異世界転生したけど
よろしくお願いします。
気がついたら、異世界転生していた。
目が覚めたとき、見知らぬベッドで『ここはどこ?』状態。見上げると立派な天蓋付きベッドで、明らかに日本の物ではない。
自分の手のひらを見てみると、小さくてふにふにしている。
朧気な記憶によると、前世は日本人で20歳くらいだったはず。その後はきっと死んでいる。
異世界転生によくある、『神様に呼ばれて』とかではなく、輪廻転生?的なやつだと、何となく思う。
ベッドからおり、部屋に鏡を見つけて、『まあ、これが私?』という、これまた異世界転生によくある流れもやってみた。
髪の毛はふわふわなピンクゴールド。肌はシミ一つない。
少し丸顔であどけない気もするが、ツンと上を向いたやや小さな鼻、金色のまつげがふっさふさに縁取る大きな瞳は将来美人になること間違いなしだろう。
美少女っぷりに、心の中でガッツポーズを決めた。
ふらふらと部屋から外に出ると、慌てた大人たちが何人か駆け寄ってきた。
おでこに手を当てたり、抱き上げて布団に連れ戻したりされたところを見ると、どうやら私は熱を出していたようだ。
その日は異世界転生の驚きと、熱による疲れで、戻されたベッドでそのまま眠ることにした。
熱が下がったあと、屋敷内を歩けるようになってわかったことが二つあった。
一つ目は、この家の暮らし向きは結構いいということ。
日本の材質に慣れてしまっていると、皆が着ている服はやや厚手でモッサリしたように感じるが、上質な布を使っているのはわかる。
日本の家電に慣れていると、灯りをつけるだけでも手間がかかると感じるが、家の造りは丁寧だ。家柄はきっと貴族か上流家庭だ。
もう一度心でガッツポーズをとる。
死んでしまったのは残念だが、いいところの可愛い女の子に転生できたのだから、喜んでいいはずだ。
もう一つわかったことは、この国の発音がやたらと難しいこと。
家族やお手伝いさん達がなんと言っているのか全くわからない。
『これは大問題だ。』そう思った。
読んでいただきありがとうございます。