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闇蛍
明滅する命の灯火は淡く
宵闇に浮かぶ光は儚い
静寂の中で
ほのかな光は薄暗い空に輝き
ひらひらと揺らめき
ちらちらと瞬き
やがて闇に呑まれる
星に住まう小さな光
地に縛られた小さな星
「気付いて」
それは草葉を揺らす風の音と
草葉を縫うように流れる川の音
その僅かな音のすき間を縫って
微かに響く小さな声
今にも消えてしまいそうな
木々の影に溶けそうな
けれどどこかに、
燃えるような強さを秘め
何度も何度も繰り返し
歌うように光るそれは
生きた証を刻むために
精一杯の力を込めた
儚く力強い声
それ故に
宵闇に明滅する命の灯火は淡く儚く
けれど
大地に力強く輝く小さな星
最後までお読みいただきありがとうございます
原本は数年前に書いたものなのですが、
こちらに投稿するにあたり
文字数が足りず、少し手直ししました。
手直しにあたって、
オリジナルとは違う部分に焦点を当てて描いています




