表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ですもの清らかに恋したい  作者: summer_afternoon
西の国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/77

ハレムは女の戦場です

「民のこと、考えてない気がする」


エレーヌは、釈然としません。


「西の国の国王陛下がおっしゃったことは正しい。国が安定しなければ民の幸せはないのだからな」


エレーヌはセカンドに反論。


「戦は安定じゃありません」


セカンドは愉します。


「戦を利用して、様々な均衡を保っているという話だった。エレーヌが心情的に理解できないのも分かる。状況が違う。央の国の国境付近は険しい山々が多い。敵にとって戦は大変だ。敵は、侵略したとしても、その辺りの土地に旨みはほぼない。だから央の国を狙う国は少ない。だが、西の国の周りに険しい山は少ないし、温暖で豊かな土地。海産物も豊富。いろんな国の交通の要。穏やかな海を隔てて列強諸国がひしめいている。常に強さをアピールしなければ攻め込まれる」

「理解できました」


理屈は分かりました。けれど、エレーヌの下唇は面白くなさそうにつき出てしまいます。


「ヌーちゃん、もちっとクールに」

「ポーカーフェイスだぜ。ブラックジャックは強くても、ポーカー弱そうだなー」


護衛と御者にまで言われてしまいました。


『戦は殺し合い。それを利用するのは承服できない。民は宝』


その言葉を、エレーヌは飲み込みました。




西の国の都は世界随一の都。繁栄を極めています。

壁の装飾の美しさ、絨毯の模様、ティーカップ。目にする物全てが芸術品です。エレーヌは、国王との食事の席でそのことに触れました。国王は冷たいだけだった顔を綻ばせました。


「我が国の最も贅を尽くした場所はハレムです。ぜひご覧を。王女は若い女性。安全のためにも、滞在中はハレムですごされてはいかがですか?」


というわけで、エレーヌとジジはハレムに宿泊することになりました。


「いーなー」

「ヌーちゃん、ジジ、後でしっかり教えてくれよ」


護衛と御者から羨望の眼差しで見つめられます。

セカンドからは「くれぐれも気をつけて」と。

エレーヌは「はっ」としました。


「もしかして、今までみたいに狙われる可能性があるのですか?「ない」


被せ気味にセカンドに否定されました。そこまではっきり言い切られると、自分に自信がなくなります。


「西の国の国王陛下は利で動く。央の国に仮に自分の子がいたところで力は及ばない。それが央の国の制度だから。そもそも、央の国に領土を広げようなどとは考えていないだろう。広すぎる。手間も費用もかかりすぎる。西の国にとっては、央の国は貿易相手で十分だ」

『確かに』

「そうですね」

「それに、国王陛下はハレムの中から選びたい放題」

『それって、私に女としての魅力がないって意味じゃん』


少しムッとしましたが、ハレムに行って納得です。

美女だらけ。建造物やインテリアもさることながら、中で暮らす女性達こそ芸術です。


婚姻を利用して治世を行うのはよくあること。その場合、有力者の娘は必ずしも美しいとは限りません。

ハレムは違います。美しい女性が集められています。西の国の貴族は美しい娘を見つけると、教育を施し、国王へ貢物として捧げるのです。


『それはそれですごいシステム。女を完全に物扱いしてるし』


北の国の妃も国王に差し出されたようですが、妃の場合は、偽りであっても、あくまでも一族の者として出会ったはずです。似て非なりです。


ハレムの大きな派閥は2つ。第1王子、第3王子の母である旧寵姫。そして現寵姫です。

国王がエレーヌのもてなしを申し付けたのは、現寵姫でした。年齢は17歳。歳が近いから話が合うだろうとのこと。

現寵姫はケタケタとよく笑う女の子でした。現寵姫に仕えている女性達もとても陽気です。歌を歌いハモリ、踊り、ノリノリです。エレーヌは、この女性がなぜ現寵姫になったのか分かりました。一緒にいると楽しいのです。


「エレーヌ様。旧寵姫に仕えている女達が怒っています。どうやら私達は派閥争いに利用されているみたいですね」


ジジが耳打ちしてきました。


「はばつあらそい?」


エレーヌが首を傾げたところに、旧寵姫がご来訪です。他にも国王のお気に入りが数名、そして仕えている女性達。大人数です。


「央の国から大切な貴賓がいらっしゃっていると聞きましたので、ご挨拶に参りました」


旧寵姫はとても優しそうな品のある女性です。共にいる他の女性達も落ち着いた雰囲気でした。挨拶の後、一緒に楽しむのかと思いきや、その人達は、現寵姫に仕えている女性達に部屋を追い出されてしまいました。

エレーヌは見ました。現寵姫は右手をひらひらさせて「締め出せ」という合図を送ったのです。


どうやら現寵姫派は少数派。旧寵姫派は5倍くらいの人数でした。


「さっきの人が、前のお気に入り。子供を2人産んだおばさん」

『……ぇ?』


現寵姫の「おばさん:という言葉に、エレーヌは耳を疑いました。

とりあえず当たり障りのない受け答えをしました。


「優しそうな方でした」


すると現寵姫は、ぷっと噴き出しました。


「あはははは。優しいわよー。すっごく」

『うっわー。含みのある言い方。これ、すっごく怖い人って意味かも』


実は現寵姫は、旧寵姫にめちゃくちゃいじめられているかもしれません。さきほどの発言にはびびりましたが、もしそうなら、「おばさん」呼ばわりも大目に見ようとエレーヌは思いました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ