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中学二年生  作者: 多摩屋
中学生編
5/33

第5話

 ――――俺は世界に絶望した。






 大切なものを踏みにじられ、俺の心は血の涙が溢れだしていた。



 父とバ、母は組織に殺され、学友達は魔族との戦いに駆り出され死んだ。そして……マリアは……俺が守り続けてきたこの世界の人類に嬲られ、犯され、絶望の中、息を引き取った……。



「俺は今まで何の為に戦ってきたんだっ!」



 地面に拳を打ちつけると、轟音とともに辺り一面が衝撃波により焦土と化し、巨大なクレーターが生み出される。



 やっとの思いで異世界から現実に帰ると、世界は一変していた。


 前の時は異世界で5年もの月日を過ごしたが、いざ帰還すると元の世界では5時間しか経っておらず、更に成長した身体も16歳当時の身体に戻っていた。


 今回は1年過ごしたのだから、こっちでは1時間過ぎただけのはずだった。



 しかし実際はルーファウス翁に送られてから約2年の月日が経過しており、組織の奴らは俺が居ない間にとうとう冥界の門を開き、魔界と人間界を繋いでしまったのだ。



 魔族は人を喰らい、犯し、引き裂いた。

しかし魔族なんかよりもっと恐ろしかったのは人間だった。


 もう人類は助からないと信じ込んだ人間達は、やがて自らの欲望のままに同じ人類を犯し、殺し、喰らった。そしてその矛先は当然のように弱い子供や女に向けられる。




 マリアは……マリアは……原型を留めない黒く焦げた肉塊として俺に発見された。






 ――――帰還したその日。



 マリアの部屋だった1階部分で俺は呆然と立ち尽くす……。





 アパートが倒壊してからかなりの月日が経っているかのように、黒く焼け焦げた木材が散乱している。



「一体何があったんだ!? マリアは……マリアはどこに居る!?」




 ごそごそと目の前で何かが動く。



「……ま、マリア?」



 じっと目を凝らすと、汚いぼろ布を纏った男が狂気を滲ませた瞳で何かを口に含んでいる。



「あは、あは、これ、元は可愛い子ちゃんだったんだぞぉ。 おでは祭りに参加できなかったから、せめて可愛い子ちゃんの肉だけでもって思ってさぁ。 兄ちゃんも喰うかぃ? あは、あは」



 ――――ゴォォォッ。


 轟音とともに男は塵と化す。




 マリア、嘘だろ……。


 マリア、マリア、マリア、マリア、マリア、マリア、マリア、マリア、マリア、マリア、マリア、マリアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!




 俺は無意識で10の封印全てを解放していた。



 ――――その日、日本の関東地方を中心に半径1000キロの大地が焦土と化し、日本で生き延びた何の罪もない人間も含め、350万人もの人間が蒸発した。







 封印解放のせいで身体中の皮膚が裂け、血だまりが出来たが焦土と化した大地がすぐに血を蒸発させていく。



 もう、俺が存在する意味もない……。

 全ては終わり……。




 ガチャリ。





「マリア、今俺もそっちに行「カズー! あんたオナニーしてたんだってー!?」く……」



 !!



「お母さんうろたえちゃってさぁ、あたしに様子見てこいって言うのさー。 あははっ」




 ね、ね、ね、姉ちゃん―――。




「ねぇねぇ、何オカズにしてたの!?  きゃっはーっ、和男きもーっ(笑)

 いっひっひ、世界の終わりみたいな顔してー、超ウケるーっ!」



 がたがたっ。



「あんたも男の子な「政子っ! あんた、様子をみるだけって言ったのに、止めなさいっ!」んだねー……ってお母さん来たんだ(笑)」



「和男、オナニーするのは自由だけど、あたしの下着とか使ったら殺すから。 じゃねー♪」




 バタン。




 ………………………………。




「か、カズちゃん。 ご、ごめんね? お母さんちょっとびっくりしちゃって、ついお姉ちゃんに相談しちゃっ……た。 だってほらお父さん今夜遅くなるって言ってたし、お母さん慌てちゃって……ね? あの、その、ごめんね?」








 修正。





 ――――その日、日本の関東地方にある一軒家で、何の罪もない少年が一生消えない心の傷を負った。









傷口を広げる姉。

塩を擦りこむ母。

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