プロローグ Ⅰ
初めて執筆し、初めて投稿します。何もかも初めてです。暖かい目で見守り下さい。
20XX年11月、少し肌寒く感じる季節。雲ひとつない空の下黙々と作業を続けている。
「おい!大地!何ちんたらやってんだ!早く片付けろ。いつまでたっても上がれねぇだろ!」
怒鳴る先輩はもう車に乗ってタバコに火をつけていた。
「すみません、今終わします。」
そう言って俺は後片付けを始めた。別にノロノロやってる訳でもない。むしろ自分の中ではかなりキビキビと動いてやっている方だ。と思いながら片付けを終わらせた。
「いつも遅せぇな。いつになったら早くできるようになるんだ?」
「……すみません。」
いつも遅いと怒られる。小中高と遅い事で怒られなかったことなんてないほどに。自分では急いでやっているのになぜ遅く見られるのだろう。揺れる車内で1人落ち込んだ。
会社に戻り家に帰る。家までは徒歩10分もかからない。途中晩飯を買う為にコンビニに寄って。
店内に入ると違和感を感じた。
(あれ?いつも寄るけど配置変わったのかな?)
不思議に思いつつ弁当とお茶を手にレジに置いた。
「いらっしゃいませ。2点で627円です。お弁当は温めますか?」
初めて見る大学生くらいの女の子が慣れた手つきとセリフで淡々と仕事をしている。
(始めてみる顔だな。新しいバイトでも雇ったのかな…)
「はい、お願いします。」
「袋もおつけしますか?」
「お願いします。」
「お会計変わりまして、630円になります。」
俺は財布から千円札を出して受け皿に置いた。するとレジの女の子が不思議そうにお札を見て、
「お客様、これは偽札ですか?警察呼びますよ?」
そう言われ俺は少し焦った。
「に、偽札?これが?からかってるんですか?」
「ふざけないでください!ほんとに警察呼びますよ?」
俺は慌てて財布から他のお札を出して渡したが女の子は偽札と疑うばかりで一向に進まない。
(この子は何を言っているんだ?お札を見た事が無いわけじゃあるまいし…)
言い合っていると後ろから30代くらいの男性が間に割り込んできた。
「お嬢さん、これも一緒にまとめてお会計お願い。」
男はレジに缶コーヒーを置き、俺の出したお金を回収して自分の財布からお金を渡した。
「……分かりました。742円ちょうどお預かりします。レシートです。」
「ありがとう。さぁ行こうか。」
そう言い、男は俺の腕をつかみ外に出た。
外に出ると周りの景色が多少変わっていた。俺は不思議に思いつつ男に礼を言おうとすると、
「君…トラベラーだね?」
突然の問に俺は困惑した。
「ト、トラベラーって?いや、俺の家ここら辺なんですけど…」
男は振り返り俺の顔を見て確信したような顔をした。
「やはり、君はトラベラーのようだ。」
「は?いやいや、だから…」
「ここだと人が多すぎる。ひとまず俺の家に来い。」
男は俺の言葉を遮りそう言った。俺は黙ってとりあえず後について行くことにした。
不定期更新です。1週間以内には投稿できるかと思います。楽しんで貰えると幸いです。