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水曜日の彼女  作者: 揣 仁希
第1章 出会いの春と進展の夏
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女子会with僕な日曜日



現在、僕の隣で鈴羽が苦笑して向かいの席を見ている。

で、その向かいの席では3人の女の子達がケーキを食べながら僕等について盛り上がっている。


ええ、もうそれはそれは本当に盛り上がってらっしゃいます。はい。


・・・どうしてこうなったかと言うと・・・




「米がない・・・調味料も大分少なくなってきたし買い出しに行かないとマズイかな」


鈴羽と付き合いだして早いもので一月が経とうとしていたある日、夕食を作ろうとして米がないことに気づいた僕は、スーパーに買い出しに行くことにした。

僕の住むハイツは駅近ということもあり食料品店やその他のお店が結構周りにたくさんある。


僕はスマホで近隣のスーパーのチラシの安売りを探して、駅の向こうのスーパーに向かっていた。


鈴羽はまだ仕事中かなぁ、と思いながら駅前通りを歩いていると、


「皐月君〜!」

「あれ?鈴羽?」


ちょうどすぐそばのお洒落な喫茶店に入ろうとしていた、鈴羽に呼び止められた。


「今日はお仕事もう終わったの?」

「うん。会社の同僚とちょっとお茶して帰ろうかなぁってことになって、皐月君は?」

「僕は食料品の買い出しかな、晩御飯作ろうと思ったらお米がなくてね」


この時、このまますんなりと買い出しに行っていれば良かったんだけど・・・


「九条先輩〜どうしたんですか〜?」


喫茶店の中から女の子が鈴羽を呼びに出てきた。

目のくりっとした20歳くらいの女の子だ。


「先輩〜?あれ?この子はどちらさん?先輩の弟さんですか?」

「えっ?弟?違うわよ、皐月君は・・・」


女の子の問いに鈴羽は、答えかけて困った顔でこちらを見てきた。

ああ、きっと僕と付き合ってるってことは言ってないんだろうなぁ〜う〜ん、どうしようか?


僕達が顔を見合わせて苦笑していると、女の子は何か閃いたみたいで、


「今、九条先輩とお茶するところなんです!ご一緒しません?しますよね?はい、ご一緒しましょう!」


考える間もなく、鈴羽と僕は喫茶店に連れ込まれていった。


そこからはご想像通り。一緒にきていた女の子達に根掘り葉堀り聞かれて、今に至るわけ。


「九条先輩って彼氏さんと一緒のときも、こう〜ビシッとした感じなんですかぁ?」

目のくりっとした子、夏木杏奈っていうらしい、が目をキラッキラッさせて聞いてくる。


「う〜ん、どうだろ?僕は仕事中の鈴羽は知らないから・・・」

「「「 鈴羽 !」」」

「九条先輩を呼び捨てよ?鈴羽呼びよ?マジ彼氏さん年下ですか?・・・ご馳走さまです!」

「いや〜ん、私も呼び捨てにされたい!『紗奈!』 キリッ!みたいな!」


えっと、大丈夫かのか?この人達。

あとの2人、ご馳走さまの子が、瀬尾梓さんでキリッの子が春木紗奈さん。

3人とも鈴羽の部下だそうだけど、大変だろうなぁ。仕事中はちゃんとしてるんだろうけど。


「3人とも、あまり皐月君を困らせないでね・・・」

鈴羽がため息をつきつつ3人に言っているが効果はゼロに等しい。


「年下の彼氏を心配する、九条先輩・・・レアだわ」

「会社の男供が知ったら卒倒するね!秘書課の花に彼氏!それも年下!」

「九条先輩、狙ってる社員かなりいるものね!営業の本田さんとか開発の佐藤さんとか・・・ご愁傷様です!」


鈴羽、もう諦めましょう。これ止まらないやつですよ、きっと。


「ごめんね、皐月君」

「いえ、鈴羽こそ、ご苦労様」

僕等は再度顔を見合わせて苦笑し冷めた紅茶を飲みながら彼女達を生温かい目で見守ったのだった。



結局、閉店近くまで盛り上がりは治らず、僕と鈴羽はぐったりして帰路についた。



もちろんスーパーは営業時間は終わっており、僕の夕食を作る気力も根こそぎ奪われていたのだった。





お読み頂きありがとうございます。

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