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水曜日の彼女  作者: 揣 仁希
秋の訪れとそれぞれの冬
53/98

火曜日の訪問者 3話目

母さん、怖いです(笑)


「・・・・・・」

「・・・・・・」


何だ?この空気は?


僕の部屋には、母さんと僕、鈴羽がリビングのソファーに座って向かい合っている。

鈴羽は、緊張して母さんが何か話すのを待っているようなのだが、母さんは素知らぬ顔でお茶を飲んでいる。


「あ、あの、私、九条鈴羽と申しまさす!」

噛んだね。鈴羽。

盛大に自爆した鈴羽を、ちらっと見て母さんは相変わらず落ち着き払っている。


「私、九条鈴羽と申します。皐月君とお付き合いさせて頂いています。えっと・・・」

鈴羽は、それだけ言ってちょっと涙目で僕の方に助けを求める。


「母さん、彼女が九条鈴羽さん。僕がお付き合いしている女性(ひと)です。」

僕が助け船を出して母さんに鈴羽を紹介する。


母さんはそんな僕たち2人をじっと見つめてから口を開いた。


「九条さん」

「はい!」

「貴方、今幸せかしら?」

「もちろんです!」

母さんの問いに鈴羽が即答する。


「皐月さん、あなたは?」

「当然幸せですよ。当たり前です」

もちろん僕も即座に答える。


「そうですか。なら皐月さん、あなたが大学を卒業する時までに、九条さんのこともちゃんと考えてあげなさい。」

「母さん?」

「あなたはまだ18です。ですが九条さんは、随分と歳上でしょう?きちんと責任を持って考えてあげなさいと言っているのです」

「それは・・・もちろんです」

母さんなら、反対するんじゃないかって思ってたんだけど。


「皐月さん、あなた。私が貴方方のお付き合いに反対すると思っていましたね?」

「いや、まぁ」

顔に出てたかな?いや、母さんならそれくらいわかるか。

鈴羽は僕と母さんの会話をじっと聞いている。

いつのまにか握られた手に入る力が強くなる。


「私は、反対などしませんよ。ですが皐月さん、あなたはまだ高校生です。仮に九条さんを娶っても養うことが出来ないでしょう?」

「・・・はい」

「でしたら、私の顔色を伺うよりすべきことがあるでしょう?」


・・・鈴羽のご両親のことか。確かに、いくらなんでも将来的にわからないただの高校生に娘をってわけにはいかないよな。


「わかっているなら全力で取り組みなさい。幸い()貴方の帰る家(・・・・・・)もそれなりに名は知られていますので」

「母さん、それは、どういう・・・」

母さんは僕の質問には答えずに話を続ける。


「後はご自分で考えなさい」


母さんはそう言って静かに立ち上がってドアに向いて歩いていく。


「私からの話は以上です。次にお会いするのは本家になりますね、ちゃんと2人で来るのですよ」

「あのっ、お母様。私は絶対に皐月君と・・」

鈴羽が言い終える前に母さんはそれを手で制して。


「言わなくてもわかっています。九条さん、貴女がもし本当に困ったときは・・・門崎に相談なさい。力になってくれるでしょう」

母さんは、そう言って部屋を出ていった。

僕たちは呆然とその後姿を見送ることしか出来なかった。





〜〜〜〜〜〜


「奥様、良きお話になりましたでしょうか?」

「そうね、皐月さんも少しは男になったでしょうから」

「それは宜しゅうございました。それで奥様、旦那様にご連絡は?」

「あの人には帰ってから私が言います。それと是蔵、門崎に一言伝えておいて下さい」

「はい、かしこまりました」


「連絡があれば力を貸してあげるように、と」









お読み頂きありがとうございますm(_ _)m

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