表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ですもの清らかに恋したい  作者: summer_afternoon
西の国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/77

人の悪意に当てられて


誰もいない場所でエレーヌは護衛に詰め寄りました。


「意思疎通できてなかったの?」

「いやぁ、分かんないっす」


答え合わせをしてみました。


『例のサイコロを』

『分かりました』

 ーー>『遊びに来たのでよろしく』『分かりました』


使わないでと右手をちょっと振るジェスチャー

 ーー>『がんばってサイコロ振ってね』


親指と人差し指で円を作り、サイコロを使えとジェスチャー

 ーー>『儲かってるね』


_| ̄|○

なんということでしょう。全て、どーでもいい、わざわざ目で合図する必要がない会話に変換されていたなんて。


エレーヌはもしものときのために、サインを決めようと思いました。が、言われてしまったのです。


「ヌーちゃんさ、あのサイコロ、使わないからオレにくれるっつったじゃん」


そうでした。民の税を使ってのギャンブルなどできません。ましてや王女ともあろう者がイカサマサイコロなど。ぐーの根も出ませんでした。


「勝ったからいっか」

「はは」




国王が旧寵姫と第1王子、第3王子をハレムから追放すると発表しました。現寵姫は大喜びです。あまりに喜んで、エレーヌにぶっちゃけます。


「やった! これで邪魔者が減ったわ。ただの優しーいい人なんて、求めてないんだって。聞いて聞いて。都からも追放ですって。実家は都。ふふ。どっかの荒地で野垂れ死ぬんじゃない?」


なんと正直な人でしょう。

今こそ賭けに勝った権利を発動するときです。


「昨日の賭けに勝ったので、お願いがあります」

「なんでしょう」


現寵姫はきょとんとします。もうすっかり、賭けのことなど忘れていた様子です。


「国王陛下と第1王子・第3王子とのお別れの時間を設けてあげてください。追放に至ったのは母親が原因。子供達と父親は、ゆっくりと一緒に過ごすくらいいいのではないでしょうか」

「王女様って、いい人ですね。お願いを人のために使っちゃえるくらい恵まれてるんでしょうね。そーね。どーせこれから悲惨な目に遭うんだもん。最後に思い出くらいいっか。おばさんも一緒でいっか」

「寛大ですね。それは、お願いしてもムリだと思って諦めていました」

「一晩でもいいかも。蝶よ花よと育った女なんて、身売りしかできないから。ヤルこと同じだよね。んー、デキちゃったら、身重で2人の子連れ。苦労満載。ここにいたって、後継者争いが起こるまでの命。ちょ、ちょっと、なんで王女様が泣くの」

『え』


エレーヌは、自分が泣いていることに気づきませんでした。ぽろぽろと涙が頬を伝ってます。


「優しいよね。これから苦労するおばさんらのこと、心配してるんですか? やっぱり、苦労しないで育つと、人のことを思いやる余裕があるんですね」


エレーヌは口を覆って声を押し殺し、泣き続けました。追放される3人のことはもちろん心配です。それよりもエレーヌは、現寵姫の無邪気な悪意が悲しかったのです。




暖かい冬の風が吹きます。ナッツ海は星々の下で静かに佇み、人々の営みなど知らぬ存ぜぬまま美しく波を揺らします。海は海、空は空。海面と星空はとてつもなく離れていて、星が生まれる様子はありません。


エレーヌの賭けのお願いは実行されました。現寵姫は、国王と第1王子・第3王子の食事会を設けたのです。けれど、旧寵姫は謹慎中のため参加が叶いませんでした。

粗末な馬車で3人がハレムを出るとき、大勢の女性達が見送りました。頼れそうな知り合いの住所や手紙を託したり、宝石を渡したりしました。


「そんな服では野盗に襲われます」


現寵姫は、庶民の服と水とパンを持たせました。別れに汚い物を差し出す様子に、周りの女性達は非常識で傲慢だと囁きました。しかし、本当に役立つ物だとエレーヌは思いました。現寵姫は世間を知っているのです。

見送りに、国王の姿はありませんでした。


エレーヌ達の旅立ちは、静かでした。王宮の前には、泣き腫らした顔の国王がいました。




「エレーヌ、大丈夫か? ジジが心配してたぞ。ハレムで泣いてたって」

「ちょっとホームシックになっただけです」


エレーヌは嘘をつきました。あのときの気持ちを(よみがえ)らせたくありませんでした。


「国王陛下から聞いたんだ」


最初に旧寵姫と第1王子、第3王子をハレムから出した方がいいと言ったのは、現寵姫でした。


「ええ?!」


現寵姫は、第2王子殺害の目撃者でした。それは彼女がハレムに入ってまだ1週間のこと。現寵姫は国王が1人になったときに報告しました。そして、庭掃除のとき、旧寵姫の部屋のバルコニーが落ちるように細工されていたことを発見し、国王に知らせました。

国王は、すぐさま旧寵姫の部屋を、自分の母親の部屋の隣に移しました。国王の母親はドロドロハレムの百戦錬磨。最も頼りになります。国王の母親は旧寵姫を大変気に入っていましたし、孫達への絶大な愛があります。


国王は、自分が1人でいる浴場を狙って伝えにきた、現寵姫の(したた)かさが気に入りました。


「ハレムはこういうところだ。怖ければ去れ。私が許す」

「怖くありません。素晴らしいところです」


そんなやりとりがあったそうです。

旧寵姫をハレムから追い出すよう、国王は現寵姫に心理作戦を使われました。無惨にも恋心を利用されました。結果、現寵姫は自分の息子を授かるより前に、後継者争いの最強のライバル2名を排除しました。実に強かです。


「手紙を書けば? 約束してただろ」


セカンドは義理を果たせといった感じでした。


「はい。そうします」


部屋を出るとき、セカンドは言い残しました。


「エレーヌ、恋は幸せなものだ。辛い恋はするな」




読んでくださってありがとうございます。


「旅へ」の章に変更を加えました。

①兄妹の誰かが生まれた日、城からの道の途中の農家に貴婦人と生まれたばかりに見える赤ん坊が現れた。

②↑①のことを知る老婆を別荘に招待したのは、3番目の兄か4番目の兄かラインハルト。

③星宿る海は、辿り着く人を選ぶと言われていることを加えました。


迷走しております。主人公が体験する恋愛要素を増やそうと考えるほど、ぱさぱさした内容になっている気がします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ