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紅の葉雪、碧の波樹
散りゆく葉っぱに
またね
と告げる
消えそな声で
またね
と返る
真っ赤に燃えそな夕暮れなのに
吹き抜ける風は涼しくて
見守る木の葉が
またね
と告げる
散りゆく木の葉も
またね
と告げる
色鮮やかに降り積もる葉雪は
碧の波樹の下で眠って
さよなら、またね
またいつか
この身が命の流れに乗って
生まれて還るその日まで
伸びゆく白い薄絹が
日ごとに伸びゆく夜を招いて
夜告げる星に
お帰り
と言って
輝く笑顔で
ただいま
と返る
冷たく暗い夜なのに
降り注ぐ影は優しくて




