豪快なおばさんと町付近での狩
主人公チートなのかそうじゃないのか作者にも今一分らない...(おい!)
「あはははは、すまなかったねぇてっきりあたしゃこの子の友達かと思ったよ」
「...おばさま、それ全然フォローしてません...」
そう言いながら俺の肩をバンバンと物凄い力で叩いてくるんだが、おばさんって皆こうなの?
遠慮が無いとか、ずうずうしいとか、神経が図太いとか、もうおばさんって人間と別の種族だと思うんだ。
モンスターと同じに考えてもいいんじゃなかろうか?
俺がそう考えていると、おばさんは俺をむんず!と襟首の辺りを猫のように掴んで引きずりながら飯屋に歩き出した。
おばさんパワーって凄いなぁ......てか何で俺引きずられて移動させられてるの??
自分で歩けるから、離して欲しいんだけど?
「あんた軽いねぇ、もっと食べないと本当に女の子だよ?」
「ほっといてください!!」
そうして俺の心の願いを無視して引きずるおばさんと引きずられる俺と、その後から着いて来るエシュナで飯屋に向かうのだった。
「いい加減離して欲しいだけど......」
俺がそう言うとおばさんは。
「まあまあ、もう少しだか、ら...そらよ!」
そう言っておばさんは、持っている俺を片手で振りかぶって......ってちょ!人を投げないで!!
てか、いくら俺が軽いからって何で投げるかなこのおばさんは!!
俺は見事に放物線を描き、そのまま何処かの店の入り口に飛んでいく。
ぎゃー!!扉に激突......はしなかった。
まあ扉が無いからなんだけど、激突はしなかったが、店の入り口の床に盛大に顔からダイブはしてしまった。
俺はベシッ!という音と共に店に着地(?)した。
「えーと...いらっしゃいませ??」
飯屋で働いている女の子であろうか?ソバカスだらけの顔に長い赤茶色の髪を三つ編みにして纏めている女の子が、店にダイブしてきた俺にそう声をかけてきた。
ちょっと可愛いかも。
でも今の俺は、激痛のする顔面を必死に押さえるので精一杯だった。
めっちゃ痛え!
てか、これ漫画だったら顔面にバッテンついてるぞ...あいたたた...
空を飛んで入ってきた俺に、食堂の皆の視線は集中しまくりだった。
「そーら、到着だよ」
おばさんはそう言いながら後ろから入り口を通り入ってきた。
その後ろから恐る恐るエシュナも入ってきたようだ。
「おばさん!食堂に人を案内するのはいいんだけど、人を投げ飛ばさないでよ!!」
「まあまあ、細かい事を言うんじゃないよ」
「細かくないよ!」
まったく......酷い目にあったよ。
俺が顔をさすりながらおばさんに文句を言っていると、エシュナが声をかけて手を差し伸べてきた。
「あの...大丈夫でしょうか?」
ああ...エシュナ、君は僕の天使だよ。
年をとってもこのおばさんみたいにはならないでおくれ......そう思いながら俺はエシュナの手を取り起き上がった。
その一部始終を見ていた食堂の人々は、いつの間にかそのまま食事をし始め、何事も無かったかのように食事を再開し始めていた。
「大変でしたね」
そう言いながら俺に話しかけてきたのは、今さっきのソバカスの女の子だ。
申し訳なさそうに頭を下げてきた。
「すいませんご迷惑をかけたみたいで、おかみさんいつもああなんです。昔女戦士やってたせいか性格が豪快で、やる事なす事大雑把なんですよ」
ああ......何かすっっげーーーー、納得したよ。
てかおばさん元戦士なのかよ!腕っ節が強いわけだよ。
「でも旦那さんと結婚して子供ができて、少しだけ落ち着いたとか聞いてます」
へー、旦那さんが居るんだ。
どんな旦那さんなんだろう、今度聞いてみよう。
ともかく俺は飯を食う為に適当な空いている席を探しそこへ座った。
「それじゃアタシは宿に帰るから、後は頼んだよミーシャ」
「はい、分りましたおかみさん」
そう言いながらおばさんは、入り口を通り宿へと帰っていった。
物凄いおばさんだったなぁ......迫力あり過ぎだろ...
まあいいや、食事にしようメニューとかは何処かな?そう思い俺は机の上を見るがそれらしき物は見当たらなかった。
「旦那様?何をしてらっしゃるんですか?」
「あ...いや、うん、料理のメニューを書いてる紙を探してるんだけど......?」
「メニューですか?ああ、それならあそこに書いてありますよ」
そう言ってエシュナが指指したのは、食堂の真ん中に立ててある大きな木の板だ。
その板にジュースやお酒、それから食事がセットメニューが3つ、それに肉や野菜の単品の品が値段を添えて書いてあった。
......ああ、ファンタジー世界だったよな、そりゃ手に入る物とか冷凍とか運搬の問題があるから品数が少なくなるよな、だから目立つ所に書いておくのか納得。
「ああ、ありがとうエシュナ」
「いえ、どういたしまして」
そうだよなぁ、考えてみたら昔は保存の問題とか運搬時の危険の問題とか、色々あるよなぁ。しかも数だって馬車だと制限がかかるし......移動とかの問題を克服したらもっと栄える事ができるじゃなかろうか、しかもそれを俺が確立したら安定して収入を得られるかもしれない。
まあ、今は俺が考える問題じゃないし置いといて、今は飯にしよう。
昼だしお腹が空いたし、メニューはどんなのがあるんだ?
野菜炒めとスープと肉料理か...肉は何の肉なんだろう?そう思ってエシュナに聞いてみた所...
「家畜とモンスターの肉ですよ」
えー!モンスターって食えるの??
俺は一瞬そう思ったが、よく考えるとそういう物語たまにあったよなぁ、しかもエシュナの話によると、モンスターはほぼ飼われる事は無く野生なので肉の質が良いそうだ。
食用モンスターは兎、や狐などの小動物系統のモンスターからオーク等の知性のあるモンスター、果てはドラゴンや蛇まで食べるらしい......逞しいなぁこの世界の人達!
もう食うか食われるかって感じだよな。
ちなみに今回昼に食べたのは、兎の肉をスライスして味付けしたシンプルな物だった。
この世界の兎ってどんな姿してるんだろうか?ちょっと見てみたいと思った。
「ウェア・ラビットですか?いたって普通の耳の長い兎ですよ?性格は比較的穏やかで、でも攻撃されたら攻撃してきますが」
そうなん?
「あ、でも彼らの突進は油断して食らったら、冒険者でも下手したら大怪我しますよ」
体当たりが攻撃方法なのか、まあ狩に行ってどんなのかを知るのもいいだろうし、見に行くか。
「どこら辺に居るか、生殖場所知ってる?」
「結構色んな場所に居ますよ?今回馬車で見かけなかったのが珍しいぐらいですね。雑食ですから生活圏が広いようですし種類も多いです」
どうやら数は結構多いらしい、偶然見かけなかっただけのようだ。
ちょっとどんなのか俺は見たくなった。
まあ、この世界のモンスターを見たのが有名なゴブリンだったって話しなんだが、やっぱり異世界に来たんだ色々見てみたい。
「じゃあご飯食べたらちょっと散歩しに行こうか」
「ええ?わ、私ただの一般市民ですよ?何もできませんよ?スキルも無いですし」
彼女はそう言うのだが、俺は彼女に俺の勇士を見て欲しいのだ。
まあ、要するに男としては女の子の前で格好をつけたい訳だよ。
「大丈夫、町の近くで狩するだけさ問題は無いよ。危なくなったら逃げればいいしね」
「はぁ...」
「後、なるべく早く稼いで彼女等を迎えに行きたいんだよ。寂しい思いをしてると思うんだ」
「旦那様...」
エシュナはそう言いながら潤んだ瞳で俺の事を見つめてきた。
言って少し照れたけど、本当にそう思っているのは本当だ。
彼女達は今も辛い境遇にさらされているだろうし、頑張ろう俺!
そしてその後食堂で食事を済ませ、お金を払った後は安めの装備をエシュナに買ってその日は終えた。
ちなみにこれでお財布に銀貨7枚位になった。
そして翌日、俺とエシュナは門番さんに挨拶しながら町の外へと繰り出していった。
ちなみに、町の外へ出るには住人の証であるカードを作って貰うか、冒険者ギルドで発行してもらうギルドカード(正式にはこっちの名前が正式なんだけど、場所によって借住人の証とか言い方が変わるらしい)商人組合、商人ギルドの商人カード(色々商売する人や鍛冶屋とかはいっしょくたにこの枠に入るらしい)他には罪を犯したりして奴隷になった人達を扱う奴隷ギルドのカードもあるらしい、流石異世界......奴隷がちゃんとあるんだ。
まあ、それらのギルドから身分証代わりにカードを発行してもらわないと出入りする度にお金がかかるという事だった
ちなみにこの世界の一般的な奴隷は普通はそんなに待遇は悪くなく、至って普通に生活させて貰えるらしい貴重な労働力を潰すような事をする奴隷商人は信用が無くなり自然と潰れるとか話を聞いた。
うん、どこの世界でも労働力は大事だよねぇ。
更に冒険者の中でも犯罪者を専門に狩る人達の事を(ハンター)と呼ぶそうだ。
これらの情報はギルドの人や町の人達に話をして得た情報である。
まあ話しは長くなったが、要するにエシュナを外に出すには身分証代わりのカードが要るのだ。
どこで発行してもらおうかと思った所、どこかの不良ギルマスが(俺の所だったら、ぶっちゃけ犯罪者じゃなかったら名前を言えば発行するぜ)と、とんでもないが魅力的な発言をしてくれたのでそれに乗る事にした。
まあ後で、ルーカスさんにまた怒られていたが他人事なので俺は知らない。
そんなこんなで門番にカードを見せ、外に出ると右手に道(多分こっちから来たのか?)左手に林が見えた。
「さーて、先ずは兎を探しますか」
「だ......旦那様、何だか私ドキドキします」
そう言っているエシュナの格好は、皮の帽子に小型の木の盾だ。
まあ、見て貰うだけだし防御重視で。
そして辺りを見回していると......
「あ、旦那様居ました!ウェア・ラビットです!」
「へー、どれどれ......ってデカッ!!」
何だこの兎、俺の世界の兎が人の頭ぐらいなのに対して、人の上半身ぐらい大きさあるじゃないか!!
「凄いですね大物ですよ!普通はもう少し小さいんですが、ちなみに何でも食べてしまうので見つけたら倒してしまって良いとされています」
「あ、そうなんだ」
ちなみに一応クエストは受けてある。
受付のお姉さんにはあまりいい顔されなかったが、あの顔は(まだまだ未熟なのに何こんなクエスト受けてるのこの子達)って顔だった。
まあいいや、今はともかくこいつを仕留めるか。
「エシュナ、ロープ持ってきた?」
「はい、持って来ましたが......どうするんです?」
「まあ見てて」
俺はエシュナにそう言うと詠唱し呪文を放つ用意をする。
もう何度か魔法を放っている為詠唱速度が速くなってきてる感じがする。
<詠唱速度短縮LV1>獲得<詠唱速度を短縮させる>
お、きたきた。じゃあ今日はこのままこの町の近くで頑張ってみますか、RPGの王道っていうか基本だよね。
っとと、ちゃんと魔力を練りこんでイメージしないと威力が落ちる。気を付けないと。
イメージするのは風、それを収束させて風の刃...半月?いや、三日月みたいな形をイメージして、それを目標に......飛ばす!風刃!
ちなみにLVが上がったらウィンドと風刃の2つを覚えていたので(何でだろ?)と思い今回使用する事にしたのだ。
ちなみに近くで見ていたエシュナからすると、俺の体が緑色の光に包まれその後魔力が打ち出されただとか、そんな風に人からは見えるんだね。
そして俺から発せられた風の刃は食事中の兎に向かっていき、その首をスパッと軽く刎ねた。
「え?」
ちょっと待って威力上がってないかい?何か冗談みたいに威力が格段に上がってるんですが??
いや、それよりも、こんなグロいものエシュナに見せちゃったよどうしよ......
「凄いです旦那様!あの大きなウェア・ラビットをこんなに簡単に!」
え?こんなえぐい光景見て感想はそうなの?俺はそう思ったのだが。
「村とかでは普通に鶏とか絞め殺すのを見てますから今更です。それに私達は命を食べて生きているんですから」
だそうな、まあでも正論だよなぁ。俺達の世界でもこの異世界でも、人間は命を奪って生きているんだから、それに怯えるのは...今更か。
俺は首チョンパした兎の体から吊るして血抜きをする為に、兎の体にロープを取り付け(重力操作)の魔法で木に吊るした。
「何をしてるんですか?」
「血抜きだよ、こうやったら血生臭さが抜けて、美味しくなるってどっかで聞いた」
「そうですか」
そうして俺は血抜きした大きな兎を(重力操作)で持ち、それを魔法袋に入れた。
あんな大きな大きさの物も簡単に入るし、重さも魔法を解除したのに感じない、やっぱりいいなぁ魔法袋。
そして俺はそのまま狩を続けるのだった。
黒賀八幸
HP 140/140
MP 180/180
火LV10
水LV10
土LV10
風LV10
聖LV10
闇LV10
治療LV2
補助LV1
その他LV1
スキル、技能; 体力増強、HP上昇、耐久力上昇、頑強、精神統一、回復上昇、回避、猫目、特殊防御、サイレンス無効、スキル寒波無効、LV1
加速、疾走 LV2
武器スキル;短剣 LV1
所持金、物;(魔法袋)銀貨44枚、大きな兎の肉
(普通の袋)銀貨7枚