まさかここまでとは...
「あれから、11年かぁ~、みんなどうかなぁ。」久しぶりに中学校の同級生と再会することになった。11年も、会わないと人はどれほど変わるのだろう。それにしても、あまりにもみっともない格好である。
「こんな服装はさすがにやばい。」そう思うと、すぐ近くにある「NIQLO」という服屋に入った。店に入ると、
「いらっしゃいませ。」
「おれは社長か?」あまりにも服を買いに行ったことが少ないゆえ、店員の対応に反応できず「おぅ」っと。常識を知らないため、上から目線だ。
「しっかし、品揃えのいい店だな~」そう思いながら、服を買っていると結構たくさん手にとっていた。気をつけていたつもりだが、やはりなった。自分でもわかっていたはずだっが、また今回もキレしまった。あまりにも、値段が高いのだ。普通に服を買うときは、5,000円ぐらいで買えるのだが、ここの店は、なんやかんや買って1万円もしたのだ。財布をのぞくと8,500円しかない。またしても、お金がない。この前も、コンビニでフライドチキンを買おうとしたら30円足りなかった。しかし、今回は額の差が大きすぎる。待ち合わせの時間も近づいてくるのがプラスされ、よけいに苛立ってきた。
「あー、この際しょうがねえ。」そう言って、クレジットカードをだし、払ってしまった。恐ろしいものだ。目に見えない形で一生懸命ためたお金が、消えていくのだから…」
約束の時間まであと五分。…道がわからない。
「だいたい、東京に集まるなんて、ナメテるだろう。」そんな風に思いながらマップを見て歩いていると前から飲食店風の服を着たやつが、前からすごい勢いの自転車で迫ってきた。とっさに避けたが、自分でも避けれたのにちょこっと感心した。
「危なかったなー、せっかくの服が台無しになるところだったぜッ。」キレなかった俺は進歩したのでは。少しは俺も、進歩したのでは、そう思えた。
「ここか?」しばらく歩くと、メモに書いた名前の店があった。店の名は、『ヴェール・ラ・ヴァンド』この名前はいかにも、フレンチレストランみたいな名前になっている。恐る恐る入ってみると、すぐさま思った。おれには、似合わないと。何が似合わないか、それはこの店に流れている曲だった。いかにも、フランスのパーティーで流れているような曲だ。店の中には、生まれながらの貴族みたいな顔の人が何人かいる。どうやら、俺は来るところを、間違ったようだ。帰ろうとすると、
「喧太―」と誰かが俺を呼んでいる。しかし、人違いだろう。こんな高級感あふれる店にいる人が、俺の名前を、呼ぶハズがない。そのまま無視して帰ろうとすると、
「喧太―、喧太―、無視すんなよー。」
まさか、「無視して帰ろうとした、心を読まれたのか?」そう思って振り返ってみると、黒いスーツに、アイロンのかかったYシャツを着ている人がいた。
「顔覚えていないかなー?俺だよ!遊二、遊二だよ!」俺に向かってそう言っていた。
「まてよ、俺にこんな素晴らしい友達はいたか?いやまて、遊二?遊二?遊二!」思い出した。同じ部活をしていた、勇気があるけど、菓子ばっか食ってすぐキレるやつだ。しかし、11年も経つと見当もたたないくらいたくましく、男前になっていた。
「こっち来いよ!」そう言ってくれたので、行ってみたが、眩しすぎる。遊二の存在が眩しすぎる。少し高い服を着ている俺だが、着ている人がどのくらいかで、その人の輝きも違うというのはまさに、このことだ。
「さ、どうぞ座って」もう、天と地の差だ。言葉づかいも違う。もう、あきらめよう…。あれ?まだ他の人は来てないのか?そんな風に思ったが、話す内容がないのでとりあえず、今の職業ぐらいは、聞けるだろ。そう思って、聞いてみると
「僕の、職業はフレンチレストランのオーナーです。」その言葉は耳の奥に届くまで、山びこのようにして聞こえた…。数秒前に、職業のことを聞こうとした自分を責めた。11年でそこまで俺は変わらなかった。遊二がこんなにも変わったのは多分、遊二の秘めたる才能だろう。なにを言われても、動揺しないようにして話を聞こうとしたが、
「実は、このお店のオーナーなんです。」まさか、そんな一言が帰ってくるとは...。一発目の一言でカウント寸前に起き上った俺に容赦ないアッパーをいれてきやがった。ついに、ノックアウだ。ノックアウトになった瞬間、俺の心にも冬が来た。
「喧太はどんな職業?」聞かれたが、行ったところで馬鹿にされると思ったが、思い切って言ってみた。
「大工だ!」「あ~恥ずかしい」いま、穴があったら入りたい。すると予想もしない返事が返ってきた、
「まじ!?俺も憧れていたんだよね~。でも、体力ないし筋力もないから諦めたんだよねぇ。」天使が舞い降いてきた。こんな人も、大工になりたいって思っていたんだ。一気に、俺の心に春に咲く花になっていた。