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水曜日の彼女  作者: 揣 仁希
秋の訪れとそれぞれの冬
47/98

日曜日は図書館で再び

よろしくお願いします(//∇//)


「10時か・・・そろそろ起きないと」

昨日は遅くまで勉強をしていたのでちょっと寝坊をしてしまった。

う〜ん、寒くなってきたからベッドから出るのに勇気がいるようになったよなぁ。


僕は何とかベッドから這いだして顔を洗いに洗面所へ行く。


「ふぅ、さっぱりした。休みだとつい寝過ごしちゃうな」

今日は日曜日なので、いつもなら図書館で勉強をしている時間だ。

行かないでおこうかとも思ったが一日一日の積み重ねが大切だし、昼から行くことにした。



「今日も結構混んでるなぁ、受験前だから学生が多いんだろうけど」

僕は空いているちょっと奥まった席に座る。

図書館の参考書コーナーから過去問の解説書を持ってきてページをめくる。


うん。大体頭には入った感じだな。このペースでいけば大丈夫だろう。


そういえば妹の緋莉も私立の中学を受けるって言ってたっけ。大丈夫かな?



集中して勉強しているとあっという間に時間が過ぎる。今日はお昼から来たからもう夕方だ。


「よし、今日はこれくらいにしとこうかな」

晩御飯の材料も買って帰らないと、鈴羽はちょっと遅くなるって言ってたけどうちに寄って帰るだろうし。


僕は机の上を片付けて司書さんに挨拶をして図書館を出る。

丁度真っ正面に大きな夕陽が出ていて秋の図書館の庭を紅色に染めていた。

キレイだな・・・


僕が夕陽をぼんやりと眺めていると後ろから声を掛けられた。


「あ、あの、すみません」

「ああ、邪魔でしたね、どきますから」

僕はてっきり邪魔になっていると思い道を譲る。

「あの、違うんです。先週お会いした・・・」


えっと?誰だったかな?

前髪が長くて顔が良く見えないけど、どこかで見たような・・・


「先週、図書館で・・・同じ大学受けるって・・」

その子は先週図書館で話しかけてきたあの女の子だった。確か同じ大学を受けるって言ってっけ。

「あ、ああ、そういえばこないだの。こんにちは。どう?勉強の方は捗ってますか?」

「はっはい、何と・・・か・・」


声が小さくて聞き取りにくいけど頑張ってるみたいだ。

「そっか、頑張ってるんだね」

僕はそれだけ言って帰ろうとした。


「あっ、あの・・・お時間ありましたら、その・・少しお話し出来ないでしょうか?」

「え?う〜ん、少しでもいいかな?」

どうしたんだろう?分からないとこでもあったのかな?


僕とその子は近くのベンチに腰掛ける。


「えっと、私、中塚女子の真壁御園です・・よろしくお願いします」

何がよろしくかちょっとわからないけど中塚ってかなり頭いいとこだったよな。お嬢様学校じゃなかったかな。


「僕は都立藤花の立花皐月。同じ三年だね」

「立花・・皐月さん・・・」

「どうかした?」

「い、いえ、何でもありません!」

前回と同じ顔を赤くして俯いてしまった。

「で、話って?どこかわからないとこでもあった?僕も誰かに教えてあげれるほどじゃないけど」

「いえ、そうじゃなくて・・・ただ話がしたいなと思っただけで」

そこまで言って、真壁さんはまた俯いてしまった。


え〜っと、どうすればいいの?


「ごめんね、真壁さん。僕まだ行かないといけないとこがあるんで、これで帰るね」

「・・・ごめんなさい。私、話するの下手で。自分で言ったのに」

「かまわないよ、また時間あるときにね?じゃあ」

「はい、ありがとうございます。・・立花さん」


そう言って僕は真壁さんに手を振ってベンチを離れた。

途中振り返ってみると真壁さんはまだ手を振っていた。

律儀な人なんだろうか?











お読み頂きありがとうございます(//∇//)

ブクマ、評価頂いている皆様ありがとうございますm(_ _)m

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