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乙女ですもの清らかに恋したい  作者: summer_afternoon
西の国

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狙うは人生の一発逆転

「第2王子が、、、実は不審な事故死をしました。とうとう始まってしまったと覚悟しました。あの事件があってから、もう彼女のところへは通っていません。私の行動1つが愛する人の生死を左右すると分かりましたから」


セカンドは情に熱い男です。涙を(こら)えているのか、鼻水を(すす)りながら問いました。


「お会いにならないのですか。王子達にも」

「はい。会いに行けば、後継者候補とみなされてしまいます」


セカンドは進言します。


「国王陛下、王は様々です。戦術知略に長ける者、見事な治世を行う賢者、慈愛にあふれ慕われる者。私は、第1王子や第3王子も後継者候補に入れてはどうかと思います。まだ幼く、どのような人間に育つか分からないではありませんか」


国王は、やっぱり首を横に振りました。


「愛する女性と子供に、穏やかに生きてほしいのです。のびのびと。笑って。彼女にも子供にも殺し合いはさせたくありません。戦にも関わってほしくない。だんだん心が硬く小さくなってしまいます」

『伝えたい』


エレーヌは、国王の気持ちを旧寵姫に伝えたいと思いました。このままではあんまりです。エレーヌは憤(まん)やる方ない気持ちです。



全く気が進みませんでしたが、ハレムへ戻りました。

ハレムでは、女性達が、現寵姫が勝ったと噂していました。おもしろいのは、誰もが旧寵姫が突き落とすわけがないと言っていることです。


『みんな、分かってるじゃん』


但し、旧寵姫は謹慎処分。いよいよ現寵姫が力を持つことが見えています。女性達は現寵姫についた方がいいのではないかとか、中立の立場で様子を見ようとか話しています。


広間にいると、髪を濡らしたままの現寵姫が現れました。


「王女様、助けてくださってありがとうございます」


人目があるからか、すばらしい猫を被っています。


「いえ。もう気持ちは落ち着かれましたか?」


エレーヌは大人な対応を心がけました。


「ええ。今、お風呂でさっぱりしてきました。潮風は髪がばりばりになっちゃうから」


現寵姫は笑顔で、すとんとエレーヌの隣の席に座りました。そして囁きました。


「海に落ちた方がインパクトがあったのに。でも、ぅふ。目的は達成できそうです」

「目的?」

「私、あのおばさんが嫌いなの。とっても邪魔。高貴な生まれですって。ずるいと思わない? 高貴な家に生まれて、美しくて。そんな環境だったら心が歪む隙もない。貴方もですよね、王女様。生まれたときから努力もせずに様々なものを手に入れられる」


エレーヌは反論できません。


「そうですね。でも、貴方も美しさを生まれ持っていらっしゃいます。度胸も」

「美しさには自信がありません。だから、なるべく笑うようにしてる。太らないように、髪を整えて、姿勢よく。私は奴隷として生まれました。働かされ、鞭で打たれ、犯されて」


敬語で接したからか、敬語で返ってきました。


「それは酷いです」

「どういうわけか貢物としてハレムに来ました。働き手としてですが。最初はハレムがどんなところか知りませんでした。仕事をしているうちに、人生の一発逆転があると分かりました。国王の息子を産めばいいのです」


仕事柄、ハレム内のあらゆる場所を行き来できたので、現寵姫は国王がハレムに来たときのムーブを調べました。

遠征から帰ったときなど、国王は真っ先に旧寵姫に会いに行きます。それによって、国王の気持ちが旧寵姫にあることを知りました。なので、旧寵姫のもとへ行く国王は狙わないことにしました。No.3、No.4を訪れる国王を狙うことにしました。狙い目は浴場です。一人でいるところへ行って、国王の体を流したり、髪を洗ったり、


「肩の銃弾の痕にキスしたりしました。後は、ねぇ、ふふ。分かるでしょ?」

『分からーん』


具体的に聞きたいと思いつつも「相手があのおっさん」かと思うと耳を塞ぎたいような気持ちになるエレーヌでした。

そして、現寵姫は部屋を与えられました。最初は周りの女性全てが敵でした。今では、彼女に仕える女性達は味方です。


「今、私は、国王陛下にとって、若い新しいおもちゃです。その間に息子を産んで、ハレムでの地位を築かなければ奴隷に逆戻りです。犬や猫は放し飼いで、自分で餌を取ってこられます。でも、奴隷は仕事が終われば牢のような部屋に命を繋げる分の食事だけ。逃げても捕えられてまた奴隷です。私は、奴隷として死ぬのは嫌。ぜったいに息子を産んで後継者にします」


現寵姫の目は気迫に満ちていました。びりびりとした空気がエレーヌの肌をも振動させるほどでした。


央の国は奴隷禁止です。人身売買も禁止です。それは素晴らしいことなのだとエレーヌは知りました。


「そういえば、星宿る海を探してらっしゃるのですよね?」

「はい」

「王宮の書庫の旅行記に、それらしい記述がありました」

「拝見したいです!」

「私、タランチュラについて調べるので、ちょうど書庫へ行くつもりでした」

「え」


浴場にタランチュラを撒いた犯人は、現寵姫ではなさそうです。


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