母の想いを知る土曜日
今回は短いですm(_ _)m
鈴羽と緋莉が車を止めに行ったので、僕はパーキングなほうへと歩いていた。
「皐月さん」
「えっ?母さん?」
声をかけられ振り向くと、まさかとは思ったが母さんが立っていた。
夏近くの炎天下の日差しの中、ピシッと和服を着て日傘を差していて、汗ひとつかいていない。
「皐月さん、先程の方とお付き合いされているのですか?」
「・・はい。母さん。付き合ってます」
母さんは、そうと小さく言って車が走っていった方向を見つめて何かを考えているようだった。
「母さん、彼女は九条鈴羽さんと言って、その・・真剣に付き合ってます」
口の中がカラカラだ。
「母さん、鈴羽のこと、紹介しようと・・」
僕がそこまで言いかけたとき、母さんは手でそれを制して、
「結構です」
ピシャリと言い放った。
「・・・っ!母さん!」
「皐月さん、最後まで話は聞きなさい」
いつもと同じ冷静な口調で母さんは続ける。
「皐月さん、あなたが本気で考えてお付き合いをしているのであれば・・・お父さんが退院してから・・」
母さんはそこで話を区切り次の言葉を、探しているようで。
「そうね、本宅へ連れてらっしゃい。わたくしもお父さんも・・・歓迎するわ」
「母さん?」
最後の方は母さんにしては声が小さかったが、確かに歓迎するって。
母さんは、何かほっとしたような、反面迷っているようなそんな表情を浮かべ背を向けた。
「いつでも、帰ってきなさい。皐月さんの家はここなのですよ」
母さんはそう言って振り返ることなく、近くに止めてあったー是蔵さんは緋莉のとこだからー小林さんの車に乗り込み帰っていった。
僕は、呆然と母さんの言った言葉を頭の中で繰り返していた。
母さんも父さんも、認めてくれているのかな?
年末か年明けにでも鈴羽と一緒に帰れたらいいな。
そんな風に考え、僕は改めて鈴羽たちの元へと歩いていった。
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