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猫、大暴れ

異世界転移ジャンル日間240位ありがとうございます!

翌日、私とムギは太陽が差し込む暖かい光を浴びながら起き上がった。

ムギはいつも通り私の横で寝ていて、異世界でもこの温かみを感じることができるんだと思い安心した。

かわいい。


私はベッドから立った後、特に何もすることがなかったのですぐ宿を出た。

手続きは特にいらず、受付の人にお礼を言ってお辞儀をした。


にしても、このムギの連れ戻す能力がとても便利で安心する。

本来逃げ出すような子じゃないから抱かなくてもいいけど、今まで万が一のために抱いていた。

ただ抱いていると疲れてしまうのはもちろん、ムギが自由に歩けないことに少し抵抗があったからありがたい。


私は一度町から出ると昨日の草原に訪れた。

そろそろこの彩度の高い色合いにも慣れてきた気がする。


「さて...そろそろ宿のお礼として敵を倒しますか...!」


そう。昨日泊まる時にあの宿は「守ってくれて」と言っていたので、もし何もしていないことがばれたら確実にお金を請求されてしまう。

武器ないのに倒すの?は置いといてそこら辺の敵は私よりレベルが低いはずだから、素手で叩いていれば何とか倒せそうだ。

まずは定番のおそらく弱いであろうスライムからで、倒しやすい孤立している敵を狙ってみる。

ムギも右で見守っているのだから頑張らないと。


「まぁ町からすぐだし危なくなったらすぐ引けるよね!」


と言ったはいいものの、やはり緊張して動けない。

当然生き物なんて殴ったことがなく、むしろ生粋の動物箱推しだから敵でも気が引ける。


私が一度落ち着こうと深呼吸をし始めたその時───そよ風と共にスライムがいなくなった。


「あれ?逃げちゃったかな...?」


と思ったが、ずっとスライムを目で捉えていたから見逃すはずはない。音もなく消えたのだ。


「みゃん」


短くムギが鳴き、ざらざらな舌で私の左手を軽く舐めた。

私はそのお返しにと撫でながら、少し違和感を覚えた。


「さっき、私の右にいたよね...?なんで左に?」


ムギに呟くように問いかけた。

私はもしかしてスライムが消えたのと関係しているのではと考えた。


とりあえず、再チャレンジのつもりでスライムを見つけ───たがまたすぐに消えてしまいムギに入れ替わっていた。

予想通り、あの消えたスライムはムギが倒したのだ。倒したことすらわからないほど速く。

どうやら、レベル20万は私が想像した何倍も強いようだ。

ムギがどんどん進んでいるが、私もここら辺を散策したい気分なので、そこら辺を散歩しつつムギのレベルカードを見てもっとムギのことを知ろうと思う。




また来た道を戻ってあの危険とされる森に来た。

相変わらず、奥が見えないほど暗い。


しかし猫の気まぐれなのか、理由もわからずにムギがどんどん森の奥へ進んでいく。

ただ、前の私とは違い危険な森の中だとしても堂々と歩くことができる。

理由としてムギの能力にある。


能力:僕の飼い主・飼い主を倒すまたは傷つけようとした場合、その相手を消す


つまり、私が傷つきそうになった瞬間、勝手に倒してくれるらしい。強いというか、もはやずるい。


森に足を踏み入れると、陽の光に包まれた草原とは対照的に、重く淀んだ空気が漂っていた。

まだ昼間なのにもかかわらず、木々の葉が密集していて、あたりは薄暗い。

少し気になるのは、戦闘態勢に入っている敵はいるのに、なぜかこっちを傍観したまま襲ってこないのだ。


しばらく歩くと、一本のツタ型の敵が現れた。

体長は5m程で、横幅も広く大きさはムギの比にならない。


当然ムギは恐れずに、大型の敵に近づいていく。

そして、敵の間合いに入った───その時、大型の敵がムギ目掛けてバットのフルスイングのように思い切り振った。


私は思わず「うっ」と呟き目を瞑った。

少し間を開け目を開くと腰を抜かすような光景があった。

なんとムギは防いだり避けたりもせず、傷一つ付かず当たったのだ。

それで癇癪を起こしたのか、大型の敵は何度も振り子のようにムギに薙ぎ払ったが効かない。


振る速度が段々と遅くなり始めたタイミングでムギが敵の真上に飛んだ。

そして敵の頭?を目掛けて着地と同時に小さな前足で叩いた。

その威力は見た目とは裏腹に、敵を瞬きする間に平べったくするほどの威力だった。


それを見た周りの敵たちはみんな逃げていってしまった。

私はこの光景を見て今まで敵が襲ってこなかったのは、ムギが強すぎたからだと確信した。

異世界のガイド役がいないと動かしにくい...

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