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水曜日の彼女  作者: 揣 仁希
第1章 出会いの春と進展の夏
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閑話 鈴羽のバレンタイン

2月14日バレンタインデーということで、バレンタインのお話です\(//∇//)\




「九条先輩〜焦げてます〜」

「きゃあ〜!」

「玉子は黄身だけですよ〜白身は別ですって〜」

「・・・ごめんなさい」


2月14日、バレンタインに向けて、私ー九条鈴羽ーは後輩の杏奈ちゃんと梓ちゃんにチョコレートケーキの作り方を教わっていた。


「先輩って、完璧なイメージなんですけど料理はほんとダメダメなんですね」

「意外です〜ささっとやっちゃう感じだったんですけど」

杏奈ちゃんと梓ちゃんからダメ出しが連発する。


「う、うん。ほら、見た目よりは中身で勝負って言うじゃない?」

「「味も保障できないです(ません)」」

「はい・・・」

はぁ〜料理に関してはずっと皐月君に頼りっぱなしだったからなぁ。


いやいや、ここは気合いの入れどころ!頑張れ鈴羽!


「先輩〜じゃあ最初からまた作りますよ〜」

「うん、梓ちゃん。お願いします」


こうして、私達3人はチョコレートケーキ作りに勤しんだのだが。



「う〜ん、どうしてこうなるんでしょうかねぇ?」

「おかしいですね〜作り方は同じなんですけど〜」

テーブルの上には、チョコレートケーキが3つ。


ケーキ。ケーキ。ケーキ?


「はぁ、やっぱり市販のを買ったほうがいいのかしら・・」

私が肩を落として呟くと。

「大丈夫ですって!見た目はともかく味は美味しくなりましたし」

「そうですよ、心が大事ですって!心が!」

杏奈ちゃんと梓ちゃんの気遣いが痛い・・・


「ところで2人は誰にあげるの?やっぱり・・・」

「「わ〜!言っちゃダメです〜」」

なるほど、そういうことなのね。

彼も大変だ。


「・・・で、ラッピングはこんな感じで・・そう、そんな感じです〜」

梓ちゃんにラッピングを手伝ってもらい、無事完成。


「ありがとう。2人とも」

「いえいえ、九条先輩の意外な一面も見れましたし、こちらこそです」

「そうですよ〜3人で作ったほうが楽しいですし〜」

杏奈ちゃんと梓ちゃんにお礼を言って、明日のことを考える。


皐月君、喜んでくれるかな?


「「じゃあ私達はこれで、失礼します」」

「お疲れ様、2人も頑張ってね」

「「はい!」」



ーバレンタインデー当日ー


こうして、私はなんとかチョコレートケーキを作り終えたケーキを持って皐月君のうちに来ていた。


「鈴羽、お仕事お疲れ様」

「うん、皐月君もお疲れ様」


玄関でいつものように出迎えてくれた皐月君に、ちゅっとキスをしてリビングへ。


「鈴羽、ちょっと待っててね。晩御飯出来てるから、運ぶね」

「うん。いつもありがとう」

大体私の仕事が終わって皐月君のうちにくるくらいに合わせて晩御飯が用意されている。


皐月君の女子力ってすごくない?


「はい。今日は、ホワイトクリームのパスタに、生ハムのポテトサラダ、付け合わせに鶏のモモ肉をオリーブ油でソテーしといたよ」

「いつも思うけど、毎日ちゃんとした食事よね。尊敬します」

「えっ、それほどでもないと思うけど?それに鈴羽が美味しそうに食べてくれるだけで僕は満足だよ」

ここまでじゃなくても、私もちょっとくらいは出来るようにならないと・・・


「冷めないうちに食べようか」

「うん」「「いただきます」」


・・・


「「ごちそうさまでした」」


「コーヒー入れるね」

皐月君が食後のコーヒーを入れにキッチンにいく。


よし、私は持ってきた鞄からケーキを取り出してテーブルに置く。


「おまたせ。あれ?どうしたの、何かな?」

「えっとね、今日バレンタインでしょ?だからね、ケーキを作ってみたんだけど・・・」

「えっ?鈴羽が作ったの?」

「うん」

皐月君は驚いたようで、ケーキの入った箱をじっと見つめている。


「開けていい?」

「うん、その、形は不細工になっちゃったけど・・」


蓋を開けてみたケーキは、不恰好で、きっと皐月君が作るような整ったかたちではないけれど、今の私の精一杯だった。


「食べていい?」

「うん」


皐月君はフォークで、一口二口と食べ・・・


「・・・どうかな?」

「うん。・・・すごく美味しい!うん、美味しい!」

「よかった・・・」

皐月君は、うんうんと頷きつつケーキを食べていく。

「ほら、鈴羽も。あ〜ん」

「えっ、あ、あ〜ん」

「ね?美味しいでしょ?」

「・・・うん」

私は、なんだか嬉しいのかどうなのかわからなくて、ポロポロと涙が出てきて。


「鈴羽、ありがとうね。」

皐月君は、そんな私をぎゅっと抱きしめてくれて。

「大好きだよ、鈴羽」

「うん、うん、私も大好き」

「来年も、また作ってね?」

「えっ、うん。頑張る」

皐月君はふふっと笑い、私の唇にそっと唇を重ねた。



バレンタインの日のキスはチョコレートの味がした。





いつもお読み頂きありがとうございます(//∇//)

ブックマークしてくれている皆様、ありがとうございますm(_ _)m

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