秋 黒いスカートでおめかしを
秋が来ました。
あなたのご両親にあいさつするために、あなたの地元に一緒に行きましたね。
私たちの今の生活が壊れてしまうかもしれないと思うととても怖かったのですが、筋だけ通そうと思ったので、あなたを後ろに乗せて車を出しました。
私は派手すぎないように黒いスカートをはいていきました。
あなたの実家は山の中にあるのですね。途中お花畑があったので寄り道してしまいました。
照れたあなたのほっぺたのように真っ赤なお花畑でした。
あなたは照れ屋だから、よくちょっとしたことで真っ赤になっていましたね。
その姿がかわいくてわざと困らせたりもしてしまいました。
そう思うとその花におかしなほどに愛着が湧いて、いけないとは思ったのですが数本拝借して車のトランクに入れました。
長い長い道のりの果てにあなたの実家に行くと、お二人ともに驚かれてしまいました。
あなた、私のことをご両親に伝えていなかったそうじゃないですか。
いくら親とそういう話をするのが恥ずかしかったからって、あんまりです。
自分を否定された気がしてすごく傷つきました。
最初は重々しい雰囲気だったお父様でしたが、あなたの話をするにつれてお顔のしわが減ってきたようにも見えました。
「私は、一生息子さんを想い続けていく覚悟です」
お父様は私の誓いを感慨深そうに聞いて頷かれました。
「悪いことは言わないから、婚約指輪を置いて都会に帰りなさい。それが二人の為なの」
でも、お母様にそう言われて思わず泣き出してしまいました。
お父様が数時間かけてお母様を説得してくださって、ついに私とあなたの仲を許してくださいました。
嬉しくて嬉しくて、ご両親に何度もお礼を言いました。
お母さんに夕食をごちそうになりました。
食卓にあなたの姿がないのを見たお母様が、
「こんなときにどこに行ったんだろうかね、あのバカ息子は。これだけ器量と気立てのいいお嬢さんが人生を捧げてくれるって言ってんだから、早く帰ってこないと罰が当たるよ」
なんて笑ったので、私もつられて笑いました。
お母様の料理はとてもおいしかったので、あなたが食べられなかったのが残念で仕方ありませんでした。
お母様もお父様もとってもいい人で、だからあなたみたいな人が育ったんだと思いました。
あなたを産んでくれたご両親に感謝しました。




