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賽が舞う  作者: 和久井 玻緒
陸の目
35/36

 俺は自分自身のことでありながら、未だ受け入れられないでいる。


『出て行ってやっても良いが、今宵は食気が強い故、誰それ構わず生気を吸うがそれでも良いか?』


「ダメに決まってるだろ。お前は加減を知らない」


 阿紫は限度を知らない。


 少しだけなら影響はないだろうが、阿紫の『少し』と人間の『少し』にはずいぶん大きな差があるようだ。


 阿紫が少しと思っても、全然少しじゃない時もある。一歩間違えれば命を奪いかねない。


 初めてその異変を知った時、受け入れられずに阿紫を俺の『中』から出したことがあった。


でも腹を空かせた阿紫は傍にいた匠実の生気を吸いすぎて、匠実を気絶させてしまった。


 それ以来、阿紫を外に出すことは止めた。


 俺の生気を吸うのは式神だから仕方ないにしても、他の人の生気を吸うのはもってのほかだ。


 とはいえ、俺なら平気かといえばそうではなく、調子に乗って生気を吸われすぎると貧血を起こすこともある。


 俺は生気を吸われても、食事をすることで生気が養われ元気になるのだが、阿紫が中にいるようになってから、やたらと腹が減るのは、阿紫に生気を吸われているからに他ならない。


 そんなこんなで阿紫を野放しにできない以上、この女性化は免れない。

知らず深い、深~いため息が漏れる。


 ため息を漏らした俺を甘楽がどつく。


「ボケっと突っ立ってんなよ。邪魔だ」


 相変わらず冷たい口調の甘楽。


 でも、どういうわけだか、甘楽は今日、やけに女に磨きがかかっている。


 いつも以上にかわいい。

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