表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

え、普通そんなんで追放するか?

「ば、化け物が……!」


 洞窟内にて。

 黒ローブを羽織った男が、片膝をついた姿勢で悪態をつく。


「ヴェルス・イアード……実力は噂以上かよ……!」


「いやいやいや」

 俺――ヴェルス・イアードは、剣を鞘にしまいつつ、ひょいと肩を竦めてみせる。

「俺なんてまだまださ。ちょいとだけ、あんたの攻撃をかすっちまったからな」


「それだけで《まだまだ》だと……? ふ、ふざけんな!」


 激怒する黒ローブの男。


 そうか。

 そういやこいつ、国内でも有名な盗賊団の首領だったな。

 幾度にわたって挑んできた冒険者を、ことごとく返り討ちにしたという。


 別名――皆殺しのヴィケンズ。


 あまりにも多くの冒険者を殺したことから、人々からは強く恐れられていた。聞くところによると、エース級と呼ばれるAランク冒険者でさえ勝てなかったらしい。


 だが。


「いやいや、かすっただけでも駄目だって」


 なぜなら、俺は防具を着ることができないから。

 厳密に言えば、最下級の《レザーコート》や《レザーレギンス》といった弱い防具なら着れるんだよな。いまの俺も、冒険者になったばかりというような装備を身にまとっている。


 だが、それ以上に高級な防具は着ることができない。すこし着ようとしただけで、全身に激痛が走るからだ。


 理由は単純明快。

 前世の俺がそう神に願ったからである。


 ――やはり男は《裸ノーダメ完封》が正義。


 前世で一通りの魔物を秒殺できるようになった俺は、今度は刺激を求めるようになった。

 強い武器さえあれば、ある程度の魔物なら誰でも倒せる。

 簡単なんだ。


 でも、それじゃ飽きたからな。


 来世では刺激ある生活のために、呆れる神を無理やり説得して、この呪いを自身に課した。おかげで順風満帆な日々を送っている。


 ひとつ懸念事項があるとすれば――そうだな。


 まともな装備を身につけられないせいで、俺はギルドでも異質の存在だってことか。


 実際にも、俺の冒険者ランクは最下級のE。

 いくら戦闘経験が豊富といっても、防御面において頼りない者を昇格させるわけにはいかないらしい。

 まともな攻撃を一撃でも喰らったらアウトだからな。


 だから俺は、冒険者7年目にしていまだ最底辺。

 年齢も25歳だし、どんどん若手の冒険者が登録してきている時期だ。


 こうなってくると、さすがにギルドにも居づらくなってくる。新人冒険者たちの冷たい視線も気にかかってきた。


 ギルドに登録していないと、強い魔物と戦うのにも一苦労するからな。こうなると困るんだ。


 だから俺はヴィケンズを狙った。

 悪名高いこいつを倒せば、ギルド内でも評価が高まるだろうと。Dランクくらいには昇格できるだろうと。


「そういうわけで、ヴィケンズ。ちょいと気を失っててもらうぞ」

「くぬっ……!」


 俺がヴィケンズの首筋に手刀を打ち込むと、奴は白目を剥いて動かなくなった。


 これで、すこしは俺の評価が上がるはず。

 ――そう思っていた時期が、俺にもあったんだ。




 王都ホルワース。

 冒険者ギルドにて。 


「はぁ? ヴィケンズを倒しただぁ?」


 ギルドマスターの素っ頓狂な声が響きわたる。


「ああ。念のため気絶させているが……拘束を頼めるか」


 言いながら、俺は背負っていたヴィケンズを床に置く。強めに手刀をしておいたし、まだまだ目覚めるには時間がかかるはずだ。


「な……!?」

「本当に皆殺しのヴィケンズ……!?」

「嘘だろ……!?」


 周囲の冒険者が口々に喚き声を発する。やはり、こいつの討伐はかなり目を引くみたいだな。


「というわけだ。あとは頼んでもいいか?」


「――困るんだよなぁ」


「は?」


 ふいに眉根を寄せたギルドマスターに、俺は顔をしかめる。


「ヴェルス。知ってるだろ? ヴィケンズは強敵だった。我がギルドにおいても、多くの犠牲者が出た」


 それは知っている。

 だから俺が討伐しにいったんだ。半分は《自分の名誉のため》だが……こいつを放っておけば、さらに被害が拡大するからな。


「ヴェルス。おめー、ランクはなんだよ?」


「は?」

 どうしてそんなことをいまさら聞くのか。

「Eだ。それがどうしたってんだよ」


「馬鹿野郎が。そんなこともわからねーのか。AランクやBランクの冒険者が殺されたのに、Eランクごときがやっつけたんじゃ……ギルドの信用問題に関わるだろうが!!」


 は?

 こいつ……なに言ってんだ?


「ヴェルス。君はほんと、頭が悪いねぇ」


 ふいに新たな人物が姿を現した。

 ニールス・ケイン。

 青の長髪が特徴的な、Sランク冒険者だ。


 ニールスは嫌らしい笑みを浮かべながら、続けて言う。


「ただでさえ、現在はギルドの評判が落ち続けている。そこで君なんかが功績を出してみなよ。ギルドは人を見る目がない、むしろ無駄な犠牲者を出した……そんな噂が広まるのは必然だろう」


「…………」


 呆れた。

 あまりに次元が低すぎて、言い返す気にもなれない。


「そうだ、ニールス! おまえがいたじゃねえか!」

 ふいにギルドマスターがにかっと笑う。

「ヴィケンズはニールスが倒したことにする! それなら問題ねえな!」


「ふっふっふ。さすがはギルドマスター、僕も同じことを考えていたところだよ」


 は?

 は?

 は?


 おいおい、なに勝手に決めてやがるんだよ。


「というわけだ、ヴェルス」

 最後に、ギルドマスターは俺に振り向いた。

「ギルドの信用のために、おまえにはここを去ってもらう。わかってるな?」


「おい、ふざけ……!」


 そう言いかけたところで、俺は気づいてしまった。

 周囲の冷たい反応に。

 誰もが俺に敵対する目つきをしていることに。


「…………」


 なんだ。

 なんだってんだよ。

 このでっち上げを、みんな見ていたはずだよな。そのうえで、俺をのけ者扱いするってのか。


「出ていけ、ヴェルス。ギルドマスターの命令は絶対だ」


「はあ……」


 先輩冒険者に投げかけられた言葉に、俺は心から嘆息する。


 もはや反論する気力さえ起きない。

 こいつらには、最初からなにを言っても無駄だろう。


 ――そうやって、俺はギルドから追い出されたんだ。


【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】


すこしでも

・面白かった

・続きが気になる


と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。


あなたのそのポイントが、すごく、すごく励みになるんです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン


何卒、お願いします……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ