『ありがとう』
それはほんのわずかでも
姿も形もないけれど
色も匂いもないけれど
味も感じる事はないけど
それには何かの形があって
それには温かな色があって
もしかしたら
甘くて酸っぱい
どこか爽やかな味と匂いを
感じることもあるかもしれない
『ありがとう』
感謝の言葉
五文字の言葉
たった五文字の言葉だけど
時にはどうしても伝えられないこともある
そんなときは
硬くて厚い壁を感じて
その壁は燃えているのか凍っているのか
熱くて冷たくて
どこか苦味を覚えているかもしれない
その言葉に鍵をかけたのは
あなた自身か
周りの誰かか
面と向かえばするりと出てくる
そんなこともあるだろうけど
たった五文字の言葉なのに
時にはなんて表せばいいのか悩むこともある
そんなときは
もやもやとした霧を感じて
やっぱり暖かいのか冷たいのか
霧の中なのに味はしなくて
なぜか喉は乾いてるかもしれない
綺麗に着飾らなくちゃって
縛りつけたのは
あなた自身
綺麗に見えたら嬉しいけれど
その場で聞けたらもっと嬉しいこともあるんだよ
たった五文字の感謝の言葉
姿も形もないけれど
色も匂いもないけれど
味も感じる事はないけど
心の鎖を解く鍵になったり
離れていた手を繋いだり
心がふわっと温かくなったり
気持ちが心から溢れ出したり
揺さぶられたり
困らされたり
切なくなったり
嬉しくなったり
姿も形もないけれど
色も匂いもないけれど
味も感じる事はないけど
『ありがとう』
それには何かの形があって
それには温かな色があって
そこに込めたものは目に見えなくても




