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3/12

公爵家での問題

よろしくお願いします。

「皆、新しい兄妹のエリーゼだ。仲良くするように。」



 男爵家に迎えに来た豪華な公爵家の馬車に乗って、心の準備もできぬままに連れてこられたのは、公爵家本邸。


 玄関ホールで出迎えてくれたのは、公爵家当主とその家族。つまり、これからエリーゼの家族になる者たち。


 屋敷の奥にある応接には、更に他の一族が集まっているそうだ。これから挨拶しなければいけないのか。貴族の威圧感に、緊張で心臓が口から出てきそうだ。


 簡潔にエリーゼの紹介をしたのは、公爵家当主。背も高く口髭が素敵なナイスミドルだ。意外と年がいっているようで、40代半ばにみえる。


 その他に居並ぶ公爵家の家族たちも皆、美形揃い。エリーゼの美貌も霞みそうだが、エリーゼはどちらかと言うと可愛い系なので、『まだ大丈夫。』と謎の説得を自分に試みる。



 一旦皆で第一応接に移動して、そこで家族を紹介すると言う。エリーゼを出迎えるためだけに、家族は玄関ホールに集まってくれたようだ。少なくとも歓迎の態度は示してくれているので、少し安堵する。


 ちなみに他の親族が待つのは第二応接だそうだ。


 第一応接にて公爵は、エリーゼに家族を紹介する。


 公爵は子沢山のようで、家族が多い。


 まずは第一子。第一夫人の娘だそうだ。

「よろしくね、エリーゼ。」


 柔らかく挨拶をしてくれたのは、エリーゼと似たピンクゴールドの髪をした、麗しく年若い婦人。第一夫人とはすでに離縁しており、その娘である彼女は祖父母宅で育ったそう。すでに成人しており、結婚もして子育てに奮闘中と話してくれた。


 第二夫人の子供は男の子四人。

「よろしく。」と簡潔に挨拶してくれる。

 若いながらも精悍な顔つきをしている。学校でモテそうだ。皆貴族用寄宿舎に入っていると話してくれた。第二夫人とは死別しているとのことだった。


 第三夫人はまだ若く、エリーゼよりも小さな子供がいる。つまり、第六子がエリーゼで、第七子がこの第三夫人の息子と言うことになる。

 指を咥えながら、母親に抱っこされているが、父親に促されて、


「よろしくおねがいします。」


 と挨拶をした。

 三歳だというが、甘やかされているのか少し幼い感じがする。その母親もおっとりとした性格をしていそうだった。


 この国は、あまり聞き慣れない風習だったが、基本末子相続だそうで、この三歳の男の子が家督を次ぐ予定と説明された。


 最後に、エリーゼが再び紹介される。


 公爵の説明でエリーゼ自身もようやくわかったのだが、エリーゼは第一夫人の子どもなのだそうだ。



 少し面倒な説明だったため、エリーゼ含め子どもたちは途中で無表情になりはじめたが、このような話だった。





 第一夫人は公爵と離縁する前に妊娠していたのだが、離縁の際のドタバタで気が付かずに男爵と再婚。そして生まれたのがエリーゼ。つまり、エリーゼの母親である男爵夫人は元公爵夫人だったらしい。


 ちなみに、離縁の理由はよくあるもので、公爵が多忙で構ってあげられなかったこと。神経が細かった母は寂しさからノイローゼに。かといって公爵の仕事が減るわけでもなかったので、可哀想に思った公爵は母を手放すことに。その後母の幼馴染の男爵に母を任せたそうだ。


 今回のように父親がわからなくなることを防ぐために婚姻停止期間というのも設けられているが、療養のための別居期間などの事実上離縁期間を計算する際の誤差でこのような状況になったという。


 男爵も薄々気がついていたが、エリーゼの母親の精神状態を案じて言い出せないまま過ごすうちに情がわき、次第にエリーゼは欠かせない大事な家族になったと言う。


 しかし、エリーゼの母親が亡くなったので、そのまま黙っているわけにはいかず、公爵に打診したところ、公爵家は即座に調査、親子関係判明、引き取ると言う流れになったということだった。


 公爵も薄々気がついていたが、同じくエリーゼの母親の精神状態を慮って、あえて放っておいたとのこと。そのこともあって、事前準備がなされていたため、とても籍の移動がスムーズだった。





 以上のように、正真正銘公爵と第一夫人の娘であり、この家の第六子であることは皆理解できた。子どもも多く、離れて暮らすものも多かったことから、問題なく意外とすんなりエリーゼは受け入れられた。


 エリーゼが言葉を発するまでは。


読んでいただきありがとうございます。

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エンジェライト文庫様より2023/12/23電子書籍化
※書籍化に伴いタイトルを一部変更しています。
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