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季節の谷間に
季節外れの春の陽気
迷子の迷子の花吹雪
扇の月とお家へ帰ろ
ほんのひと時
冬のお休み
冷たい風が吹き抜ける
肌刺す風は厳しいようで
素っ気なさの中に優しさ溢れて
迷わず帰れとお見送り
季節の谷間
流れてゆくのは
時と
想いと
出会いと
記憶と
野木に火が点り
冬芽は地に眠り
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秋の終わりであることを忘れてしまいそうな一日
未だ青々とした紅葉の横には
季節外れの花が咲いていて
その一方で街路樹の銀杏は月の色に染まっていて
あちらとこちらで季節が違ってしまっているような
けれど、日暮れとともに吹き抜けていった風の冷たさは
確かに冬の訪れを告げていて




