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乙女ですもの清らかに恋したい  作者: summer_afternoon
海賊船

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2人で共有経過と状況

「みんなは船底の牢にいるの。私、そこから逃げたの」

「さすがエレーヌ様です」

「でね、海賊は誰も、私がいないのに気づいてないの」

「それはですね。」


牢に閉じ込められた女性達と暗闇と杜撰(ずさん)な鍵の管理のおかげでした。ジジはエレーヌを助けようと船底の牢へ行ったのだそうです。

まず、エレーヌが牢を去った後、女性達はランタンから折られた蝋燭を消しました。蝋燭の痕跡も消しました。誰かが来たとき怪しまれないようにするためです。格子の間から腕を伸ばして外から施錠。鍵は誰かのポケットの中です。そして、自由になった手で骨付き肉とバケットパンを食べました。

酒の相手をさせられていた女性が牢へ入れられるとき、最大のピンチを迎えました。縛られた下っ端が牢の中にいるからです。まず、鍵です。女性を戻そうとした男はスペアキーを使っていました。縛られている下っ端は他の女性達の後ろに隠されていました。女性達はロープを切られていたのですが、皆、あたかも縛られているかのように手を後ろにして振る舞ったそうです。さすがです。


「みんな、すごーい」


エレーヌは感心しました。

次に、ジジのことを聞きました。


ジジは、香水の店で縛られ、建物のドアを目の前で閉められてしまったわけですが、縛り方がお粗末で、ドアが閉まった瞬間にロープから抜け出しました。窓から出、ほどよい崖を降り、エレーヌを追いました。


「ジジ、気づかなかったよ」

「エレーヌ様達が歩いた階段ではなく、草が生えているところを通りましたので」


ジジは、係留させるために陸に結んだロープを伝って船に乗り込んだのです。


「かっこいい、ジジ」

「命懸けでした「ごめんなさい」


間髪入れず謝るエレーヌ。


ジジは物陰に身を潜め、1人になった船員を海に落としました。


「残り8人でしたが、さっき1人片付けたので後7人です」


というジジに、エレーヌは「8人だよ」と見張り台の方に掌を上に向けました。


「あそこにもいましたか」

「きっと上から見てたよ。今も見てるよ」

「私が仲間を海に葬るところですか?」

『葬るって言っちゃってる。怖いよー』

「普通、見てたら仲間に知らせるよね?」

「暗闇で行いましたので。今はビビって隠れているのかもしれません」

「え、何人落としたの? ジジ」

「17人です」

「……。」


そりゃビビる、とエレーヌは納得しました。


「残りの7人を海に葬れば、8人目は見張り台から降りてこないということですね」


ジジは冷静です。

7人は、海の女神様の嫉妬を怖がり、船室にこもっています。


「明日になったら、お兄様達が助けに来てくれるよ」


エレーヌは、ならずもの達専用の港を暴くことを、すでに忘れている様子。なんと手っ取り早くご都合主義な妄想でしょう。


「エレーヌ様。それに関してですが、海賊船のことを知っている者がいないかと。私がこの船に乗ってしまいましたので。香水のお店のお客様方は、海賊になど気づいていませんでした。いったいエレーヌ様はなぜあのとき、お気づきになったのですか?」

「変な臭いがしたから」

「それは素晴らしい嗅覚ですね。犯罪の嗅覚とはまた違う」


ジジの言い回しに、ほんのりとサードの片鱗が見え隠れします。


ところで。エレーヌは蜂蜜のように甘い考えですが、航海については少々知っています。西の国から南の国への船旅で経験した分の知識から、かなりまずい状況であることが明らかです。


「ね、ジジ。船長とか航海士、海に落としちゃった?」

「担当など分かりかねます」

「だよね。船、遭難するかも」

「え」

「残ってる海賊って、お酒飲んでた人でしょ?」

「はい」

「たぶん、言われて帆を動かすとか、離着岸のときにロープやアンカー動かすだけの人達」

「そうでしたか。つまり、残りは全員海に投げていいと」

「そーゆーことじゃなくて」

『船を操舵する人がいないんだよー』


船長と航海士がいないということなので、エレーヌとジジは、船長室へ行きました。そこには地図やコンパスがありました。気をつけなければいけないのは、船長室の下に位置する船室に、残りの海賊達がいることです。音を立てないように地図を見ました。

現在、海賊船は帆を全て畳んだ状態で潮流に乗っています。エレーヌは、星から船がいる緯度を求めました。当然のことですが、北にある央の国に向かっています。分かりきっていることが分かっただけです。


「陸からどれくらい離れてるのですか?」

「それは分からない」


GPSなどありません。経度は船の速さと時間をもとに計算し、推測するしかありません。速さも時間も、船長と航海士がいない今、ここまでの情報がありません。


「とりあえず、残りの海賊を監禁しましょう」


と、ジジは大胆な提案をしました。

鍵類は全て船長室にあります。残りの海賊がこもっている船室のドアは2つ。問題は鍵をかけるときに音がすることです。一方のドアの鍵の音を聞いたら、もう一方のドアから逃げようとするでしょう。両方同時に鍵をかける必要があります。そしてもう一つ。船室には窓があります。そこから出ようとするかもしれません。今、こうしている間にも、部屋から出てきてしまう可能性もあります。


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