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独り善がり
なんのために言葉を紡ぐの
誰のために言葉を紡ぐの
あなたは誰かのためと思い
幾重も言葉を重ねてる
けれどあなたの言葉の中には
壊れぬ確かな芯が無い
流れるようで
溶けゆくような
心地良いだけの言葉であっても
心の奥には染み込むでしょう
けれど深い闇の中には
決して届くことはない
だからあなたの言葉では
私を縛れないのです
地べたを這ったことの無い人に
心の虚ろは見えないのです
だけどどうかそのままで
あなたの言葉が重くないから
救われる人もいるのです
だからどうかそのままで
虚ろを知らずに生きてください
救われたいと望む人だけ
掬い上げてあげればいい
救われるだけの余地があるなら
救われてくれた方がいい
幸せになる様を眺めて
幸せでいる気持ちになるから




