~クラスに美少女が転校してきたけど、とりあえず時を操る魔法●女ではない~
・・・・・・・・・・・どうしてこうなった
朝
夢だと思いたかった夜が終わり、再び眠りに就いた俺は目を覚ました。
・・・・今更ながら思うと、夢だよな?
いや、もしかしたらガチで夢かもしれない。
だって、キャトルミューティレーションで美少女でウサウサで、挙句の果てに子作りだぜ?
今時のラノベらしいけど、あり得ない。まぁ良いネタにはなりそうだな、今度執筆してみよう。
そうだな、あの展開の後なんだから・・・
「うにゃぁ・・・・・うにゃ・・・・うみゅぅ・・・・・」
そうそう、こんな感じに昨日降ってきた女の子が隣ですやすや眠ってるって言う展開が良い。うみゅぅ、だってさ。可愛いなぁ
よし、こんな感じで行こう・・・・・・・・・
「って、『よし』じゃねえだろが・・・・俺よ」
現実、これが現実
もしかしたら現実と夢が逆転してしまったかもしれないが、今自分の魂の主体がこちら側にあるのだから・・・例え夢だったとしても、今の俺にとっちゃこちらが現実。ってことはもしこれが実際夢だとしたら、現実の俺はまだ眠っているのだろうか?いや、寝てるから夢見るのか・・・ていうか眠りの周期的にそろそろレム睡眠が(以下略
・・・・・・なぁんて訳の分からない話は置いておくとして
とにかく、今日は学校だ。これ以上寝る訳にはいかない。そろそろ朝食の準備をせねば。
・・・・・・・・・・・・・とりあえずことわっておくが、あの後俺たちは「そのような行為」は絶対にしていない。神に誓ってしていない。神様、信じてないけど
信用できないなら、事細かに説明してやろうではないか。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「お、おね・・・・え・・・・・」
「はい、お義姉さんですっ」
お口パクパク、モ●ダミン♪じゃねぇか。パクパクじゃねぇよ、それどころじゃねぇよ。
「あ、あのさ・・・・お兄・・・・・おにぃには常識があるから知ってると思ったんだけど・・・・男の人は18歳にならないと結婚できないんだよ?」
「問題ありませんよ?まだ体の関係しか築いていませんっ」
「か、から・・・だ・・・・・っ!」
おい、月乃!事にはまだ及んでないだろ!なぜ過去形を使う!?
「ま、待て、昴!誤解だ!お前が今考えている最有力候補はきっと誤解だ!」
とにもかくにもまずは昴を抑えねば。何と言ったってこの妹、無邪気に「街のお掃除♪」と言う名目で、そこら辺にたまっているヤンキー共を片っ端から木っ端微塵に潰して行くのが趣味と言う、自分の妹ながらとんでもない奴なのだ!
「へぇ、あたしの中の最有力候補は『この女の人は実は宇宙人で、いきなりおにぃの部屋に侵入した揚句、身体の関係を強要してきた』もんだとばっかり思ってたんだけどなぁ・・・・」
なんてこった、なんて察しが良い奴なんだ。さすが我が妹、その状況判断能力を日々から見せつけていてくれれば、あのような発言はしなかったのに!
「ち、違うぞ、妹!いや、合ってるんだけど・・・・」
極限状態に陥った俺は、もう自分でも何を言っているのか分からない。
「へぇ、違うんだぁ・・・・じゃあおにぃが連れ込んだってことかなぁ・・・・?それでウサミミ付けさせてこんなピッチピチのジャージなんか着せちゃったのぉ?良い趣味してるねぇ?」
「ち、違うって!」
「じゃあ、勝手にこの女の人が上がり込んだんだぁ・・・・?」
やばいって、目がヤバいって!お婿さんが来なくなっちゃうって!
「そ、そういうことになるが・・・・」
はっ・・・まずい
ぷるぷると震えるポニーテール・・・・・昴から放たれる殺気が、俺から月乃に向いていくのが分かった。
まずい、このままでは最悪月乃が殴り飛ばされる!否、殴り殺される!!
「おらおらおらあ!あたしのおにぃの部屋と身体に土足で踏み込んだ不躾なアマめがああああ!!!!」
わああああ!まずいって!大の男も一撃で仕留める昴の右ストレートが月乃の顔面に迫るっ!
ていうかまだ体の方には踏み込まれてねぇよ!
「月乃!あぶ・・・」
「こぉらぁっ!お義姉さんになんてことするんですかっ!」
と、月乃がまるで悪いことをした小学生を諌めるような言葉を吐いたかと思うと
「ふぇ・・・・?あだッ!?」
ぺちっ!
体のどこも動かさず、その頭の上の右のウサミミ触手が神速の一撃を昴の額にお見舞いした。
威力自体は相当抑えたのかデコピン程度のようだが、速さが尋常ではなかった。あの昴の拳より遅く出したのに、それより速く相手を仕留めるなんて・・・・インパクトの瞬間見えなかったぞ?そのウサミミ触手、どんだけ高性能なんだよっ!?
「???????」
ぽてっ・・・と小さな尻もちをついた昴も訳が分からないだろう。
そりゃそうだ。コイツの人生の中でカウンターなんて食ったことが無いだろう、しかもウサミミで。
「う、嘘・・・・・あ、あたしより・・・・・速い!?」
お前はどこの拳法家だ
「喧嘩はダメですよ!可愛い女の子なんですから・・・すぐに手を出すのはいけませんっ」
「は・・・・・はい・・・・・」
あ、折れた。
圧倒的な戦闘力を持ったウサミミの前に、ヤンキー清掃マシンが敗れたのだ。
な、なんて光景だ・・・
まぁ結局、昴は月乃によってすっかり懐柔され数分後には
「わっかりました、お姉さま!ではでは、おアツい夜をお過ごしくださいっ!」
と言い残し、ビシッと不格好な敬礼をして部屋を出ていってしまった。
・・・・・・・・・・・いや、だから決してこの後もそこまでおアツい夜は過ごしてないんだって!
じゃあ、その後のことだけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あのさ、さすがにいきなり同じ床で寝るのは無茶かと思うんだけど・・・・」
「え~そうですかぁ?こういうのは思い切りが大事ですよっ!レッツベッドイン!」
嫌な掛け声だ。
「あのな、言っとくが物事には順序ってもんがあるんだよ。そもそも、性的な関係を持つ約束なんかまだしてないし・・・・仮に、1000歩、いや1万歩ぐらい譲ってその約束が出来たとしても、今の俺の機嫌を損ねてその約束が破綻するのは嫌だろ?」
「う・・・・それは確かに・・・・・い、嫌です」
「な?だから、今の所は俺の言うとおりにしてくれ。俺だってあんまり人に自分の意見を強要するのは好きじゃねぇんだからな」
「・・・・・・・・はぃ」
・・・・・・・な、何とかなった
さて、後は寝床の確保だな。さすがに俺も男子の端くれ、女子を床に寝かせたままでのうのうとベッドを使おうとは思わない。となると、やっぱり月乃にベッドを使ってもらって、俺は部屋の端っこで毛布にでもくるまってるか。
すると月乃が・・・・ぎゅっと俺の寝巻の裾を掴んできた。
「あの・・・・すみません・・・・・・どうしても、一緒に寝てくれませんか?」
「だから、無理ったら無理」
「・・・・そ、そういうことは・・・・しないって約束します・・・・」
「え?」
「で、ですから・・・・・その、宙さんの許しが出るまでそういうことはしないって約束しますから・・・・一緒に、寝て・・・・・くれませんか?」
ぎゃああああ!そ、そんな土砂降りの中で段ボール箱から見上げてくる子犬の様な視線で見ないでくれええええ!!!
はっ!あぶねえ!このままホイホイ流されるところだった・・・・
「な、なんでそんな約束してまで俺と寝たいんだよ?」
「・・・・その・・・・・・ひ、一人で・・・ごにょごにょ・・・・・ないんです」
「はい?」
「ひ、一人で・・・寝れないんです・・・・・・こわっ・・・・怖くて・・・・」
・・・・・・・・マジかよ、この萌えの権化め
どこまで俺の心臓を跳ね上がらせれば気が済むんだ。
今の涙ぐんだ声で・・・・・・・・・
覚悟、できちまったじゃねえか
「・・・・分かったよ、しょうがねぇな」
「ほ、ホントですか!?」
ぱああっと月乃の顔が明るくなる。あぁ、チクショウ・・・・・・何でこんなに可愛いんだ
「た・だ・し!絶対にそういうことするなよ!」
「分かりましたっ!絶対守ります!死守しますっ!イェス!ユア、マ●ェスティ!」
ブンブンっと首を縦に振った、というよりは振り回した月乃はいそいそとベッドに侵入。ポフっと頭だけ出して「早く来て下さいっ」という視線を送ってくる。
「はぁ・・・」
と最後の抵抗としてため息を付いた後、俺もベッドの端っこにゆっくりと入った。
・・・・・実は、年の近い女の子と同じ布団で寝る。と言う行為自体は手慣れたものなのだ。原因は他でもない、昴である。
あいつはああ見えて変なところで怖がりで、実は高校に入るまで週2,3くらいは部屋に来て「お兄・・・一緒に寝てぇ・・・・」とぐずっていたものだ。寝相が悪いから夜中に殴られたり蹴られたりしたけど・・・・
だがまぁ、それはあいつが妹だから。赤の他人とはワケが違う。
シングルベッドではどんなに離れようとしても、どうしても体温が伝わってくる。
・・・・あぁ、くそっ・・・・・・なんなんだ、この花みたいな良い匂い・・・・気になって寝れねぇじゃねぇか
と、後ろからその匂いの原因がぼそっと声をかけてくる。
「その、すみません・・・・・小さい頃から、一人で寝るのだけは・・・・・どうしてもできなくて」
「いいよ、慣れてるし」
「知ってます・・・・」
嬉しそうな声だ。あ、そうか昴のことも調べてれば、さっきのことも知ってて当然だよな。
「その、宙さんって・・・・優しいですね」
「なんで?自慢じゃないけど、俺って他人にそう言われたことほとんど無いぞ?」
「そうなんですか・・・・でも、優しいですよ。やっぱり素敵なお方です、あなたは」
・・・・・そこまで言われると、ちょっと照れるのだが
「ふぅ、もう寝るぞ?明日は学校だからな」
「はい、では・・・・おやすみなさいです」
「おぅ・・・・おやすみ」
・・・・・・・・・・・・と、これが昨晩の話
どうだ、何も無かっただろ?イマイチ説得力に欠けてるけどさ
では、話を朝に戻すとしよう・・・・・
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「みゅふふふふふ・・・・・」
なんて笑いながら月乃さんは未だにおねんね中だ。
「まぁ、起こさないと・・・な」
と、その上にかかった布団を、お魚咥えたドラ猫を裸足で追いかける陽気な某専業主婦の様にはぎ取り
「おい、月乃起きろ、朝だぞ!」
「うにゃあ・・・・も、もう一杯ですぅ・・・・」
と満足そうな顔をしている。
・・・・・・そんなマンガな
何を食ってるのか知らないが、それは食いしんぼうキャラのセリフだぞ?
「一杯な訳あるか、飯だ、朝飯!」
すると急に眉間を寄せ
「あ、も、もう入りませんよぉ・・・・・あぁっ!ひん!ら、らめぇ!・・・・・あっあっ・・・・・そ、そんなの、何回もされたら・・・・お腹が・・・こ、壊れちゃいますぅうううう!」
・・・・・・へぇ、月人って飯のときにこんなこと言うんだぁ、騒々しいなぁ
お腹が壊れちゃうぐらいご飯を食べるんだね、食いしんぼうキャラじゃないのに無理するからだ。
ていうか、そんなに食べられたら食費が嵩んじゃうんだけどなぁ・・・・
「あっ・・・・ま、またですかぁ!?・・・・だ、だめです・・・・・そんな中に出されたら・・・・・・し、死んじゃいますうううううう」
何をどこにぃ!?
「ひああああああああああ!!!」
!!!!!!!!!!!!
「・・・・・あぅ?」
あ、起きた、平然と
「あ、おはようございますっ」
「おはようございますじゃねえだろうっがあああああああ!!!!」
「えええ!?今は朝じゃないんですか?朝の挨拶は『おはようございます』ですよぉ!」
「そういう問題じゃない!お前・・・・居候初日からどんな夢見てんだよ!?」
「え?どんな夢・・・・・・あんまり覚えてないです。夢の内容ってすぐ忘れちゃいますよねぇ」
・・・・無茶苦茶な
もし、推測通りの夢だとしたら・・・・・・俺だったらトラウマもので一生忘れられなくなっちまうぞ・・・・・・
「あぁーっと・・・・そういえば、宙さんが出ていたような・・・・」
「い、いやいいんだ!思い出すな!」
「あ、そうです!宙さんに縄で縛られました!」
「言わんでいいわああああああああ!!!」
「だ、だって『どんな夢見てんだよ!?』って聞かれましたので・・・」
「頼むから、俺の最新の方の命令を聞いてくれ、お・も・い・だ・す・な!!」
「?・・・・はい」
良かった・・・・これで「夢の再現をしましょうっ♪」てな感じのトークを繰り広げたら、昨日の二の舞になってしまう所だった。いや、あまり昨日と変わって無い気もしたけど・・・・
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「・・・・はぁ」
と溜息をつく俺はトボトボと登校中
あの後、朝飯を済ませ(無論、月乃があのような声を上げながら飯を食べることは無かった)早急に着替えると
「とにかく、みだりに外に出るなよ。もしお前がその格好で外に出たら我が家が数年かけて培ったご近所関係が崩れるんだからな」
と、バニーガールしか着替えを持っていなかった月乃に釘を刺し・・・・・現在に至る。
ちなみに昴も同じ天川高等学校・・・・・通称天高の1年生だが、帰宅部な俺とは違いきちんと部活に所属している・・・・・・・
天文学部に、な
だが噂によるとその天文学部。相当な危険因子の集まりらしい。部員は少数だが、中身がトンチンカンな輩の巣窟と聞く。近づきたくもねぇ
そして昴は「部活の朝練行ってくるよぉ!」と無邪気に先に出て行くのだ。なんなんだよ、天文学部の朝練って。
とにもかくにも、今は一人
「お、星原、おはよう」
一人なんだ
「おい、星原ぁ!こっちむけ!」
一人のはずなんだ、一人に違いない!
「星原あああああああ!!!!」
ぐりいいいいいいいいいいいっ!
「いってえええええええ!!!!」
後ろにいた奴にいきなり耳をつねられた!
く、この・・・女子にしてはやや低めのアルトな声は・・・・
「お、織姫・・・・」
「早朝から唯一の友人を無視とはいい度胸だな」
・・・・この男口調、ていうか武士口調。だから見た目が上等なのにお前はモテないんだよ。
腕組みをしながら立っていたのは、織姫ゆかり。
よくこんな奴に「姫」なんて文字がくっついてるもんだ。見た目はともかく中身が姫の配下の用心棒って感じだ。
ちなみに、こういう場面だとよく「幼馴染」という単語が出てくると思うのだが・・・・・実は全く違う。
俺がコイツと知り合ったのは高校入学と当初。つまり1年と少しなのだ。それを幼馴染とは呼ばないだろう。
コイツと知り合ったきっかけは・・・・まぁ、また今度説明しよう。
「テメェな・・・・朝から人の耳を千切るつもりか?」
「お前がさっさとこっちを向かないからだ」
「俺が向いて面白いことなんてあんのか?」
「何故今日に限って無視したのだ?」
疑問に疑問で返すなよ・・・・
そりゃ、お前・・・昨晩いきなり宇宙人がやって来て体の関係要求してきたら、頭抱えてそれどころじゃなくなるだろうが・・・・・・・・・
・・・・・・・・とはいえないよな
「・・・・少し体調が悪いだけだ」
まぁ、間違ってないだろ?事実頭を痛めてるわけだしな。
「何?だ、大丈夫なのか?」
こいつ、こういう時は割と心配してくれるんだよな。さっき暴力振るったくせに・・・・
「あぁ、大したこと無いって、色々あって・・・・ちょっと遅くまで起きすぎた」
これも間違ってない。偶然起きてたら宇宙人がやって来て(以下略
「まったく・・・・生活習慣はきちんと守れ。だから体調を崩すのだ、愚か者が」
「はいはい、愚かですよ・・・」
と、自称俺の唯一の友人に罵られ、横に引っ提げられながら学校への道を歩いていった。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
・・・・・・神よ、俺はあんたを信じるつもりはないが恨む気ならすっげー湧いたぞ
朝のSHR
我らが未婚の女担任緑川先生が
「今日は転校生が来てますよぉ~しかも女子でぇす!可愛いで~す!」
おぉ!とクラスが湧く。(主に男子が)
・・・・・嫌な、予感がした。
いや、まさかあのウサミミが俺の学校生活にまで介入してくる訳が無いよな。
じゃあきっと、あれだ・・・・時を操る魔●少女か何かに違いない。
へぇ、となるとこのクラスの女子に凄い魔法●女になる素質を持った奴もいるのか・・・・・最終的に円●の理とかになって皆に忘れられるんだろ?南無さん。
「では~どうぞ~!」
・・・・・・・・ちなみにこの緑川先生。お若いからなのか、ノリが学生じみてる。だから統率力不足って言われるんだぞ。生徒と一緒になって騒いじゃうからな。
とにかく、悪く接するつもりはないが●法少女に興味は無い。せいぜいがんばってこの街を助けてくれればいいさ・・・・・・・
と、眠かった俺は机に顔を伏せたままにしておいた。
「きゃ~~~!可愛い!」
「おぉ!超美少女!」
「綺麗な髪!いいなぁ~」
・・・・・・すっげー受けてるな。転校生
男どもからはいざ知れず、女子までここまで反応させるとは・・・・・
「宇佐美月乃ですっ!急な転校でしたが、よろしくお願いしますっ」
・・・・・・ありえん、ありえん
きっと同姓同名だ、いや、あいつ宇佐美っていう名字なのかは知らないけど
そもそもあのウサミミ触手なんかつけてたらまずそこを指摘するだろ。
そうさ、きっとあいつ級に可愛い、転校生に違いない。地球も捨てたもんじゃないね。
声も・・・・あの透き通るソプラノボイスだけど・・・・・まぁ、一般的な女子と言えば一般的な女子のそれだ。
だから、ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない!!
がばっと顔を上げるとそこにいたのは・・・・・・
月乃からウサミミを引いたような黒髪の美少女が立っていた。
・・・・・・・・ほら見ろ、ウサミミが無い。俺の推測は正しかった。
「じゃあ席は・・・・・あそこですねっ」
お、一番後ろの窓際だ・・・・って俺の隣じゃねぇか
と、その美少女は歩いてくると・・・・・
「えへっ・・・・学校でもお近くに居れて嬉しいですっ」
・・・・お、俺に言ったのか?ていうか、月乃みたいな言い回しだな。いや、この子も月乃らしいけど
「あのぉ~宙さん?」
へぇ、このクラス、俺の隣の隣にも宙って居たんだ、知らなかったなぁ・・・・・・・・・・・・・・
んな訳ないか、そもそもこの子は窓際。俺の窓側に隣の隣なんて存在しない・・・・・ということはやっぱり俺だよな。
・・・・・・・・・我ながらバカな言い回しをしてると思うぞ?合理的な俺だって事実を認めたくないときはあるさ。
でも、いい加減認めてやろうじゃないか、ここまでされたら認めないわけにはいかない。
「・・・・・・なんでここに居るんだよ?」
せめてもの報いとして嫌嫌に声を出す。
「えっと、やっぱり少しでもお近づきになりたくて・・・・・」
いや、そんなもじもじすんなや、可愛すぎて懐柔されそうになる・・・・・ていうか・・・・・・・・・・・・・
「えぇ~!宇佐美さんって星原の知り合い!?」
「うっそー!あの根暗の星原があんな可愛い子と~!?」
何が根暗だ、失敬な。人付き合いが苦手なだけだろうが。
「あ、えっと・・・・・違いますよ?知り合いですが・・・・知り合いというよりは・・・・・・・そうですね・・・・・・・・・」
・・・・・・・・ここでコイツを止めときゃ良かったんだ。そうすれば・・・・・あんなことにならなかったのに・・・・・・・
「分かり易く言うと・・・・・旦那さんですっ」
・・・・・・・・はい?
「えええええええええええええええ!!!!?????」
・・・・・・・神様、もう一度言うぞ
俺はあんたを信じないけど、一生恨むからな!!!
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
何が旦那さんだ・・・・
爆弾・・・・・・・・・否、原爆発言によりクラスの中での俺への目が思いっきり変わっちまったじゃねぇか・・・・・
「根暗の星原の彼女がこんなに可愛いわけない!」
だから根暗って言うなや!
「ていうか、星原に彼女なんているわけないじゃん!」
「ありえないっ!きっと騙されてるよ!」
いや、むしろ関係を強要してきたのはあっちだぞ?
「買収よ!きっと買収!金を渡したのよおお!!」
そんな金ねぇよ。こちとら両親いないんだぞ?めんどくさいから公表してないけど・・・・・
ちなみに俺らの生活費は東京に住んでる遠い親戚が出してくれているらしい、ありがたいね。そんな貴重なお金を援助交際に使えるものか!
「違うわ!きっと弱みを握って『グへへ・・・・言うこと聞かないとお前の両親のはっずかしい写真を屋上からばらまくぞぉ・・・・』って脅したに違いない!」
お前ら、どこまで俺を腐った人間だと思ってたんだよ!
いい加減しびれを切らした俺は
「あり得ないだろ!こいつが勝手に言ってるだけだ!」
と弁明。信じてもらえるかはさておいてここで黙ると余計に疑われる。
「そもそも、コイツと会ったのは昨日が初めてだし、すぐにそんな関係になる訳無いだろうが!」
認めたくないが、「根暗」とまで言われている俺がここまではっきりと反抗したのが利いたのか皆「ぐぅ・・・・」と押し黙った。
・・・・・・・・あいつがあんなことを言わなければ
「え?でも昨晩は一緒に寝たじゃないですかっ!」
このバカウサギ!
「ええええええええええええ!!!!?????」
「ありえない!昨日知り合った子を家に連れ込んで・・・・・そ、そんなことを!?」
「違うッ!誤解だ!」
いや、誤解じゃないけど・・・・確かに一緒に寝たけど・・・・・・
だがこいつらの頭の中は確実に「寝た先の行為」を想像しているっ!
「そんな、あの星原がそんなに大胆な奴だったなんて・・・・・・」
「呆れるを通り越して・・・・・なんか尊敬しそうだわ・・・・・・・」
おぉ、そうか。ならそのまま俺の信者になって今すぐ頭の中の誤解を解きやがれ!
「う、宇佐美さん・・・・その、大丈夫な、の?」
と一人の女子生徒が月乃に心配そうに尋ねた。
「はいっ・・・・とっても優しくしてもらいましたっ!」
「やーめーろおおおおおお!!!!」
涙目の俺の叫びは空高く響き渡って行った。