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水曜日の彼女  作者: 揣 仁希
秋の訪れとそれぞれの冬
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金曜日の決心

次回から甘み成分補給します(笑)



「そこで、立花君に一つ聞いておきたいことがあってね」

お父さんはお茶を飲みほして僕に向き合う。


「立花君は、大学を卒業後実家を継ぐのかね?」


これも、さっきの話の流れでおおよそ予想していた質問だ。娘の将来を案じるお父さんとしては当然とも言える。


「まだはっきりとは決めてはいません。ですが、何かしら家に関わる仕事に就くことにはなると思います」

「そうか・・・」


お父さんは僕と鈴羽を交互に見てからふぅと息を吐き出して立ち上がった。


「夜分に尋ねてすまなかったね。立花君」

「いえ、僕も近いうちに挨拶に伺うつもりでいましたから」

「そうなの?皐月君」

「うん、今日鈴羽が来たらその話をするつもりだったんだ」

「今度は家の方に来るといい。妻にも紹介せねばならないからね」

「はい。是非伺わせて頂きます」


お父さんは、うんうんと頷いて帰り仕度をしながら鈴羽に声をかける。


「いい相手に逢えたんだな、鈴羽」

「お父さん・・・」

「ああ、泣くんじゃないぞ。私も歳のせいか涙脆くなってるからね。もらい泣きしてしまうだろ?」

お父さんは軽口を言って鈴羽の頭を撫でる。

いくつになっても子供は子供だものね。


お父さんは、ゆっくりと歩いて帰りたいから見送りは不要だと言って家を出ていった。

きっと鈴羽のことを色々と考えてるんだと思う。

僕はお父さんが歩いていった方に向かって静かに頭を下げた。



「いやぁしかしびっくりしたよ。急にお父さんが来るんだから」

「私もよ、仕事が終わって会社からでたらお父さんが入り口の前で待ってるんだもの」

「いつもより遅かったからどうしたのかなって思ってたんだ」

「お父さんがしつこくて全然帰らないからちょっと遠回りしてきたから」

でも何で急にお父さんは僕に会いたがったんだろう?こないだの母さんといい、なんだか知らないところで話が進んでいるみたいな気がする。


「どうしたの?皐月君。難しい顔して」

「ちょっと考え事をね、さて、ちょっと遅くなったけど晩御飯にする?食べて帰るでしょ?」

「うん。ご飯を食べて今日は帰るね。泊まっていこうと思ってたんだけどお父さんが待ってそうだから」

「そうだね。きっと寝ないで待ってるんじゃないかな」


鈴羽のお父さんは、鈴羽の事が大好きなんだろうなぁ。当たり前だけど。



その夜、鈴羽が帰ったあと僕は一人コーヒー片手にベランダで考え事をしていた。


最近色々とあったけど、とりあえずは大体決着したと思っていいのかな。

これで受験失敗なんてした日には目も当てられないかなぁ。

気分的にはちょっとしっくりこない部分があるんだけど今は受験に集中しないと。年内には結果が出るから、それから鈴羽の家と僕の実家に挨拶に行けばいいかな。


よし!まずは目の前のことを一つづつ片付けていこう。


僕は気持ちも新たに部屋へと戻った。







お読み頂きありがとうございます(//∇//)

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