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祝福の鐘が鳴らされた時、この世界に勇者は現れた。  作者: 黒猫川 散歩
プロローグ 世界を、手に入れた日
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目指すべき、場所

本日も猛暑日が予想されると、ニュース番組は繰り返していた。


朝食後、デイバックを手に下げながら玄関先へ向かう。


「それじゃ、出かけてくるわ」


「わざわざ、こんな日に出かけなくても」


母親はテレビ画面を見ながら声だけをかけてくる。


高校二年の夏休み、来年は大学受験だ。


といっても、今は志望校があるわけでは無く、塾にも通っていないし、部活にも入っていないので、最初の一週間は家にいたのだが自室ではどうにも勉強に集中出来なかった。


だから気分転換も兼ねて、どこか外で勉

強をしようと思ったのだ。


もし知り合いに会ったら遊びに行こうかとも少し思っていたが。


自転車を()ぎ出して、すぐに後悔した。


帽子を被ってくれば良かった。

小学生の頃、黄色い通学帽子を失くして怒られた思い出があり、それ以来、帽子を遠ざけていたのだ。


汗が流れ、眼に入ってくる。タオルで拭い、頭に巻いてみるが余計に蒸されるようだ。


交差点で信号が替わるのを待っていると、猛暑と自動車からの排気熱で、肌にシャツが貼り付いてくる。

着替も用意してなかった。


駅近くの図書館へと辿り着いたが、開館前だが自習室の待機列が出来ており、既に午前の部は埋まっていそうだ。

今は9時、午後の部は昼休憩を挟み1時からなので、5時間後。


一旦(いったん)家へ戻ったら、その場で倒れ込んで一日が終わってしまうだろう。そうしたら、明日以降に出かける気力が沸くとも思えない。


携帯で、周辺の図書館を検索。


一番近くは児童館付属なので、自習室が無いようだ。


次が、近隣の山の中腹にある場所。山の上(やまのうえ)図書館というらしい。


残りは、一駅以上離れているので電車の方が早いだろうが、席が埋まっていたらと思うと、通学定期の期限が切れている今は、無駄遣いの可能性を排除したかった。


山の上図書館へ向かうとするか。


勉強も出来てサイクリングも山登りも楽しめるとは、充実した一日を過ごせそうだ。


そう自分に言い聞かせて、再び自転車に(またが)る。






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