生まれてくる子ら
真白な世界に落とす
たくさんの色がまざり合っている
マーブルのように
モザイクのように
色も形もはっきりしないなにかは
まざりあっているけれど
とけ合ってはいない
なにかは分からないけれど
そこにあるそれぞれは
どれも違っているみたいで
わたしはここだよ
と主張しながら
あっちとまざり
こっちとまざり
すくい出せばいいのか
つまみ上げればいいのか
わからなくて触れてみるけど
ここだよって主張するくせに
自分からは出てこない
あんまり隠れてばかりのときは
嫌な気持ちになって
ぐるぐるとかき混ぜてしまったりするけど
それで細かく散り散りになって
よけいに見つかりづらくはなっても
やっぱりいなくなってはくれない
それぞれは勝手にとけ合わないのに
うまく取り出せそうになったりすると
突然周りの子たちが一緒になったりする
一緒になって、大きくなって
持ち上げられなくなってしまったり
何処かからいきなり分裂したり
すがたと形と色が変わりだす
持ち上げられなくて元に戻すと
元の形に戻ることもあるけど
変わったままのときもある
時々取り出すことをあきらめちゃって
ぐるぐるとかき混ぜながら
色合いが混ざり合うのをぼうっと眺めたりもする
うまく取り出せたとしても
それで終わり、とはなってくれない
余計な色を落としたり
形を整えてあげたり
飾ってみたり
色を加えてあげたり
そうしてようやく出来上がっても
その後巣立ってくれるのか
しばらくその場でちょこんと出番を待っているのか
よくわからないときがある
そこまで形になってしまったら
愛着が湧いてきてるから
なんとかして外に出してあげたいって思うけど
それが出来ないのはわたしの力が足りないから
ぐちゃぐちゃに混ざってる子たちも
形になってるのに外に出ることの出来ない子たちも
外に出ていってひとり歩きをはじめた子たちも
みんな大事な子供たち
色んな人たちとふれ合ってきて
いっぱい成長するといいな
そう思って見守っている
数多の形と色と音に満ち満ちた世界に落とす
まじわらぬよう
つぶれていかぬよう
祈りながらその背を見送る




