序章~目が覚めるとそこは~
初めての書き物になります。右も左もわからずに勢いだけで書き始めた作品になります。どこまで行けるか分からないですが生暖かく見守っていただけると嬉しいです。
――――目が覚めるとそこは………知らない天井だった。少し頭を動かして部屋の中を見てみるがやはり記憶にない。『ここは何処なんだ?』………この部屋は自室ではないが畳張りの和室でなかなか趣のある設えをしている。少しダルい気もするが身体を起こして右手をアゴに添えながら自問自答していると部屋の襖障子がスッと開く。
襖障子を開け入ってきたのは知らない女の子だった。長いプラチナブロンドの緩やかなウェーブがかかった髪型で銀色のカチューシャ着けている。可愛いエプロンドレス姿が良く似合う10才くらい?の小さな女の子が水桶を抱えながら部屋に入ってきた。
入ってきた女の子と目が合うと女の子は抱えていた水桶を足元に落としてしまい2~3歩自分の方へ歩いてきたかと思うと女の子はそのまま口元を両手で押さえ目に涙を浮かべそのままへたり込んでしまった。
えーーーっマジか、なんでいきなり泣き出した?初対面の(はず)女の子に何か泣かせるようなことをしてしまったのだろうか?いやまて会ってまなしでしかもまだ声も交わしてない(はず)小さな女の子に俺は何が出来ようか。
あ、アレか俺の顔が怖いのか?確かに職場の同僚やアルバイトの子達からは『目力が強すぎる』『直視されるとチビりそう』とか仕舞いには『顔面世紀末覇者』や『目付きがゴ○ゴ』←(TIMじゃないよ?)などと言われてきた。
なにかずれた気もするが円滑なコミュニケーションを初めるには最初が肝心だと俺は思うそうそれは挨拶だ。今、自分が置かれている状態はまったく解らないし戸惑うがとりあえず女の子に話しかけてみた。
「おはよう。俺は幸四郎って言うんだ怖いおじさんじゃないよ」
「………」
どうだこの挨拶からの鉄板的なネタをも混ぜながらの自己紹介は?ついでに出来るだけ爽やかな感じで一緒にサムズアップもしてみた。
これで場が和み女の子も少しは笑顔になって…なって無いぃぃぃ。何故だ?何か間違えたのか?あ~これはアレか今どきの女の子にはネタが古かったのか?俺の飲み友達基準なら間違いないはずだったのに。
やはり良い歳のおじさんたちが喜ぶようなネタがマズかったか?それともやっぱり俺の顔が怖いのか?いや待て確かサムズアップって日本や英語圏などは肯定的だったがいくつかの国々は侮辱やワイセツ的なハンドサインになるって聞いた覚えがある。
マズい…どこの国の女の子かわからないのにやらかしてしまったかもしれない。場を和ませようとした渾身のネタ挨拶を外し恥ずかしく身悶えをしそうなのを我慢して、もう一度、今度は女の子の目を見て怖がらせないようになるべく優しく「おはよう」とだけ声をかける。
声をかけると女の子はいきなり抱きついてきてさっきより大粒の涙を流し小さく掠れるかのような声で何故か俺に謝りながら更に泣いてしまった。
「ごめんなさい………。ごめんない………。ごめんなさい………。」
何故か泣きながら謝るばかりで困り果てていると今度は部屋に知らないお爺さんが入ってきて声をかけられる。
「気分はどうじゃ?どこが身体に不調はないかな?」
顔を向けると和装に身を包むお爺さんだった。見ためはあの長寿時代劇の(確か初代?の人に似ている気がする)ちりめん問屋のご隠居さんみたいな人で眼鏡をかけた好々爺のような人だ。
「俺は大丈夫です。少し自分のおかれている状態に戸惑はしますが痛みや不調などは特にありません。それよりも自分が今おかれている現状を教えてもらえると助かるんですが…。」
「そうじゃな取り敢えずはそこからかのぅ。」
お爺さんが女の子に声をかける。
「あー、そろそろ落ち着いて涙を拭いたらどうじゃ?あまり彼を困らせてはいかんよ。 」
「ぐすっ…はい、申し訳ありませんでした。」
女の子は涙で少し目元を赤くしていた顔をお爺さんから手渡されたハンカチで涙を拭いて居住まいを治しお爺さんの横に座り直した。
「先ずは簡単にワシ等の自己紹介からかの。ワシはつまるところ君たちが言う神で君の横にいるその子は孫娘みたいなものじゃ。あぁ、ちなみに君の自己紹介は不要じゃよ。佐々木幸四郎くん。」
は?今、何て言った…?……神?俺はおもむろに少し右手を上げて聞き返してみる。
「あの~神と言うのはあの世間一般的に言う【神様】と言うことでよろしいのでしょうか?」
「君がどの神の事を言っているのかは解らぬがワシがその神じゃ。君が住んでいた世界、地球の神では無いがな。」
解らないことが多く少し考えてみるが全然現状が理解できない。取り敢えず少し言葉に詰まりながらも1つずつ聞いてみる事にした。
「すみません、いまいち自分の置かれている状況が解らないのですが…目の前に神様がいると言うことは私はすでに死んでしまっていて此処は天国または地獄と呼ばれる所なのでしょうか?」
「ふむ、君は正確に言えばまだ死んではおらん。そして此処はワシら神々が住む場所でこの部屋はワシのプライベートルームって所かの。」
「では自分がいた世界ではないと言うのは?」
「君からすれば異世界、ワシは君の住んでいた世界とは別の次元にある世界の神じゃよ。」
話を聞くとある程度、今の状況がわかってくる。ただまだ自分で結論を付けるのは早い。
最後にもう一つ確認をしなくてはならない。
「自分はどうして異世界、それも異世界の神様のプライベートルームで寝ていたのでしょうか?」
そう話を切り出すと今まで静かに座っていた小さな女の子がピクリっと動いた気がした………。
「そうじゃのう。その質問に答える前に君は目が覚める前のことは何処まで覚えているのかの?」
「正直に言いますとあまり覚えていないんです。確か今日は久しぶりに二日続けて休みが取れて近所を散歩していた所までは何とか思い出すことができましたがそれから先は記憶があやふやで………。」
質問を質問で返されてしまったがもう少しここに来る前の事を思い出してみる。
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3月の半ば、今日は久々に仕事が休みでしかも2連休。これといった用事も無かったので家から少し歩いて15分位の場所にある場末の公園まで散歩がてら来ていた。
休みということもあって今日は白いパーカー、デニムで七分丈のパンツにクロックス風のパチもんのサンダルというラフな格好で散歩に来ている。
今日は特に誰と会う予定もないし入れるつもりもないから少し普段よりラフな格好で来ていた。
今はド平日の午前中ということもあり周辺を見渡しても人はまばらで他の人はベンチにお爺さんが1人と10才くらいの幅広目の帽子を被った女の子くらいしかいなかった。
特に悩みもせずに公園の入り口に近いベンチに座ると俺は先ず胸ポケットから煙草を取り出して火を付けて一服をはじめた。
「スーーっハーーーっ、あ~今日は良い天気だわ。」
まだ午前中ということもあって3月半ばの晴れ日だがあまり肌寒くはなく心地よいくらいだった。
煙草をふかしながら何も考えずボーっとしていると煙草も吸い終わり吸い殻を携帯用灰皿にしまっていると突然、強い風が吹く。
「お、春一番か?」
今年も春が来たなーと耽っているとさっき見かけた女の子が自分の横を走っていく。何だ?と思い女の子の方へ顔を振り向き女の子の後ろ姿を追うと、さっきの突風で帽子が飛ばされて公園に隣接する道路に飛び出してしまったようだ。
女の子がしゃがんで帽子を拾っていると大型のトラックが女の子の飛び出した道路の先から走ってくる。
女の子が大型のトラックに気がついていないみたいなので大きな声で「車だ!逃げろ!」と叫ぶと女の子のは「きゃーーーっ!!」っと悲鳴をあげながらその場に立ちすくんでしまう。
「クソっ!!間に合うか?」
そのまま脇目も降らず道路に飛び出したのだが、意識はそこで途切れてしまう。
初めは勢いだけで投稿していき慣れてきたら投稿する頻度を決めようと思っています。