストレートに。


「彼は家族で東の島国に住んでる。東の島国で金銀銅が取れるから、叔父一家は、そっちで貿易のことや東の島国との交渉してるんだ」

「どんな方ですか? お会いになったことは」

「小さなころ、遊んだことあるよ。野生児」


体力が有り余っているタイプだったとか。


「ずーっと走ってても疲れない。でもって速い。オレはついて行くのがやっと。ゴムで石飛ばすのも上手かったよ。百発百中」


大きくなってからは会っていないそうです。ラインハルトは勉学や人脈作りのため、王都で王立学園に通っています。いとこが東の島国から帰国しても、留守なのだそうです。


「エレーヌ、東の島国で会えるかも。もともと伯爵にはお会いする予定なんだ」


フォーはいずれ、東の島国との外交を担当します。そのために欠かせない人脈です。

ところで、伯爵とはどういうことなのでしょう。ラインハルトの侯爵家は男系継承。次男なのに爵位。確かに家系図に伯爵と記載されています。何か功績があったのでしょうか。


「東の島国の国王にもご挨拶するのですよね?」


挨拶は当然のことというのがエレーヌの感覚です。

フォーは難しい顔をしました。


「それが、2人いるんだ。だから、向こうへ行って状況を把握してからにしようと考えてる」

「2人?」


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