第14話
あれから黙々とスライム共を狩り続けた。
HPが少ないが故に休みながらだったけれども、200匹以上は狩ったと思う。
このゲームは倒したモンスターの死骸は光の粒になって消えるなんてことはないらしい。スライムの死骸は何て言うか、水風船を割った後みたいな感じ。
ナイフをグサーッ。
中の水分がビシャーッ。
目玉、口、薄皮がデロデロー。
目玉より口部分がグロい。何だか分からない感じがグロい。
後から来たプレイヤー達は200匹分の残骸を見て「なんだコレは」って感じで呆然としてた。
だが後悔はしていない。
していないったらしていない。
その結果がこれだ。
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旅人
せいべつ:おとこ
レベル:3
HP:26
MP:0
E:聖なるナイフ
E:くさりかたびら
E:うろこの盾
E:木のぼうし
E:皮のブーツ
ちから:8
すばやさ:9
たいりょく:8
かしこさ:14
うんのよさ:19
かっこよさ:0
さいだいHP:26
さいだいMP:0
こうげき力:27
しゅび力:42
EX:743
しょうごう1:ブサイク
(取得条件:複数の人間に「こいつ不細工だなー」と思われる)
(効果:かっこよさが常時−10)
しょうごう2:きちくげどう
(取得条件:一般的に見て、酷い事をする)
(効果:NPC好感度が常時−20)
とくぎ:なし
じゅもん:なし
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各パラメータがアナウンス通り、微妙に上がった程度。
特技、呪文を一切覚えず。
鬼畜外道呼ばわり。
取得条件、ざっくりだなぁ、オイ!
面白いゲームですね。
ははっ。もうどうでもいい。
スライム平原ではこれ以上のレベリングは望めないと判断し、次の狩場へ行くことにする。決して他のプレイヤーの目やスライム達の憎悪の目が辛くなった訳ではない。
ないったらない。
その前に村に戻って薬草とか買って来ましたよっと。
このゲーム、座れば少しずつ体力が回復するので、スライム平原ごときでは薬草なんぞ必要ない。
ただね、次の狩場は少し強くなるみたいだしー、もしもの事考えたら準備しとくべきだしー、もし死んだら稼いだ金半分になっちゃうしー。
だもんで、薬草とか諸々ご購入。
薬草×5
毒消し草×3
聖水×3
キメラの翼×2
買ったくだりは割愛な!
特にドラマティックな展開ないしな!
でもね、買ったはいいんだけど、どうやって使うのさ、コレ。誰も教えちゃくれません。聞く勇気もありません。
なのでレッツトライ!
オーソドックスに使うとなると……。
食べる、だよな。
《薬草》
むしゃむしゃ、もしゃもしゃ。
ヴぇぉ、オヴェェェ、ゴルェェブェ、
びちゃびちゃびちゃ。
青臭ぇ。とても食えたもんじゃない。
気持ち悪くなってきた。
『ヒエンイカルガは毒を受けた!』
毒草!?
『嘘です』
おい、コラ! お前、こないだのアナウンスだろ!? 真面目に仕事しろや!
…………返事がない。
クソッ、次だ次!
《毒消し草》
むしゃむしゃ、もしゃもしゃ。
ヴぇぉ、オヴェェェ、ゴルェェブェ、
びちゃびちゃびちゃ。
苦ぇ。とても食えたもんじゃない。
気持ち悪くなってきた。
はい、予想通りー。
《聖水》
ごくごく。
え、ポカリ?
なにこれ、冗談で飲んでみたらポカリの味がするんだけど。
これは夏場にぴったりだ。
振り撒けばモンスターも寄ってこないし、美味しいし、何か得した気分。
《キメラの翼》
むしゃむしゃ、もしゃもしゃ。
グブェフ……ッ?フゥォァァォォ!?
ゴブルゥェェ!!!
『キメラの翼の攻撃!
ヒエンイカルガは23のダメージを受けた!』
これは……マジだ。
これも冗談で口に入れたら口の中でキメラの翼が燃え出して、ルーラ的な不思議な力が僕の口から凄い勢いで吹き出した。
誰かが見てたらゴジラみたいに見えたかも知れん。
口内大火傷。
前歯が全部吹っ飛んだ。
てか瀕死状態。
枠の色がオレンジになってる状態やー。
痛い、めちゃ痛い。
回復を、薬草で回復だ……。
はむはむ、もしゃもしゃ。
ヴぇぉ、オヴェェェ、ゴルェェブェ、
びちゃびちゃびちゃ。
青臭ぇ。
無理だ。てか歯がないから噛めない。
「ちょっとアンタ、大丈夫!?」
た、たす、たすけ……て。
意識が無くなる寸前、女の子のような人影を見て、僕の意識はなくなった。