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中学二年生  作者: 多摩屋
ニート編
30/33

第12話


「嫌です」








 断られた。

 まさに予想外。




「気持ち悪い」



 そこまで言うか。




「あなたがその容姿のせいで虫ケラ、ゴミ屑、蛆虫のような扱いを受けていたのと同じように、私もこの容姿のせいで様々な男の欲望にさらされてきた。だから私は絶対に男とは組まない。もう一度言う、気持ち悪いから絶対に嫌だ。特に貴様のような醜い男は絶対に嫌だ。虫酸が走る」




 えーっと…………。


 なんでこの人怒ってんの?



 てか初めて会った時「女ではないのだが、それでも良ければ……」みたいなこと言ってたのに。



 あれは社交辞令ですか、そうですか。




「……コエンザイルガさんや?善良なNPC老人であるワシを助けると思っ「嫌です」て……」



「な!散々便宜を図ってやったのに何じゃその言い草は!」



「勝手に鼻の下のばして勝手にやったことだろう。恩着せがましいことを言うな」




 な、なんかさ、僕、置いてけぼり。

 じじいは完全に固まってる。



 こ、こちらの方、随分男らしい方なんですね……。「特別扱いは困る」とか言いながら、あれは自分に酔ったセリフだったようです。




「そういう事だから村長の資産をどうしようが貴様の勝手だ。好きにすればいい」




「へ、へぇ」



 口調が戻ってしまった。



 

 颯爽と去るコエンザイルガさん。


 うん、今後は関わるのやめよう。



「じゃ、じゃあぼ、僕もこれで……」



 じじいからの返事は無い。

 ただの抜け殻のようだ。






『ヒエンイカルガは21,440ゴールドを手に入れた!』




 なんか、ごめんなさい。








 …………ここで12話 -完-でもいい感じだけど、流石にそれは短すぎるからもうちょい話を続けよう。




 あの後、僕は武器屋へ行き、装備を整えた。装備は当初の予定通りのものに。


 次の町に更なるアップグレード版があるはずだし、金は節約するに越した事はない。


 武器防具を装備したことでどれだけ変わったのか知るため、教会でステータスも確認した。糞神父は僕の言いつけ通り余計なことは喋らなかった。良しよし。白い布を被っていなかったのは減点だがな。



 以下が僕の現在のステータス。


――――――――――――――――――――

 旅人


 せいべつ:おとこ

 レベル:1

 HP:18

 MP:0


 E:聖なるナイフ

 E:くさりかたびら

 E:うろこの盾

 E:木のぼうし

 E:皮のブーツ


 ちから:5

 すばやさ:7

 たいりょく:4

 かしこさ:8

 うんのよさ:12

 かっこよさ:0

 さいだいHP:18

 さいだいMP:0

 こうげき力:24

 しゅび力:38

 EX:0



 しょうごう:ブサイク

 (取得条件:複数の人間に「こいつ不細工だなー」と思われる)

 (効果:かっこよさが常時−10)



 とくぎ:なし

 じゅもん:なし


――――――――――――――――――――



 また突っ込みどころがあるよ……。


 それは後で突っ込むとして攻撃力、防御力がしっかり上がっていることを確認。これならソロでもスライムも倒せるだろう。



 で、称号だけどさぁ……。

 かっこよさ−10ねぇ……。



 もうあれだ、突っ込んだら負けなんだろうな。気にするのはやめよう。強さには関係無いもんな。





 さてさて『スライム平原』に来ましたよっと。

 うん、この間と同じように居るわ居るわスライムの群れ。

 何か増えた? すげー居るんだけど。



 ま、いっか。


 周囲を伺うと今日も数人のプレイヤーが狩りをしている。装備は僕のと比べるとショボイ。このゲームは金稼ぐの大変なんだろうな。僕が稼いだ(?)お金も言わば裏技みたいなものだろうし。


 だから皆、ほぼ初期装備で頑張っちゃってる訳だ。



 ご苦労様でーす(笑)




 よし! リベンジじゃい!



『スライム達が現れた!


 しかしスライム達はこちらに気付いていない!


 どうする? ねぇどうする?』



 ねぇ、どうするって……たたかうよ。


 暫く戦闘しないでいたけど、随分アナウンスがフレンドリーになったな。



 スライム達?

 あぁ、スライムの後ろにスライムベスが隠れてたのか。


 ん?……スライムとスライムベスが――――キャッキャウフフしてる。



 周囲を見てみると青とオレンジの物体が1ペアになり、ボヨンボヨンぶつかり合ってる。その数、目算で100ペア以上。



 で、で、ディープキスしてるカップルも居やがる。艶かしい舌使い。な、なんかやけにリアルでエロい。僕の下半身が何やらもぞもぞしてきたよ?



 繁殖期、かな。








 ――――全員死んだらいいと思うよ。




 目の前のスライムに向かって聖なるナイフを振り下ろす。




『ヒエンイカルガの攻撃!


 スライムに12ポイントのダメージ!!


 スライムを倒した!』




 よし、一撃だ! 聖なるナイフ素晴らしいぜ!


 次はスライムベ…………あれ?




『スライムベスは錯乱している!


 恋人が殺された事を信じたくないようだ。


 しかし、彼女の目から涙がとめどなく溢れてきた。


 どうやら彼の死を少しずつ受け止めているようだ。


 ……強い子ね。


 ねぇ、どうすんのよ、この子』




 えっと、慰める、とか?




『スライムベスの攻撃!(泣きながら)


 ヒエンイカルガは1ポイントのダメージを受けた!


 ヒエンイカルガはぼーっとしている。



 スライムベスの攻撃!(彼との思い出を胸に抱いて)


 ヒエンイカルガは1ポイントのダメージを受けた!


 ヒエンイカルガはぼーっとしている。



 スライムベスの攻撃!(「一緒に海、行きたかったな……」と思いながら)


 ヒエンイカルガは1ポイントのダメージを受けた!


 ヒエンイカルガはぼーっとしている。』




 どうしろと!!!!!!

 謝ればいいんですか!?



 くっ、たかがモンスターじゃないか。



 チェストーーーーッ!




『ヒエンイカルガの攻撃!


 スライムベスに11ポイントのダメージ!


 スライムベスを倒した!


 スライム達をやっつけた!


 ヒエンイカルガはレベル2に上がった!


 最大値HPとかその他諸々がビミョーに上がった!


 7ポイントの経験談を獲得!


 6ゴールドを手に入れた!


 新たな称号を手に入れた!



 この女の敵が』





 後味悪いし……。


 アナウンスの人(?)絶対僕の事嫌いになったよな。




 この後、僕は心の平穏の為にイヤホンを外し、スライム達を乱獲した。全体的に涙々の愛憎劇。




 ――――――――少し落ち込みました。


 でも大丈夫。



 落ち込むこともあるけれど、私は元気です。



 Presented by キキ






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