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3/3

え、英雄だと?

 あ、ありのまま今起こったことを話すぞ。


 俺は隙を見て盗賊に斬りかかった。

 そしたら、すんでのところで創造神の余計なお世話が発動。

 この世には存在しないはずのスキル――攻撃力アップ《超・特大》を授かった俺は、盗賊のひとりをぶっ飛ばしてしまった。 


 っていうか、あいつ、帰って来られるのだろうか?

 だいぶ遠いところに行ってしまった気がするが。


「う、嘘だろ?」

「アーレが簡単に吹き飛んでいきやがった……」


 さしもの盗賊たちも、これにはびっくり仰天したらしい。

 仲間が飛んでいった方向を見上げながら、ぽかんと口を開けている。


「おい」

「ひ、ひいっ!!」


 俺が一声かけると、盗賊たちが怖じ気づいたように後ずさる。

 完全に戦う気をなくしたようだな。うちひとりが、拘束していた少女をあっさりと手から離した。


「や、やばいぞっ……! さすがはヴィケンズ様を倒しただけはある……!」


 いや。

 まあな。

 俺がヴィケンズを倒したのは間違いないんだが……なんか違う。


 創造神の奴が余計なことをしやがったんだ。チート能力で敵を蹴散らすなんて、俺の矜持きょうじに反する。


 だがまあ……ひとまずそれは置いておこう。

 いまは他にやるべきことがある。


「く、くそっ! かくなる上は……っ!」


 盗賊どもは完全に戦意を喪失したようだな。

 俺に反撃してくるどころか――むしろ逃げようとしているんだが。


「させるかよ……っと」


 俺は地を蹴り、盗賊たちの前に回り込む。


「ひっ……! 早え……っ!」

「マジで化け物だっ……!」


 自分を殺そうとしていた奴を、まさかこのまま逃がすわけにはいかない。こいつらは盗賊だし、また復讐しにこないとも限らないからな。


「じゃ、申し訳ないが逝ってくれ」


 容赦なく剣を振るう俺。


 すると再び視界に下記のメッセージが表示された。

 

――――――


 創造神より下記の能力が発動されました。


 ・攻撃力アップ(超・特大)


――――――


 おい。

 またあの創造神、余計なことを……!


 だがいまさら攻撃を止められるはずもなく、俺の剣は盗賊どもに直撃し。


「うぬぎゃああああああ!」


 残りの盗賊たちもまた、空高く飛んでいくのだった。

 

 ★


「ふう……」


 大きく息をつく俺。


 ――終わった。

 取り立てて苦戦したわけではないのだが、なんだかどっと疲れた気がする。この短時間でいろんなことがあったからな。


 やはり気がかりなのは、さきほどの創造神の能力か。《内緒で最強能力を授けておいた》とか聞こえた気がするが……いったいどういうことなのか。


 だが、それを考察するのは後回しにするべきだろう。


「ん、んー

 さきほどまで盗賊に拘束されていた少女を、俺はひとまず助けることにした。


 口に貼られていたテープを剥がし、後ろ手に縛られていたロープも解いてみせる。


 と。


「うあっ……はぁ、はぁ……」

 少女はしばらく荒い呼吸を繰り返したのち、改めて俺に頭を下げる。

「あ、ありがとうございます……。あの、えっと……」


「いや、いいよ。そのままで」


 へたり込んだまま喋るのを無礼だと感じたんだろう。咄嗟に立ち上がろうとする少女を、俺は右手で制した。


 どう見ても疲弊しているからな。

 無理に立ち上がらせる必要はない。


 俺はその場に座り込み、少女と目線を合わせる。そして懐からハイポーションを取り出すや、彼女に手渡した。


「ほら。これを」


 正直、数少ない回復薬なんだが……この際、仕方あるまい。


「え……でも、悪いです……」

「気にするなよ。その傷をそのままにするわけにはいかんだろ?」

「は、はい……すみません……」


 こくりと頷き、少女はポーションをゆっくりと飲み干す。即効性はないものの、上質な薬だ。じきに彼女の体力は戻るだろう。


「はぁ……助かりました……。ありがとうございます。あなたは命の恩人です……」


 ふうと息をつく少女。


 ……よくよく見ると、かなり可愛いな。

 年齢は――だいたい18歳くらいか。

 可愛らしい顔と、そしてやたら大きな胸部に目がいってしまうが……なにより特徴的なのは耳だな。キツネのようにモフモフした耳が、後頭部から飛び出ている。


「君は……まさか」


「はい」

 少女は恥ずかしそうに頷く。

「私は人間ではありません。フィーネ族……そう呼ばれています」


「フィーネ族……」


 マジか。

 フィーネ族といったら、滅多に人前に姿を現さない種族ではないか。

 そんな彼女が、いったいどうして盗賊なんかに。


「改めまして、助けてくださってありがとうございます。えと、あなたのお名前は……」


「あ、ああ。ヴェルス。ヴェルス・イアードだ」


「ヴェ、ヴェルス? え? 本当ですか?」


「ん?」


 なんだ?

 なにをそんなに驚いている。


「いえ、私たちの英雄――闘神様と同じ名前だったもので。びっくりしたんです」


 な、なぬ?

 思わぬ単語に、今度は俺が目を見開いてしまうのだった。


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