第6話
♪ぉぉ男には~
♪自分のぉ~
♪世界がぁ~あるぅ
♪例えるならー
♪空を掛けるぅ
♪一筋の流れ星ぃ~
『かずおさーーーん♪』
「違うから。 ルパン The Thirdだし」
――――ここは現実世界。
あ、斑鳩飛燕の方じゃなくて田中和男の方ね。
「いやー、この歌って和男の事を唄ってるみたいだなぁと思ってさー」
は?
「知ってんだから、あんたの妄想癖。 こないだのオナニー事件もどうせあんたの妄想でハァハァしてたんでしょ?」
「忘れろよ! 治りかけた傷を抉るような真似すんなよっ!」
「ねぇねぇ、『空を掛ける一筋の流れ星』って言われても、例えになってなくない? それってどんな世界よ?」
「聞けよっ、無視すんなよ!」
――――政姉ぇは……。
僕と違って超絶美人で、学校でもファンクラブがあるぐらい人気があって、誰からも好かれる完璧なじょ「んな訳ないじゃん」……せい……。
「ちょっと! せっかくあんたの真似してナレーション入れてんのに邪魔しないでよ!」
「勝手に僕が言ったことにしないでくれるかな。 何だよ『超絶美人』って。 母さんにそっくりで一重、だんごっ鼻、天パーじゃんか」
「うっさい。 若干14歳のオナニストが」
「だから、やめろよっ!」
「ねぇねぇ、何この『羊皮紙』って書いてあるチラシ」
「かっ、勝手に触んなよっ!」
あれには俺が考えた設定が――――。
「なになに――コレ何て読むんだろ……はんはととびつばめ? 16歳。この世界には有り得ない特殊な力を持っている……っぷぷ」
「ちょ! 返せよっ」
俺より身長が10センチ高いクソ女は羊皮……チラシを高い高いし、俺の恥ずかし設定を声に出して読み上げる。
チクショゥ、お茶の水博士みたいな鼻してる癖に。
「……10の封印? 何コレ、よく分かんないけど名前1個しか決まってないじゃん。 えっと、ごくてん……で合ってる?」
合ってる、あってるからやめて、とめて。
「や、やめ……」グスッ……。
ヤバい、泣けてきた。
「えーっと、登場人物は……一方的にライバル認定されてる幻術師のしゅくぎ?こおりあめ? 時空魔術師のルーファウスじじい? 幼なじみの神堂マリアぁ? 異世界の奴隷サラ=ブライトぉ? ハァ? 何このネーミングセンス。 キテるね、あんた」
「や、やめ……て」
か、顔が熱い、もげる、何かがもげる……。
ふと何かを思い付いたかのようにドスンと俺のベッドに座り、ニヤリと笑う天パーのどブス。
「よし! おねーちゃんが人肌脱ごう!」
――――はぃ?
「ちょっとアンタ、実の姉に対してよこしまな感情抱いてないでしょうね……。」
身体を抱き締め小刻みに震えるフリをするクソブス天パー。 漢字読めねぇくせに。
「バカいわないでよ……。 な、何するの?」
「次回! 脚本:あたし! 演出:和男!」
次回?
「タイトル――文化祭!」
うわー、ベタキター。
姉は高校一年生。
ブス? 好みによるかと。