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海里

崖が迫り

谷間を抜けた河が

ふっと扇のように広がる


吹き抜ける風が

磯の香りを運び

視界の先には

どこまでも広がる海原と

どこまでも続く空がある


淡く砂色の壁に覆われ

瓦屋根を頂く家屋が

入江を取り囲むように

点々と建っている


入江の一点から伸びる桟橋には

幾つかの木船が浮かび

入江の内側に小さく広がる砂浜には

網がいくつも広げられ

陽射しにさらされていた


穏やかな波は

浜辺をゆりかごを揺らすかのように

幾度も幾度も繰り返し

波打ち際を

まだ幼い子供らが

笑いながら駆け抜けていく


この先に広がる海原は

魂が孵り、

やがて還る場所


この小さなむら

海から授かる小さな魂を

わずかな時の間預かり

育み見守る場所


命を受けたその間

帰り、安らぎ、旅立つ場所


やがて沈みゆく陽が

砂色の里を朱く染め上げ

子供らは皆、家路を急ぐ


暗闇が辺りを包む頃には

淡い月の光が

砂浜を鈍い鉛の色に照らすのだろう


繰り返される時の中で

永遠の時を繰り返すように

海は里と共に

魂を孵し

魂を還し続ける


荒れる時も

凪いだ時も

最後までお読みいただきありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[良い点] 詩を読み進めるに従って、美しい情景を思い浮かべることができました。 里も海も魂が宿る場所。それを照らす月。 どれも懐かしい感じがしました。 素敵な作品をありがとうございます!
2022/09/28 22:12 退会済み
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