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水曜日の彼女  作者: 揣 仁希
秋の訪れとそれぞれの冬
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水曜日の晴れた日に


誕生日会も無事に終わり僕の受験の日は、あっという間ににやってきた。

推薦組は11月後半頃から受験が始まる。

その日は朝から、鈴羽が落ち着きなく部屋の中をウロウロと歩きまわっていて逆に僕が鈴羽を落ち着かせるはめになったくらいだ。


簡単に結果はと言うと、思っていたより簡単だった。面接も特に何事もなかったので大丈夫なんじゃないかな?

そんな意外にあっさりと受験を終えてしまった僕は友人達の進路について考えていた。


リョータは大工になる為に学校が終わったら棟梁のところに教えてもらいに行っている。

高山君は、実家を継ぐのでお寺の修行。


みんなそれぞれに将来のことを考えて自分の道を歩き始めた。

学校も11月は自由登校になり残りの推薦組は各自で受験勉強に勤しんでいる。



そんなある日のこと。

僕と鈴羽は気分転換にと、以前にも来たことのある想い出のショッピングモールに来ていた。


「ここに来るのも久しぶりね」

「うん。何だか随分と前のように感じるよ」

以前に来たときより専門店が増えていたりまだ閉まっていた店が開店していたりと結構様子が違ってみえた。


「ほら、皐月君。行こう」

「うん」

あの時のように2人で手を繋いでショッピングモールに入っていく。


久しぶりの2人での買い物はとても充実したもので、鈴羽の服を見たり僕の服を鈴羽が選んだりとあちこちを見て回る。


「うわぁ、皐月君。見て見てすごい豪華客船!」

ショッピングモールの北側の埠頭にはものすごく大きな客船が停泊していた。

まだお昼を少し過ぎたくらいにもかかわらずライトアップされていて某映画に出てきそうな景観を誇っている。

「こんな船で・・・新婚旅行に行きたいね」

鈴羽は悪戯っ子のような笑いをして僕を覗きこむ。


「ん〜、予約する?」

僕も鈴羽にそう笑いながらかえす。

「うふふふっ」

客船を背中に笑う鈴羽がたまらなく愛しく思う。



「ふぉふぉふぉ、ならワシが予約しておいてやろう」

「えっ?」

急に声をかけられて振りかえる。

「か、会長?」

「あっいつかの・・・門崎会長さん?」


振り返った先にはツーピースのスーツを着た老人と壮年の男性2人が立っていた。


「ワシの知らぬ間にお主ら結婚の約束までしておるとは・・・」

「かっ会長!今のは言葉の綾と言いますか、その、あれです!あの・・・」

鈴羽は突然の門崎会長さんの登場にわたわたとテンパっている。

うんうん。そんな鈴羽も可愛いなぁ。

おっと、そんな場合じゃなかったんだ。


「お久しぶりです。門崎会長さん。以前は知らないとはいえ失礼しました」

「ふぉふぉふぉ、そんな畏まらんでいいぞ。いつも通りでよいよ」

「そうですか?ではそうさせて頂きます」

頭を下げて挨拶した僕に門崎会長は楽しそうに笑ってくれる。


「会長、こちらの青年は?」

壮年の男性の1人、年の頃は40代後半くらいだろうか?いかにもどこかの会社の重役のような人が問いかける。

「おお、そうじゃったの、紹介がまだじゃった。ほれ、ちとこっちにこんか」

僕は門崎会長に腕を掴まれて前に出される。


「立花皐月君。和先生の御子息でうちの秘書の九条君の結婚相手じゃ」

「立花皐月です。宜しく・・・って最後の方は何ですか!」

「なんじゃ?さっき自分で言っておったじゃろうが?」

門崎会長さんは人の悪そうな笑顔をして僕と鈴羽を交互に見る。

「で、こっちの悪そうな顔の男が、喜多嶋勝利。エイジスグループの社長じゃな。そっちのもっと悪そうな顔のが桂木忠。フリークエージェンシーの社長じゃ」


「・・・・え?」

エイジスにフリーク?どっちも大企業じゃないか!そこの社長さんて!


僕を眺めてニヤニヤ笑う門崎会長さん。

気分転換にどころじゃないような気してきたよ・・・






お読み頂きありがとうございます(//∇//)

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