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波の音

波の音が微かに響く

とても静かに

けれど確かに


寄せては返し

返しては寄せ

繰り返される波の音


緩やかに下る道の先

どこまでも広がる紺碧の野


白波が立つ渚に向かって

残されたままの足跡は

見下ろすように波間に止まる


駆け抜けていった幾重の足跡

大きいものも

小さいものも

等しく

変わらず

寄せては返す


微かに聞こえる笑い声

遠退く声を追いかけるように

煌めく声が駆けていく


透き通るような姿が一つ

足を止めて、波を見る


そうして小さく微笑みかけると

笑い声を追うように

声をあげて駆けていく


足跡と共に姿は消えて

残されたのは波の音

遺されたのは砂の跡


碧空覆う雲の合間を

縫うようにして緋の光


空へと続く階梯のように

紺碧の野へ降り注ぐ


繰り返される波の音

寄せては返し

返しては寄せ


黄昏時の宵の星

空へと導く確かな光


寄せては返す波の声

繰り返される優しい記憶


波の音は確かに響く

とても静かに

とても微かに

繰り返されるけど

どこか違って

その差はなぜか心に響いて

共に鳴り合って

溶けていくように

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― 新着の感想 ―
[一言]  寄せては返すというものの、ぶつかる波同士、さらわれる砂、風の強さ、と、現象としても同じではありえなくて。  感じる何かがあるのなら、気持ちとしてもひと波ひと波同じを保ってはいないでしょう…
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