らしさ
同じものでも
見る人によって
見方によって
違うもののように見えてくる
音楽
芸術
物語
そして、人
わたしらしさ
あなたらしさ
わたしなりのわたしの形
わたしから見たあなたの形
あなたから見たわたしの形
あなたなりのあなたの形
わたしなりに決めた枠
あなたなりに決めた枠
誰が決めたわけではない
その人が決めた人の形
それは容易に変わっていって
変えようとするのは難しい
意図せず変遷するくせに
意図して変移してくれない
人の心が決めるのだから
ままならぬのは当然で
自分を変えることですら
ままならぬものだから
見知らぬ誰かが見たわたし
わたしが観測したセカイ
見知らぬ誰かにつけられたタグで
知らない私がどこかで生まれて
見知らぬ誰かにつけたタグで
知らない誰かが膨らんでいく
目に映るものが全てだなんて
思っているわけじゃないけれど
目に映らないものも全て
見通せるはずもないのだから
見知らぬ私が私のことを
知らないうちに消さないように
私が見知らぬだれかのことを
知らないうちに消さないように
わたしらしさ
あなたらしさ
わたしはわたし
それ以外の何者でもない
今ここにいる
それがわたし
作り上げられた虚構の上に座ってもいい
でも、砂上の城に胡座をかいて
一緒に心中するつもりはない
私の中の確固たる私は
誰にも崩せるものではない




